老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、70歳以降も働く場合の厚生年金についてです。

■Q:70歳以降も働く予定です。厚生年金の保険料はどうなる? 年金は4月以降に受け取った方がお得?
「70歳以降も働く予定です。年金の支給見込み額は、70歳で月額約23万円です。現在は月給57万5000円で働いており、厚生年金適用の事業所に勤務していますが、70歳以降は厚生年金の支払い義務がなくなると聞いています。本当でしょうか。

また、年金の一括請求も考えています。年金は5年までさかのぼって請求できると聞いていますが、1年から5年の間で選択することはできますか。さらに、在職老齢年金の支給停止基準額が62万円になると聞きました。そうなると、年金は2026年4月以降に受け取った方がお得なのでしょうか。よろしくお願いいたします」(男性・jack888さん)

■A:70歳になると厚生年金の被保険者資格はなくなり、原則として厚生年金保険料の支払いは不要になります。
賃金水準によっては4月以降も支給停止が続くケースもあります
まず、70歳以降の厚生年金保険料についてです。70歳に達すると厚生年金の被保険者資格を失うため、70歳以降も働き続けても、原則として厚生年金保険料を納める必要はありません。ただし、健康保険は働き方によって引き続き加入する場合があるため、勤務先で確認しておくと安心です。

次に「年金の一括請求」についてですが、年金は請求しないと支給されません。請求が遅れて未請求期間がある場合、請求した時点で過去分がまとめて支払われることが一般的です。一括請求は繰り下げによる増額分はつかず、一括請求後に受け取る年金額も増額されません。

なお、年金は「5年」を過ぎた分は時効で受け取れないことがあるため、未請求期間がある場合は早めに手続きすることが大切です。※未請求期間がある場合の扱い(過去分の支払い方)は、年金事務所で確認すると確実です。

また、70歳以降も働いて賃金がある場合は、厚生年金の保険料を払わなくなる一方で、老齢厚生年金は在職老齢年金の対象となり、収入に応じて支給停止(減額)になる可能性があります。4月から支給停止基準額が引き上がると「削られにくくなる」方向ではありますが、賃金水準によっては支給停止が続くケースもあります。

さらに、在職老齢年金で支給停止となる部分は、繰り下げ増額の対象にならない点にも注意が必要です。繰り下げ受給の上限年齢は、生年月日や受給権の発生時期によって異なり、75歳まで繰り下げできる世代もあります。


不安がある場合は、年金事務所で「老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額」と「現在の賃金」を伝え、在職老齢年金でどの程度調整されるか確認すると確実です。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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