今回は、All Aboutマネー編集部が毎月実施している「家計のアンケート」の回答や公的データをもとに、60歳以上の医療費の支払い状況を整理しました。
■60代以上の約4割が「毎月の医療費」を支出
All Aboutが実施している「家計についてのアンケート」(2025年1月~2026年1月集計分)によると、60歳以上の回答者(449名)のうち約46%(206名)が、毎月の家計で医療費の支払いがあると回答していました。
また、厚生労働省のデータによれば、65歳以上の1人当たりの平均医療費は年間79万7200円。自己負担が2割であれば年間約16万円、1割でも年間で約8万円かかる計算になります。
さらに、入院ともなれば自己負担費用の平均は約18万7000円(生命保険文化センター調査)にものぼります。
こうした「いつ、いくらかかるか分からないお金」に、どう向き合えばよいのでしょうか。経済ジャーナリストでAll Aboutマネーガイドの酒井富士子さんに教えてもらいました。
■医療費の負担が、本当にズッシリくる時期とは?
まず知っておきたいのは、医療費の備えといっても、65歳になってすぐに医療費の負担が重くなるとは限らないということです。
実際に負担感が強くなってくるのは、75歳、さらには85歳以降と考えていいでしょう。これは、年齢が上がるほど入院が長引きやすくなるからです。しかも、負担は医療費だけではありません。
「高額療養費制度」があるので医療費そのものはある程度抑えられても、実際には食事代やリネン代、おむつ代、日用品代など、保険の対象外の費用がかなりかかります。
私の父が入院したときも、1カ月でだいたい10万円はかかっていました。
■60歳から始める、85歳以降のための資産運用
私が老後資金でもっとも意識したいと思っているのは、85歳以降にかかるお金です。
医療費だけではありません。介護費用もかかりますし、老人ホームなど施設に入る可能性も出てきます。そう考えると、定年時点で「85歳以降のためのお金」を別枠で考えておくのが理想です。
目安としては、500万~1000万円を85歳以降の介護・医療・施設費のための資金として確保し、NISAで運用を始めることをおすすめします。
60歳から25年間、年率5%で運用できれば、1000万円は3880万円ほどになります。そこまで増やせれば、医療費や介護費、施設費をカバーしてもおつりがドカンときます。
もちろん、誰もが定年時に1000万円を用意できるわけではありません。ただ、老後資金を考えるときに、生活費とは別に「85歳以降に使うお金」という箱を持っておくことはとても大切です。
シニアの医療費は、目先の通院費だけを見るのではなく、長い時間軸で考えるべき支出といえるでしょう。
【アンケート調査概要】
対象:All About読者
期間:2025年1月~2026年1月
調査方法:ネットによる任意回答
有効回答総数:1197(うち60歳以上:449)
文:酒井 富士子(経済ジャーナリスト)
「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長歴任後、リクルートに転職し、定年あるじゃん、あるじゃん投資BOOK等の立ち上げ・編集に関わる。
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