ほくろの医学的な正しい病名は「母斑(ぼはん)」です。
見た目を考えて、母斑を最小限の範囲で切除しようとした結果、母斑細胞が一部残ってしまい、再発することはあります。しかし再発した病変も、同じ母斑です。
切除したことで、母斑ががんに変化することはありません。母斑であれ、正常な皮膚であれ、がんが発生する可能性自体は同じなのです。
■母斑と似ている悪性黒色腫(メラノーマ)……見分けが難しい点が、誤解が広まった理由か
注意しなければならないのは、皮膚がんの一種である「悪性黒色腫(メラノーマ)」です。悪性黒色腫は、一般的な感覚で見ると初期には「小さなほくろ」として始まることが多く、母斑と見間違われることがあります。
母斑だと考えて切除した後で、悪性黒色腫と診断されることもあります。
悪性黒色腫は非常に悪性度が高いがんです。術後に再発する可能性も高いため、「ほくろと思って取ったら、がんだった」というケースもあります。ここから「ほくろを取ったら、がんになった」という説が広まったものと考えられます。
早期発見・早期治療のためにも、母斑と悪性黒色腫を正確に区別することは非常に重要です。
■もともとあるほくろでも要注意! 危険な変化を見逃さないためのセルフチェック法
特に注意が必要なのは、「ほくろの中に悪性黒色腫が発生するケース」です。まれに、長年あったほくろの中に悪性黒色腫が発生することもあります。この場合、正しい診断が遅れる可能性が高くなります。
新しくほくろを見つけたときや、もともとあったほくろの変化に気付いたときは、自分でも注意して観察するようにしましょう。
正確な診断は病院を受診する必要がありますが、簡易的なセルフチェックのポイントとして、以下を知っておくと役立ちます。
・ほくろが急に大きくなった
・形が変化した
・ほくろの辺縁がギザギザになってきた
・ほくろの色調が変化した
・ほくろから出血する
・ほくろにかさぶたができる
・ほくろの表面にでこぼこが生じた
これらの変化が見られた場合、ほくろの中に悪性黒色腫が発生している可能性があります。皮膚科を受診し、正しく診断を受けましょう。
▼井上 義治プロフィール慶應義塾大学医学部を卒業後、20年以上にわたり形成外科医として総合診療に従事。患者の要望を丁寧に聞き、一人ひとりに合わせた医療を提供している。
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