■ポイ活も大事かもしれないけど
「少しでもトクをしたい、節約したいという気持ちは私にもあります。だけど、そのために手段を選ばないというわけにはいかない。というのは、友人のマリさんが節約し過ぎて人間関係を壊してしまったから」
チナミさん(43歳)は複雑な表情でそう言った。マリさんとはママ友で、ほどよい距離感を保ちながら仲よくしてきた。
「だけど、彼女のだんなさんが失業したんですよ、3年前。幸いすぐに次の仕事は見つかったけれど、そこからマリさんは変わってしまった。夫の失業数カ月がよほど堪えたんでしょうね。もうぜいたくはできないと言いだして」
それまでより時給の高いパートの仕事に就いた。仕事は心身ともにきつかったようだが、「お金のため」と割り切った。以前から興味のあったポイ活にも拍車がかかった。ファストフードでお茶を飲んでも「私がキャッシュレスで払う」とまとめて払ってポイントを稼いでいた。
■食べ放題の店でまさかの行動に
「世帯収入でいえば、マリさんのところもうちも変わらないと思います。でも私は、必死に節約というのがどうしてもできなくて。見栄を張っているわけじゃないけど、あまり神経が細かい方ではないので、うまくポイ活ができなくて。マリさんに教えてもらおうと思ったけど、彼女は教えてはくれなかった。自分が少しでも得したいから、人には言わないのよと陰口を言う人もいました」
あるとき、両家の夫たちがいない休日、子どもたちも連れて「食べ放題」の店にランチに行ったことがある。マリさんは前のめりになって食べまくった。今日は朝食を抜いたのよ、私も子どももと彼女は言った。
「あげく彼女は小ぶりのタッパーをいくつか持ってきていて、テーブルの下で一生懸命詰めているんです。食べ放題の店でそれはまずいんじゃないかなと思ったけど、面と向かって注意するわけにもいかなかった。彼女は子どもを盾にして、その陰で必死にやっていたので、なんだかせつなくなってきて」
それからは、マリさんと頻繁には会わなくなっていった。
■病気が発覚して
つい先日、チナミさんはマリさんのうわさを聞いた。
「彼女、入院したというんです。あまり会わなくなっていたけどやはり心配になって連絡をとったら、かなりの大病で……。だんなさんから聞いたんですが、少し前からかなり具合が悪かったけど、病院に行くとお金がかかるという理由で行かなかったらしい。だんなさんは『健康診断を受けなさい』と言っていたのに、それもしていなかったと。結局、どんなに節約しても体を壊したら何にもならない」
家庭での食事もかなり切り詰めていたようだった。マリさんの夫はシフト制の仕事で、毎日家で夕飯を食べるわけではないので、家庭の食事にはなかなか気づかなかったようだ。さらに10歳になる息子も「低栄養」と診断されたという。
「そんなにまでして節約して、頑張ってお金を貯めていたみたい。でも病気になってしまったから、かなりお金もかかることになりそうだった。そうしたらマリさん、『私の治療は最低限でいいから、お金を使わないで。息子のために使って』と言ったそうです。
自分が失業したころから妻は変わってしまったと、夫はせつなそうにつぶやいていたという。
■生きているだけで大変だけど
息子を医者にしたいとマリさんはよく言っていた。だがその夢が自分自身をも追いつめていったのではないだろうか。そもそも息子が医者になりたいと思うかどうかも分からないのに。
「幸い、彼女はとりあえず普通の生活ができるようにはなりました。でも完治というのが難しい病気らしくて、これからも病院通いは続く。つい先日、ばったり会ったので『元気そうでよかった』と言ったら、『生きているのがつらいわ』と顔が曇っていました」
先が見えない今の世の中で、子どもの将来のために節約に燃えるのは分かるとチナミさんは言う。
「ただ、今がなければ将来もないわけで。確かに生きているだけで大変だけど、生活全てにむやみに節約するより、メリハリのある暮らしをした方がいいのかもしれないと思うようになりました」
チナミさんは、どうせ生きるなら日々、なるべく笑って生きていきたい、少しでも明るく暮らしていきたいと言った。今を生きる多くの人々がそう思っているのかもしれない。









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