老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、特別支給の老齢厚生年金が減額されてしまった人からの質問です。

■Q:特別支給の老齢厚生年金が在職中で減額されています。受給開始から3年後に繰り下げ請求して、合計が51万円を超えなければ減額されなかったのでしょうか
「特別支給の厚生年金についておうかがいします。現在の収入が月45万円ほどあり、特別支給の老齢厚生年金が減額されています。もし、受給可能な年から3年後に繰り下げ請求して、その時点で収入と特別支給の年金額が51万円を超えていなければ、減額はされなかったのでしょうか?」(いちじく1961さん)

■A:特別支給の老齢厚生年金には「繰り下げ制度」はありません。そのため、3年後に繰り下げ請求して減額を避ける、ということはできません。また、65歳以降の老齢厚生年金についても、受け取りを遅らせて実際に受給していない期間であっても、在職老齢年金の判定対象になる場合があります
まず、60代前半で受け取る「特別支給の老齢厚生年金」には、老齢年金(65歳以降)にあるような繰り下げ制度はありません。受給要件を満たした場合は請求して受け取るのが基本で、「3年待って繰り下げる」といった選択はできません。

また、働きながら年金を受け取る場合は「在職老齢年金」によって、給与(総報酬月額相当額)と老齢厚生年金(基本月額)の合計が基準額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止(いわゆる減額)になることがあります。これは特別支給の老齢厚生年金も対象です。

さらに、65歳以降の老齢厚生年金を「受け取らずに待つ(繰り下げ受給をする)」場合でも、在職老齢年金の計算上、支給停止に該当する状態になることがあります。
この場合、支給停止とみなされた老齢厚生年金の部分は、支給もされませんし、繰り下げによる増額の対象にならない点にも注意が必要です。

なお、在職老齢年金の支給停止基準額は見直しが予定されており、2026年3月までは月51万円、2026年4月以降は月65万円に引き上げられます。基準額の引き上げにより支給停止に該当しなくなれば、その後は減額(支給停止)が解消される可能性があります。該当した場合の反映は通常自動で行われますが、心配な場合は年金事務所で確認すると安心です。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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