「お金を貸して」と繰り返す毒親の言動に、特定の家族だけが疲弊していませんか。親族間だからこそ泥沼化しやすい金銭問題を、感情論ではなく「仕組み」で解決する方法を考えます。


『毒親を在宅で見送った緩和ケア医が伝える 関係のよくない親を看取るということ』(岡山容子著)は、緩和ケア医の岡山さんが自身の体験談を踏まえ、複雑な背景を持つ「関係のよくない親」「疎遠な親」の最期にどう向き合うべきかを紹介する一冊。

本書から一部抜粋し、親のお金に対する執着や、きょうだい間の不公平感を解消するために編み出された「積立防衛術」の実態を語ります。

■特定の子供に偏る金銭負担
お金のことではもう一つ。それは「積み立て貯金」のすすめです。私たち姉妹は、お金の揉めごとを回避するために4人で毎月積み立てをしています。

もともとは、母があれこれと経済的に問題を起こすので、それに対応するために少しずつでも積み立てようとしたのがスタートです。

母のお金の無心の矛先は、「心優しい長女」か「経済的に余裕のある男性と結婚した四女」に向きました。

いつも怒っている私や経済的に余裕があまりないと思われる三女には、母からの無心は少なかったのです。私は両親に対して無関心でもあり、あまり気づかなかったのですが、結婚してからの四女の負担はかなりのものだったようです。

結果、四女が母のお金の無心問題で音をあげたので、その解決策として「姉妹での積み立て」を始めたのでした。その家庭やきょうだいの状況ごとに解決策は違うと思いますが、私たち姉妹は「積立金額は1万円/月」の設定にしました。

■姉妹4人で月4万円の積立
4人で4万円×12か月で年48万円です。


この金額では高すぎる、安すぎる、いろんな意見が出ましたが、今となっては妥当な金額だと思います。母が亡くなった2017年には200万円くらい貯まっていましたから、父と母が再婚する前の2013年くらいから始めたことだと思います。

年間50万円程度の貯金ができるというのはありがたいものです。

できれば年25万円程度(1人っ子なら月2万円の積み立て、2人きょうだいなら月1万円の積み立て)の貯金があると、助かることは多いのではと感じます。もちろんきょうだいであっても、お金に対する価値観はバラバラです。置かれている状況も違います。

積み立てをするにあたっても、それぞれの意見が違ってすんなりとは決まりませんでした。

・積立金額をいくらにするのか
・誰の名義の口座にするのか
・振り込み方式か自動引き落としか
・手数料は誰が払うのか
・使うときは、どのように使うのか

などと、細かい点でも話し合いが必要です。

■親の経済状況を知る防衛策
もちろん「親の介護や親の看取りは親のお金で」というのは大前提です。「親のことは親が自分で支出すべし」というのは理想ではあるのですが、実際は、そううまくいかないことも多いものです。

ましてや「関係のよくない親」「疎遠な親」だと、親の経済状況をまったく把握してないことも多いです。であれば、きょうだいで話し合って、こうした「積み立て貯金」をしておくのは、防衛策として重要だなと実感しました。


岡山 容子(おかやま・ようこ)プロフィール
医師。おかやま在宅クリニック院長。1971年、大阪府堺市生まれ。四人姉妹の次女として育つ。1996年、京都府立医科大学卒業後、麻酔科医として京都府立医科大学病院や西陣病院にて勤務、その後在宅医療分野へ転向。2015年、京都市内に在宅療養支援診療所おかやま在宅クリニックを開設し、訪問診療、緩和医療、認知症治療などに携わる。2018年より産経新聞大阪本社地方版でコラム「在宅善哉」を連載開始(筆名:尾崎容子)で。現在は終末期をみる医師として、地域密着医療を実践するほか、看取りの勉強会を主宰する。
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