大事な試験や就職活動の面接など、人生を左右するような場面では、大きなストレスを感じて不安になるものです。不安感やストレスが日常生活に支障を来すレベルの場合、精神科的なアプローチが大きな助けになります。


ただし、抗不安薬にはメリットとデメリットがあります。正しく理解して使い分けることが肝心です。注意点も含めて分かりやすく解説します。

■抗不安薬とはそもそもどのような薬か……脳を「あえて」スローダウンさせる作用
一般的に「抗不安薬」として処方されるのは、主に「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれるカテゴリの治療薬です。この薬の基本となる薬理作用は、「中枢神経の抑制」です。

簡単に言えば、脳の過剰な興奮を抑え、機能をあえてスローダウンさせることで心の緊張を和らげることができます。不安でパニックになりそうなときに、心強い味方となるのが抗不安薬と言えるでしょう。

■面接前の抗不安薬は? 過度な身体症状が予想されるなら、頓服での使用を検討
例えば、面接を受ける際に以下のような「はっきりした困りごと」が予想される場合は、筆者であれば必要なときだけ服用する「頓服」を検討します。

・緊張で心臓の動悸が止まらなくなる
・滝のような汗が噴き出してくる
・頭が真っ白になり、言葉が全く出てこなくなる

ただし、不安症状がそこまで深刻でないなら、無理に抗不安薬に頼らなくてもよいかもしれません。面接官から見れば、応募者が緊張しながらも懸命に答えようとする姿は、「誠実で熱意がある」という好印象につながることも多いからです。

■筆記試験前の抗不安薬は? 「頭が回らなくなる」というリスクがあるため要注意!
一方で、高い集中力を要する筆記試験などの場合、抗不安薬の服用は、筆者はおすすめしません。抗不安薬は中枢神経を抑制するため、不安が和らぐのと引き換えに、「頭の回転が鈍くなる」という副作用が出る可能性があるからです。


試験問題を読んでいる最中に強い眠気に襲われたり、ケアレスミスが増えたりして、本来の実力を発揮できなくなる恐れがあります。

また、意外な落とし穴として「筋弛緩作用(筋力の低下)」にも注意が必要です。足元がふらついて階段で転倒するといった、身体的な事故のリスクもゼロではありません。

■まとめ:不安に押しつぶされそうなら、あらかじめ専門家へ相談を
もし今、目前のハードルを前に不安で眠れない、あるいは食事が喉を通らないといった状態であれば、一人で抱え込まずに心療内科や精神科で相談してみてください。本番で最高のパフォーマンスを出すのに役立つ可能性があります。

▼中嶋 泰憲プロフィール千葉県内の精神病院に勤務する医師。慶応大学医学部卒業後、カリフォルニア大学バークレー校などに留学。留学中に自身も精神的な辛さを感じたことを機に、現代人の心の健康管理の重要性を感じ、精神病院の現場から、毎日の心の健康管理に役立つ情報発信を行っている。
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