井沢元彦さんの著書『真・韓国の歴史 なぜ「反日」を捨てられないのか』は韓国の歴史を深い洞察により解説した一冊です。
今回は本書から一部を抜粋し、現在の韓国の産業発展につながる日本の功績についてご紹介します。
■半島全域に鉄道網を敷く
丁寧に述べれば一冊の本になってしまうので簡略化するが、日本がいかに朝鮮半島の近代化に貢献したか、わかりやすい代表的な事例だけ挙げておこう。
近代化には鉄道網の整備が急務だったが、朝鮮半島にはそもそも鉄道が存在しなかった。蒸気船やライフルと同じで「野蛮人の技芸」によるものだからだ。
しかし、日露戦争後まだ併合前の1899(明治32)年には、仁川(インチヨン)~鷺梁津(ノリヤンジン)間、1900年には漢城~仁川間、1905年には漢城~釜山間が日本の技術供与によって開通し、1914(大正3)年には線路は北に延び、龍山(ヨンサン)~元山(ウオンサン)間が開通して、開発が遅れていた半島東北部の元山が急速に発展した。
この時日本軍部はレールの間隔について日本国内と同じ狭軌を採用せよと要求したが、朝鮮鉄道の日本人技師たちは「やがては中国や欧州を結ぶ線路にならん」と大きな構想を抱き、広軌を採用した。半島の優良なインフラ整備が最大の目的だからだ。
■鉄道整備を可能にした背景
急ピッチで半島全域に鉄道網を敷くことができたのには理由があった。日清戦争で日本が勝ったため、1897年に朝鮮国は大韓帝国として独立を果たし、国内の資産や利権を直接外国に売り渡せるようになった。
だが独立はしたものの、建国当初から大韓帝国は極端な資金難だった。そのため高宗は、財源の確保策として鉄道敷設権を欧米列強に売り渡したのだ。
そこで日本は、欧米列強と交渉を重ねて朝鮮の鉄道敷設権を集めていった。具体的には1927(昭和2)年に「鉄道十二年計画」を作成し、総投資額3億2000万円をもって12年間で5つの新線(計860マイル〈1384キロメートル〉)を建設し、5つの私鉄道を買収する計画を立てた。
鉄道敷設には建設業が必要で、維持にも多くの人員を要する。これが結果的に雇用の拡大となり、朝鮮系日本人の近代的技術の向上にもつながった。鉄道を突破口にしての産業の発展はめざましいものがあった。
■農業生産が上がり人口が増える
国自体が豊かになりインフラが整備されれば、生活環境は向上し人口も増える。併合直後の朝鮮半島は人口の7~8割が農民で、産業と呼べるものは農業しかなかった。
そこで1910(明治43)年、朝鮮総督府は土地調査事業を開始。人口の集計と土地の位置、所有関係を調査し、公平な課税の下で税金を正確に徴収することを図った。土地の所有者が明確でなければ近代国家の税収は安定しないからである。
ところが、李朝時代は一度も近代的な全国規模の土地調査は行われておらず、役所には土地の権利を証明する資料の一篇もなかった。重税を逃れたい農民は飢饉の年には土地を捨てて逃げ、打ち捨てられた土地は好き勝手に売買されていたからだ。
総督府の土地調査事業は約9年かけて完了。土地の所有者を確定することで、朝鮮の農業が近代的土地制度に組み込まれた。この間、李朝時代の国有地と、調べを尽くしても所有者がわからない土地を、日本はやむを得ず国有地として扱ったが、韓国は「総督府は土地を盗んだ」と今でも抗議している。持ち主不在の土地が国有地となるのは近代国家の常識だが、朝鮮半島にはその常識がなかったということだ。
■農業システムを刷新し生産性が向上
また現地では灌漑設備が未熟で、水田の80パーセントが雨水に依存している状態だった。つまり、ダムや貯水池がほとんどない状態だった。そこで1926(大正15)年に「朝鮮産米増殖計画」が更新され、半島全土にわたり灌漑設備の設置、肥料の改良、冷害に強い品種の育成、農機具の工夫が図られた。
特に功を奏したのが1933(昭和8)年より導入された新品種「亀の尾」だった。これにより生産が増大され、併合の年(1910年)の生産高1000万石は、1940年代には2倍の2000万石へと増加した。
農業生産が上がれば人民が食えるようになり、人口が増えるのは当然のことだ。「朝鮮の人口推移」のグラフを見ればわかるように、日本統治時代、朝鮮の人口はものすごい勢いで伸びていった。
李朝時代の人口の伸びは微々たるものだったが、日本の被保護国となった1905年から急速に人口は増加し、ついには2倍ほどにもなった。
日本は台湾や南洋諸島統治でも同じことをやっている。ただ韓国だけが、日本は統治時代に朝鮮半島から一方的に収奪したと子供たちに教えているのだ。
井沢 元彦(いざわ・もとひこ)プロフィール
昭和29年、名古屋市生まれ。早大法学部卒。TBS入社後、報道局放送記者時代『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞受賞。その後退社し執筆活動に専念。歴史推理・ノンフィクションに独自の世界を開拓。
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