■Q. 「残業が多い人は業務効率が落ちる」って本当?
Q. 「仕事が忙しく、最近は毎日残業しています。寝る時間もどんどん遅くなり、疲れが取れません。
『残業が多いほど業務効率が落ちる』という話を聞いたのですが、本当でしょうか? 悪循環になっているとしたら、断ち切りたいです」

■A. 本当です。残業が多いほど業務効率は落ちてしまいます
「残業が多い人ほど、業務効率が下がる」というのは、残念ながら事実です。大きな理由の1つは、多くの場合において、残業することで睡眠時間を削ってしまうためです。例えば、月に80時間残業をしている人は、平均して6時間しか眠れていないという調査報告があります。月100時間残業をしている人は、睡眠時間が5時間にまで減少します。

問題は、睡眠不足の状態になると、日中の強い眠気や集中力の低下が起こりやすくなることです。実際、IT業界や建設業に従事する男性の場合、日中に強い眠気を感じる人の割合が10%を超えると報告されています。

長時間働き続けることで、脳のパフォーマンスが著しく低下することも忘れてはいけません。朝目覚めてから17時間を超えると、作業効率は下がっていき、「酒気帯び運転」と同程度にまで落ちると考えられています。重大なミスや事故の危険も高まります。

また、睡眠不足は健康にも悪影響です。睡眠時間が5時間以下だと、糖尿病のリスクは1.5~2倍になり、高血圧やうつ病のリスクも大きく上昇することが分かっています。
こうした疾患を抱えてしまうと、長期的に仕事効率が下がる要因にもなります。

業務効率を上げて健康的に働くためには、無理な残業をなるべく避け、十分な睡眠時間を確保することが不可欠です。睡眠を犠牲にした努力は、かえって生産性を下げる結果につながってしまいます。

▼坪田 聡プロフィール日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医。日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会所属。医師とビジネス・コーチという2つの仕事を活かし、医学・生理学と行動計画の両面から睡眠の質の向上に役立つ情報を発信している。
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