老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、遺族年金を受給しながらパートする場合の税金についてのケーススタディーです。

■Q:遺族年金を受給中(68歳)。パート収入はいくらまでなら税金がかからず、住民税非課税世帯のままでいられますか?
今回はAll About編集部が設定したケーススタディーに対して回答いただきます。

「68歳で遺族年金を受給している。ほかに大きな所得はなく、これからパートを始める予定。パート収入が増えた場合、所得税・住民税(市県民税)がかからない目安はどれくらいか。また、パート収入が増えると住民税非課税世帯に該当しなくなるのかを知りたい」

■A:単身・扶養なしの目安では、住民税が(均等割・所得割とも)非課税のラインは年収110万円程度。所得税だけなら年収160万円程度までかからない目安です
まず前提として、遺族年金は原則として非課税のため、ここでは「パート収入(給与収入)」を中心に考えます。

結論からいうと、所得税がかからない目安は年収160万円程度(控除が最大の層の試算)です。給与収入は、給与所得控除を差し引いて「給与所得」を計算し、そこから基礎控除などを差し引いて課税所得を求めます。

給与所得控除の最低額は65万円、基礎控除は合計所得金額によって最大95万円です。


このケーススタディーの前提で、年収160万円の場合は次のようになります。

年収160万円-給与所得控除65万円=給与所得95万円
給与所得95万円-基礎控除95万円=課税所得0円

このため、年収160万円は所得税はかからない目安になります。なお、基礎控除額は合計所得金額などで変わるため、ほかに所得がある場合や控除の状況によって結果は変わります。

一方で、住民税(市県民税)は自治体の条例で非課税基準が定められており、世帯人数や扶養の有無、地域区分などで変わります。ここでは単身・扶養なしを前提に、住民税の非課税限度額(合計所得金額)の目安を45万円として考えます(自治体の例)。

この場合、給与所得控除(最低65万円)を踏まえると、
年収110万円-給与所得控除65万円=所得45万円

となるため、住民税(均等割・所得割とも)が非課税になる年収の目安は110万円程度になります。

住民税は「均等割」と「所得割」がありますが、一般に均等割の非課税基準のほうが厳しいため、均等割が非課税なら所得割も非課税になりやすい、という整理になります。

まとめると、年収110万円程度までで住民税が(均等割・所得割とも)非課税になりやすく、年収110万円超~160万円程度まででは、所得税はかからなくても住民税(特に均等割)が課税になる可能性があります。

※住民税非課税の判定は、自治体・世帯構成・扶養親族の有無・控除状況などで変わります。制度の利用に影響する場合もあるため、最終的にはお住まいの自治体窓口などで確認するのが確実です。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。
日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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