老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、障害年金についての質問です。

■Q:障害等級2級の障害基礎年金を受給中の弟が、65歳になったら厚生年金とどちらか一方しかもらえませんか?
「弟が障害等級2級で障害基礎年金を受給しています。障害厚生年金は受給していません。過去に5年ほど会社勤めをしていたことがあり、厚生年金に加入していました。65歳になった時に、障害年金と厚生年金はどちらか一方だけの支給になるのでしょうか?」(かくさん)

■A:65歳以降は「老齢基礎年金」と「障害基礎年金」はどちらか一方を選ぶ必要がありますが、厚生年金の加入期間があれば「老齢厚生年金」は上乗せで受け取れる可能性があります
公的年金には老齢年金・障害年金・遺族年金があり、複数の年金を受けられる状態になった場合は、原則として「1人1年金」で、いずれか1つを選ぶことになります。かくさんの弟さんは現在「障害基礎年金」を受給しているため、65歳になると「老齢基礎年金」も受けられる状態になりますが、基礎年金部分については、老齢基礎年金と障害基礎年金を同時に受け取ることはできず、どちらか一方を選択することになります。

一方で、弟さんには過去に約5年の厚生年金加入期間があるとのことですので、その加入期間に応じた「老齢厚生年金」が65歳から発生する可能性があります。ここがポイントで、「障害年金と厚生年金はどちらか一方だけなのか」という点は、基礎年金部分(老齢基礎か障害基礎か)と、厚生年金部分(老齢厚生)が別建てで考えられるため、単純に「どちらか一方だけ」とは限りません。状況によっては、基礎年金は障害基礎年金を選びつつ、厚生年金加入期間がある分の老齢厚生年金を上乗せして受け取れるケースもあります。

65歳以降は、基礎年金部分は選択が必要になりますが、状況によっては次のような組み合わせで受け取れるケースがあります(代表例)。

「障害基礎年金」+「障害厚生年金」
「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」
「障害基礎年金」+「老齢厚生年金」

どちらを選ぶのが有利かは、弟さんの障害基礎年金の額と老齢基礎年金の見込み額、そして老齢厚生年金がいくらになるかによって変わります。


ただ一般論としては、障害基礎年金は非課税であることも踏まえると、基礎年金部分については老齢基礎年金より障害基礎年金を選んだ方が有利になりやすい傾向があります。もっとも最終判断は加入記録と見込み額の確認が必要ですので、年金事務所で「65歳以降にどの組み合わせが最も受給額が多くなるか」を確認し、弟さんにとって有利な受け取り方を相談するのがおすすめです。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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