老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、非課税世帯についてのケーススタディーです。

■Q:66歳の年金受給者です。年金は2カ月で26万円弱、個人年金も年80万円あります。非課税世帯になりませんか?
今回は、All About編集部が設定したケーススタディーに対して回答いただきます。

「66歳の年金受給者です。公的年金は2カ月で26万円弱(年間で約156万円)あります。また、個人年金も年に80万円受け取っています。こうした収入でも非課税世帯になれるのでしょうか?」

■A:このケースを「東京都23区内の単身者」と仮定すると、所得税はかからない可能性が高い一方、住民税は非課税にならない可能性があります(個人年金の必要経費の金額により結果が変わります)
公的年金は「雑所得」として課税対象で、年金収入から公的年金等控除額を差し引いて所得を計算します。個人年金も公的年金ではありませんが、原則として「公的年金等以外の雑所得」として、受取額からその年金に対応する払込保険料(必要経費)を差し引いた金額が所得になります。このケースで、個人年金の必要経費を「年60万円」と仮定して計算してみます。

・所得税について
≪公的年金の雑所得≫
156万円(年金収入)-110万円(公的年金等控除の最低保障額)=46万円
(公的年金等控除を差し引いて計算する考え方)

≪個人年金の雑所得(仮定)≫
80万円(個人年金の受取額)-60万円(必要経費)=20万円

合計所得金額は、46万円+20万円=66万円です。


所得税の基礎控除は合計所得金額に応じて決まり、合計所得金額132万円以下の場合は最大95万円となります。

このケースでは基礎控除95万円を差し引くと、66万円-95万円=▲29万円となり、課税所得が0円以下のため、所得税はかからない計算になります。

※個人年金の必要経費(払込保険料相当額)は、保険会社から届く案内に記載されていることが多いので、実際はその金額で再計算してください。

・住民税について
「非課税世帯」は一般に住民税非課税世帯を指します。住民税は自治体ごとに基準がありますが、東京23区の例として、新宿区では単身者の場合、前年の合計所得金額が45万円以下などの要件を満たすと、均等割・所得割とも非課税となる旨が示されています。

今回の試算では合計所得金額が66万円(46万円+20万円)なので、45万円を上回ります。そのため、住民税は非課税にならず、均等割や所得割がかかる可能性があります。

ただし、個人年金の「必要経費」がもっと大きく、個人年金の雑所得が小さく(あるいは0円に近く)なる場合には、合計所得金額が45万円以下に収まり、住民税が非課税になる可能性もあります。個人年金の案内にある必要経費の金額で、最終的に確認するのが確実です。

住民税の非課税基準や判定の扱いは自治体で異なるため、最終判断はお住まいの区市町村に確認してみると安心です。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。
日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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