老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、老齢基礎年金を受給中の人からの質問です。

■Q:老齢基礎年金を受給中で、月収が62万円になります。老齢厚生年金はどれくらいもらえますか?
「昭和33年3月生まれの男性です。現在、老齢基礎年金を受給しています。働きながら年金を受け取っていますが、2026年4月から給与改定で月収が62万円になる予定です。この場合、老齢厚生年金はどれくらい受け取れるのでしょうか。働いていると減額されるのでしょうか?」(やまさん)

■A:老齢厚生年金の金額は加入期間と報酬で決まりますが、働きながら受け取る場合は「在職老齢年金」により支給停止になることがあります。年金事務所などで確認しましょう
老齢厚生年金は、加入していた期間と、その期間中の平均標準報酬額をもとに計算されます。

ここでは仮に、やまさんが22歳から60歳までの38年間厚生年金に加入し、その間の平均標準報酬月額(平均標準報酬額)を62万円として、変動がなかったケースで試算します。

老齢厚生年金の受給額は、現役世代の収入金額(給与など)と厚生年金加入期間によって、次の計算式で計算されます。

(1)平成15年3月までは、平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの加入期間
(2)平成15年4月以降は、平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入期間(※)

※従前額保障での計算方法。
スライド率等については省略。乗率は昭和21年4月2日生まれ以降の人の新乗率を使用

やまさんのケースに当てはめると、

①平成15年3月まで(23年=276カ月)
62万円×7.5/1000×276カ月=約128万3400円

②平成15年4月以降(15年=180カ月)
62万円×5.769/1000×180カ月=約64万3820円

①+②=約192万7220円

老齢基礎年金(2025年度満額:83万1700円)を加えると、年間約275万8920円(月額約22万9900円)となります。

あくまで前提を置いた概算です。実際の金額は加入記録や標準報酬の推移により異なります。

なお、相談文では老齢基礎年金を受給しているとありますが、老齢厚生年金をすでに受け取っているのか、受給開始を遅らせているのかは明記されていません。もし老齢厚生年金をまだ受け取っていない場合は、受給開始を遅らせる「繰り下げ待機」の状態になっている可能性もあります。

やまさんは現在も働いており、給与が月62万円になる予定とのことです。老齢厚生年金を受け取る場合は「在職老齢年金」の仕組みに注意が必要です。

在職老齢年金とは、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が支給停止基準額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる制度です。支給停止基準額は、2026年4月以降は65万円となる予定です。

やまさんの場合、総報酬月額相当額が62万円で、さらに老齢厚生年金の月額(試算では約16万円程度)があるため、合計は基準額を超える可能性が高く、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる可能性があります。つまり、年金額がいくらであっても、実際には満額受け取れない可能性があります。
老齢基礎年金は在職老齢年金の対象外のため、支給停止にはなりません。

働きながら年金を受け取る場合は、「本来の年金額」と「実際に支給される年金額」が異なることがあります。正確な支給額については、年金事務所で試算してもらうのが確実です。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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