昨年末に発表された『令和8年度(2026年度)税制改正大綱』。年収の壁が178万円に引き上げられ話題となりました。


幅広く税制の見直しが行われる予定ですが、現役世代に向けた話題ばかりが目立ち、シニア世代には関係ないの?と疑問に思う方も多いはず。

そこで、経済ジャーナリストの酒井富士子さんに、今回の税制改正についてシニア世代向けに分かりやすく解説してもらいました。

■メリットがあるのは「現役世代」が中心
今回の税制改正で所得税の非課税枠が大きく広がりますが、実際のところ、シニア世代の多くの方はその恩恵を十分に受けられません。

その理由は、ボリュームゾーンとなる年収帯にあります。

シニア世代の多くは、年金とアルバイトなどを合わせても、年収200万円以下に収まっているケースがほとんどでしょう。

実は、所得の低い層への対応は、昨年(2025年)の税制改正ですでに行われています。今回の「年収の壁」の引き上げをはじめとした税制改正は、あくまで「バリバリ働く現役の会社員」を主役としたもの。

もともと所得税をあまり払っていない、あるいは非課税世帯である層にとっては、引かれる税金がこれ以上減りようがないため、手取りも増えない……というのが実情なのです。

■2026年、シニア世代が注目すべきは?
では、シニア世代は損をしているのかといえば、決してそんなことはありません。私が今回お伝えしたいのは、所得税ばかりを気にして無理に働き方を調整する必要はない、ということです。

むしろ、シニア世代にとっての「追い風」は別のところにあります。

1つは、「在職老齢年金の支給停止基準の引き上げ」です。
2026年4月から基準が65万円へと引き上げられることで、これまで「働きすぎると年金がカットされるから」とセーブしていた方も、より意欲的に働ける環境が整いました。

そしてもう1つ大きな朗報は、「金利のある世界」が戻ってきたことです。

長らく続いたゼロ金利時代が終わり、「個人向け国債」などの安全資産がようやく息を吹き返しました。

今の日本は、ただ銀行にお金を預けておくだけではもったいない局面。減税による数千円の恩恵を待つよりも、今ある資産を賢く動かし、金利の恩恵をしっかり受け取るほうが、シニアの家計にはよほどインパクトがあります。

2026年は、国から与えられる減税を待つのではなく、自ら「金利のある世界」に一歩踏み出す。そんな攻めの姿勢を持つことが、これからのシニアの生活を守る最強の武器になりますよ。

文:酒井 富士子(経済ジャーナリスト)
「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長歴任後、リクルートに転職し、定年あるじゃん、あるじゃん投資BOOK等の立ち上げ・編集に関わる。2006年にお金専門の制作プロダクション「回遊舎」を創業。「ポイ活」の専門家としても情報発信を行う。
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