「たった10万円だし、どこに預けても大して変わらないかも……」そう思って、普通預金に預けっぱなしにしていることはないですか?

決して「たかだか10万円」ではありません。この10万円をどう扱うか、その「向き合い方」こそが、将来の大きな財産を築くための大切なスタート地点になります。


少額からでも「自分のお金」を意識的に管理し、大切に育てる習慣が身につけば、それは数字以上の確かな自信につながります。

今回は、私たちに最も身近なゆうちょ銀行の「定期貯金」を例に、10万円を預けた場合に期間によってどれくらい利息が変わるのかを確認してみましょう。

■ゆうちょ銀行の利息の増え方:「単利」と「複利」の違い
ゆうちょ銀行の定期貯金は、預ける期間によって「利息の計算方法」が変わり、それによってお金の増え方にも差が出ます。

【短期間の増え方(3年未満):単利(たんり)】
単利は「元金(最初に預けたお金)だけに利息がつく」計算方法です。毎年もらえる利息が変わりません。期間の短い貯金の場合、単利で計算するケースは多いです。

【長期間の増え方(3年以上):半年複利(ふくり)】
半年複利とは、半年ごとについた利息をそのまま「元金」に組み入れ、次は「元金+前回までの利息」の合計額に対してさらに利息がつく計算方法です。

ゆうちょ銀行の定期貯金で3年以上預ける場合は、「半年複利」が適用されます。長く預けるほど、利息が利息を生んで増えるスピードが加速します。

■5年預ければ1年ものに比べて利息は「約8.9倍」に!期間による伸び方の違い【2026年3月時点】
10万円をゆうちょ銀行の定期貯金に預けた場合の、利息(税引後)を比較してみましょう。利息からは一律で20.315%の税金が引かれますので、実際に手元に残るのは税引き後の利息です。

【1年後(金利0.4%)】
・400円(税引前)⇒319円(税引後)

【3年後(金利0.6%)】
・1813円(税引前)⇒1446円(税引後)

【5年後(金利0.7%)】
・3555円(税引前)⇒2834円(税引後)

注目すべきは、1年と5年の差です。
5年間預けることで、金利そのものが上がるだけでなく、利息が利息を生む「複利効果」が加わり、受け取る利息額は1年間のときと比べて約8.9倍(税引後)にも膨らみます。

「たった10万円」と侮るなかれ。時間を味方につけるだけで、これほどまでに利息の伸び方が変わってくるのです。「複利の力って、思った以上にすごい!」と実感できるのではないでしょうか。

参照:ゆうちょ銀行「定期貯金 金利」

■10万円なんて……ではなく、老後資金のはじめの一歩に向けて
「10万円預けても利息はこれだけ?」と思うかもしれません。しかし、この一歩は「時間を味方につける」という資産形成において大切な経験になります。

数年前に話題になった「老後2000万円問題」。これは、公的な統計データに基づき、「高齢夫婦世帯の年金収入だけでは、毎月約5万円が不足し、30年間で約2000万円が不足する」という試算がモトでした。

ただし、このケースはあくまで1つの試算にすぎません。住まいや理想の暮らし方によって、必要な額は人それぞれ。一律の数字に不安になる必要はないのではないでしょうか。それよりも大切なのは、自分の状況において不足する金額を試算し、今から準備を始めることです。


■5年間という長期で預ける場合の注意点
ゆうちょ銀行で5年などの長期間預ける際は、「一度に全額を預けるのではなく、いくつかに小分けにして預ける」のが賢いコツです。

今回はたまたま10万円と少額でしたが、中には、100万円などまとまった資金を預ける場合もあるかもしれません。その際は「30万円・30万円・40万円」のように分けておけば、急にお金が必要になったとき、その1口分だけを解約して残りは複利で運用し続けられます。全額を一括解約して低い金利(預入期間内払戻金利)になってしまうリスクを避け、柔軟に備えることができます。

まずは手元にある余裕資金で「お金が育つ体験」を積み重ね、自信を持って次のステップへつなげていきましょう。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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