老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、年金をもらっている人の、医療費控除についてです。

■Q:年金生活ですが医療費が多くかかりました。確定申告したほうがいいですか?
今回は、All About編集部が設定したケーススタディーに対して回答いただきます。

「年金暮らしですが、今年は入院もあり医療費がかさみました。確定申告をすると戻るお金があると聞きましたが本当ですか?」

■A:医療費控除で税負担が軽くなる場合があります。条件に当てはまれば、確定申告で税金が戻る(還付される)こともあります
入院や通院などで医療費を多く支払った年は、「医療費控除」を使える可能性があります。医療費控除は、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費について、一定額を所得から差し引ける制度です。

医療費控除の対象となる金額は、基本的に「実際に支払った医療費」から、保険金などで補てんされる金額(高額療養費や入院給付金など)を差し引き、さらに「10万円(※総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)」を差し引いて計算します。控除できる上限は200万円です。

医療費控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。申告所得税の確定申告期限は、令和7年分(2025年分)の場合、2026年3月16日(月)までです。


医療費控除は、本人の分だけでなく、申告する人と生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も対象になります。また、病院での診療・治療費だけでなく、薬局で購入した医薬品代が対象になることもあります。通院にかかった交通費は公共交通機関であれば対象になりますが、健康診断など予防目的の費用や、美容目的の費用などは原則として対象になりません(例外もあるため迷う場合は確認が安心です)。

申告の際は「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付します。医療費の領収書の提出は不要ですが、明細書の内容確認のために申告期限等から5年間、税務署から提示や提出を求められることがあるので、自宅で保管しておきましょう。

なお、医療費控除には「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」もありますが、通常の医療費控除と同時に使うことはできず、どちらか一方を選ぶ形になります。

「戻るお金があるかどうか」は、年金以外の収入や源泉徴収の有無、医療費の総額、補てんされた金額などで変わります。医療費が多かった年は、医療費通知(健康保険からの通知)や領収書を整理したうえで、還付の可能性があるか試算してみるのがおすすめです。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
編集部おすすめ