老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、障害年金を受給している女性からの質問です。

■Q:1966年9月生まれの女性。障害年金を受給していますが、65歳になったら老齢年金はもらえますか?
「1966年9月生まれの女性です。20代のときに難病にかかり、26歳から障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)を受給しています。その後も入院を繰り返しましたが、今の職場では10年ほど働けており、月20万円ほどの収入があります。65歳になったとき、老齢年金は受け取れるのでしょうか?」(風鈴さん)

■A:65歳になると老齢年金を受け取る権利は発生しますが、障害年金と「同時に全部」は受け取れません。65歳以降は組み合わせを選ぶことになります
65歳になると、保険料納付要件などを満たしていれば老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権が発生します。ただし日本の公的年金は「1人1年金が原則」で、支給事由(老齢・障害・遺族)が異なる年金を同時に受けられる状態になったときは、原則どれか1つを選択する仕組みです。

とはいえ、65歳以後は例外的に「組み合わせ」によっては受けられるケースがあります。障害年金を受給している方が老齢年金も受けられるようになった場合、65歳以後は次の組み合わせの中から選ぶ形になります(※障害基礎年金と老齢基礎年金の「2つの基礎年金」は同時に受け取れません)。

風鈴さんの場合まず、「障害基礎年金」と「老齢基礎年金」は同時には受け取れないため、どちらかを選択します。
同様に「障害厚生年金」と「老齢厚生年金」も、原則として同時には受け取れず、どちらかを選択するのが基本です。

一方で、65歳以後は例外として「障害基礎年金+老齢厚生年金」という組み合わせを選べる場合があります。

そのため、65歳になったら「どれが有利か」を比べて決める流れになります。イメージとしては、

障害基礎年金+障害厚生年金
老齢基礎年金+老齢厚生年金
障害基礎年金+老齢厚生年金(65歳以後の例外的な組み合わせ)

の中から、年金額や条件に合う形を選ぶ、という考え方です。実際にどれが得かは、障害年金の等級、老齢年金の見込み額、今後の働き方(収入)で変わるため、年金事務所で見込み額を出してもらい、選択のシミュレーションをしてから決めるのが確実です。

なお、「働いていること自体が不利になるのでは?」という点については、基本的に心配し過ぎなくて大丈夫です。確かに、60歳以降も働きながら老齢厚生年金を受け取る場合は、収入と年金額の合計に応じて老齢厚生年金が調整(支給停止)されることがあります(在職老齢年金)。

しかし、この調整は老齢厚生年金が対象で、老齢基礎年金は対象外です。加えて、厚生年金に加入して働いた期間は、将来の老齢厚生年金額に反映されます。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

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