老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、退職する時期についての質問です。

■Q:年金の受け取りを考えた場合、退職時期は「64歳の12月末がよい」と聞きました。本当ですか?
「退職のタイミングについて調べていると、『64歳の12月末で退職するのがよい』と聞いたことがあります。年金の受け取りなどを考えると、実際のところはどうなのでしょうか?」(sakuraさん)

■A:退職日と失業給付の手続き時期を工夫すると、「年金を受け取りながら失業給付も受ける」形にできる場合があります。ポイントは「65歳になる前に退職し、申請は65歳を過ぎてから」
まず押さえておきたいのは、雇用保険の給付は「65歳になる前に退職するか、65歳以降に退職するか」で扱いが変わることです。一般に、65歳前に退職すると「基本手当(いわゆる失業保険)」の対象になり、65歳以降に退職すると「高年齢求職者給付金(一時金)」になるため、受け取れる給付の形や日数が変わります。

次に、年金との関係です。65歳になる前に受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」と、雇用保険の基本手当は、原則として同時には受け取れません。一方で、65歳になると老齢年金の受給が始まるため、以後は基本手当と老齢年金を同時に受け取れる扱いになります。

そこで出てくるのが、「64歳の12月末がよい」といわれる理由です。例えば1月に65歳になる人の場合、64歳のうちに退職しておき、失業給付(基本手当)の手続きは65歳になってから行うと、年金の受給が始まった後に基本手当の支給がスタートし、結果として両方を受け取れる期間が生まれることがあります。


つまり、「64歳の12月末で退職」がよいという話は、年金と雇用保険の受け取り方をうまくつなぐための1つの考え方、ということです。ただし、退職理由や雇用保険の加入期間、待期期間・給付制限の有無などで支給開始時期は変わるため、誰でも同じ形になるとは限りません。

なお、年金を受け取りながら働く場合に受けられる「高年齢雇用継続給付」については、在職による年金の支給調整に加えて、年金の一部が調整される可能性がある点にも注意が必要です。

退職日を決める前に、「自分が65歳前後で受け取れる給付が何になるのか」「いつ申請するといつ支給開始になるのか」を、ハローワークと年金事務所で確認しておくと安心です。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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