公的年金の制度は複雑で、ご自身の状況に当てはめると「結局どうなるの?」と迷ってしまう方も少なくありません。例えば、遺族年金についても自分は対象にならないと思い込んで、大切な生活資金を支える権利を見落としてしまうケースは意外と多いものです。


今回は、子どもがいない夫婦の遺族年金について、All About編集部が設定したケーススタディーに専門家が分かりやすくお答えします。

■Q:子どもがいない夫婦の場合、遺族年金はどうなる?
家族が亡くなった場合に支給される「遺族年金」ですが、子どもがいない共働き夫婦や、専業主婦の世帯では、万が一のときに年金がもらえるのかどうか不安を感じるものです。子どもがいなくても、残された配偶者は年金を受け取ることができるのでしょうか。それとも、対象外となるのでしょうか。

■A:お子さんがいないご夫婦でも、要件を満たすことで「遺族厚生年金」が支給されます
お子さんがいないご夫婦でも、亡くなった方が厚生年金に加入する会社員などであれば、要件を満たすことで「遺族厚生年金」が支給されます。なお、「遺族基礎年金」はお子さんがいる方向けのため対象外です。

残された方の年齢・性別、亡くなった方の加入期間や保険料納付状況などで異なります。3つのケースを見てみましょう。

▼①すでに年金をもらっているケース妻67歳・夫75歳(死亡)
妻自身の「老齢厚生年金」がある場合、それを受け取った上で、夫の厚生年金加入記録から計算した「遺族厚生年金」のほうが高い場合は、その差額分が妻に支給されます。

▼②働き盛りの世帯のケース妻40歳・夫43歳(厚生年金加入20年・在職中に死亡)
夫の厚生年金加入期間が20年と短くても、300カ月(25年)加入していたとみなして手厚く計算される特例があります。さらに妻が40歳以上のため、65歳になるまでは「中高齢寡婦加算」が上乗せされます。

▼③若い世代のケース妻29歳・夫30歳(厚生年金7年加入・在職中に死亡)
子どもがいない30歳未満の妻の場合、遺族厚生年金は一生涯ではなく「5年間のみ」の有期支給となります。
若いうちは再就職などで生活の立て直しが可能という考え方から、期間が限定されています。

なお、令和10年(2028年)4月に、遺族厚生年金の大きな制度改正が予定されています。

主に「平成元年4月2日以降生まれの女性」や「昭和43年4月2日以降生まれの男性」の要件に影響が出る見込みですので、今後の動向にご注意ください。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
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