■Q. 「『お薬手帳』は非常持ち出し袋に入れておくべき」って本当ですか?
Q. 「災害に備えて、非常持ち出し袋を準備しています。『お薬手帳も一緒に入れておいた方がよい』と聞いたのですが、具体的にどのように役立つのでしょうか? 被災して持ち出せなかった場合、困ることはありますか?」

■A. お薬手帳は、適切な医療を受けるための「命のカルテ」になります
災害などの緊急時には、かかりつけの医療機関を受診できなくなる可能性が高くなります。
そのような状況で、自分が「どのような病気で」「何の薬を」「どのくらいの量」服用しているかを正確に伝えることは非常に困難です。

お薬手帳があれば、避難先の医師や薬剤師があなたの処方内容を即座に把握できるため、適切な薬の処方や、飲み合わせによる副作用の防止に直結します。

お薬手帳を非常持ち出し袋に入れておけば、具体的に以下のようなメリットがあります。

・処方の継続:被災生活中でも、普段飲んでいる薬と同じ薬を手配してもらいやすくなる
・安全性の確保:アレルギー歴や副作用の経験が共有でき、危険を回避できる
・迅速な対応:検査や診察が受けにくくなった被災地において、診断の大きな手掛かりになる

一方で、お薬手帳を非常持ち出し袋に入れると、日常的な通院時に不便という方もいるかもしれません。

お薬手帳には最新の処方内容が反映されていることが重要ですので、定位置を非常持ち出し袋にした場合も、通院には忘れず持参いただきたいところです。

もしアプリの利用が可能なのであれば、電子版お薬手帳(スマートフォンアプリ)の活用がおすすめです。被災してしまった場合も含め、スマホは肌身離さず持ち歩いている方が多いと思います。

避難時にも情報を参照しやすく、データがクラウドに保存されていればスマホ自体を紛失しても情報の復元が可能です。

紙の手帳を使用している場合は、最新のページをスマートフォンのカメラで撮影して画像として保存しておくだけでも、立派な備えになります。自分や家族の命を守るために、常に最新の薬情報を持ち歩ける状態にしておきましょう。

▼阿部 和穂プロフィール薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。
東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
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