世界でも有数の超学歴社会として知られている韓国。熾烈な受験戦争やスペック重視の採用は格差や少子化などの影響をもたらすという指摘もあります。


井沢元彦さんの著書『真・韓国の歴史 なぜ「反日」を捨てられないのか』では韓国をむしばむ「勝者志向」は、中国から広まった朱子学が影響していると解説。今回は本書からその一部を抜粋し、韓国の学歴社会にある背景をご紹介します。

■異常な学歴社会である理由
韓国を人間の肉体にたとえれば、今の状態は、「朱子学の毒」がまだ全身に回っていて、大変危険な状態だ。しかし、人間に対する医療と同じことで、病気の原因がわかれば病状を的確に診断することも、治療の方法を明示することもできる。

現代の韓国は、他の民主主義国家にはまったく存在しない、さまざまな病的と言ってもいいほどの社会現象に悩まされている。実はそのすべての原因が、朱子学の毒を除去できなかったことにある。

(中略)

まず韓国は異常な学歴社会である。子供の頃から男女共に猛烈な受験勉強を強いられ、一流大学に入学できて何とか卒業し、高級官僚になるかサムスンなどの一流企業に就職できた人間だけが社会的勝者とされる。他の生き方はまったくと言っていいほど認められない。

あえて言うなら、アスリートの道に進んでオリンピックで金メダルを取るか、芸能界に進んで世界的なスターになるぐらいしか、一流大学を卒業しないで社会的勝者となる道はない。

■朱子学がもたらした選別思想
朱子学世界では、人間は能力ある者と能力なき者に選別される。問題は、その選別の手段にペーパーテストを用いるということだ。
近代以前の中国大陸や朝鮮半島では、王族を除けば、科挙というペーパーテストで優秀な成績を収めた者だけがエリートとして認められた。これが士農工商の最上位に位置する「士」だ。

朱子学世界では、人間として完成するためにはたった一つの方法しかなく、それは朱子学を究めることだ。しかし人間には優秀な人間とそうではない人間がいて、その習熟度には差がある。だからペーパーテストで習熟度を測り、合格した優秀な人間をエリートとして抜擢し、そうではない愚かな大衆(農工商)を指導させる。

科挙は基本的に誰もが受験できるわけだから、「平等」で社会的公正さを欠くことはない。ゆえに国家として正しい唯一の道だということである。逆に言えばこういう社会では、1人1票などという「バカな人間の権利を認める」民主主義のような制度は絶対あり得ない。

それが2000年近く中国人(漢民族)が持ち続けてきた絶対の信念であり、小中華、つまり中国の完璧なコピーを目指した朝鮮半島の国家の信念だ。半島を中国の援助で統一した金春秋の新羅以来、高麗、朝鮮(李氏朝鮮)でもそうだった。特に李氏朝鮮は「李朝500年」の間に、国家を本場中国以上の狂信的な朱子学国家にしてしまった。

井沢 元彦(いざわ・もとひこ)プロフィール
昭和29年、名古屋市生まれ。
早大法学部卒。TBS入社後、報道局放送記者時代『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞受賞。その後退社し執筆活動に専念。歴史推理・ノンフィクションに独自の世界を開拓。
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