例えば、親と介護の話、介護に関するお金の話をしたいのにスムーズに進まず困っている人は少なくないでしょう。なぜ親が介護の話を嫌がるのか、どうしたらお金の話を聞き出せるのでしょうか。実際に寄せられた相談内容とともに、介護アドバイザーの筆者が適切なアプローチ方法を解説します。
■親と介護の話ができない
「親が将来の介護の話をするのを嫌がります。お金のことを聞こうとしたら怒られてしまいました。どうしたらいいのでしょうか?」
今回のお悩みは、ミズホさん(仮名/50代女性)からの相談です。
「ふと将来が不安になり、親に電話で先々の介護について考えを聞いてみました。すると『まだ早い』と言われてしまい……それでも『今後の方針を決めるためにも、お金のことを教えて』と食い下がったら、『金が目当てなのか、この親不孝者!』と怒鳴られました。なぜうちの親はこんなにも分からず屋なのでしょうか」
■親が介護の話をしたがらない理由
こういったお悩みは多くの人から寄せられます。実際に対面のセミナーが終わった後、「横井さんが『お金のことは親と話さなければいけない』と言っていたので聞いてみたら、めちゃめちゃ怒られて、今、親とケンカ状態なんです」と言う人もいました。
なぜそういった問題が起きてしまうのか。そしてどう対応すべきかについて詳しく解説します。
まず大前提として、親は介護の話をされたくないもの。これは介護の話をする前に理解しておかなければいけないポイントです。介護の話題を振って喜ぶ親はめったにいないと考えておきましょう。
そして基本的に、親は子どもに対してウソをつく生き物です。それは子どもに心配をかけたくないという優しさから生じるウソです。
例えば、あなたが調子が悪くてせき込んでいるところに子どもが寄ってきて、「風邪なの? 大丈夫?」と聞かれた時に、「もうフラフラでしんどいよ。ダメかもしれない」とは言いませんよね。「今、薬を飲んだところだから大丈夫だよ」などと強がるはずです。それは自分の親も同じです。年を取っても親は親。“子どもに心配をかけたくない”という気持ちは変わりません。
そして、「自分は元気だ。
■お金の話はとてもデリケート
介護に関する話題の中でもお金の話は特にデリケートです。もしも自分の子どもから突然、「パパ、給与明細見せて」「ママ、全財産はいくら? 預金通帳を見せて。キャッシュカードも持ってきて暗証番号も教えて」などと言われたら、「一体なぜ? 何をするつもりなの……?」と警戒しませんか。どれだけ稼いでいたとしても、子どもに自分のお金事情をすべて明かすのは抵抗がありますよね。
しかし親は必ず年を取ります。時期が早いか遅いか、期間が長いか短いかはあったとしても、いつか介護が必要になる可能性は非常に高いので、介護について親と話し合いをするのは大切なことです。その中でお金のことも聞かなければいけないのは間違いありません。
筆者はこれまで多くのセミナーや介護についての本、ホームページでは「親と話し合いましょう」「お金について聞いておきましょう」と勧めてきましたが、いきなり介護の話、その中でも特に繊細なお金の話を切り出すと、たいていの親は驚いて抵抗感を見せます。
急いで無理やり聞き出そうとするのではなく、とにかく親と心の距離を詰めることが大切です。「話し合う」だけでなく、「どう会話するか?」のハウツーを覚えていきましょう。
■介護の話をスムーズに切り出す「週1回1分間の電話」
筆者がかねておすすめしている方法が、「週1回1分間の電話」です。
電話で他愛もない話、例えば「最近寒暖差が激しいけど、体の調子はどう?」といった会話を定期的にする癖をつけましょう。それとともに、少しずつ親に探りを入れていくという方法が有効です。ぜひ1日でも早く実践してほしいです。
誰だって、いきなり核心を突かれたら驚いたり戸惑ったりします。唐突にボールを投げるのではなく、ささやかな会話から親の普段の様子を聞き出していきましょう。
まずは外堀から埋める意識を持ってみてください。その中で、親の考え方や普段の暮らしぶりをより詳しく知っていきましょう。それを何カ月か続けたうえでようやくお金の話題を切り出し、だんだんと内容を聞き出すというのが、現実的な手段ではないでしょうか。
収入・支出・資産・保険など、お金について知っておくべきことはとても多いです。皆さん自身が、子どもにそれらを聞かれてすべて説明できるかと言われたら、おそらくスラスラと答えられる人の方が珍しいでしょう。自分のことに置き換えて考える癖をつけると、親に対して「分からず屋」だとは思わずに済むのではないでしょうか。
▼横井 孝治プロフィール両親の介護をする中で得た有益な介護情報を自ら発信・共有するため、2006年に株式会社コミュニケーターを設立。翌年には介護情報サイト「親ケア.com」をオープン。介護のスペシャリストとして執筆、講演活動多数。また、広告代理店や大手家電メーカーなどでの経験を生かし、販促プロデュース事業も行う。All About 介護・販促プロモーションガイド。
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