還暦前後、アラ還にして一人暮らしの女性たち。なんだか生気のない人もいれば、過去にはいろいろあったものの、「今」を生きて輝いていると思える人もいると、年下女性たちは感じている。
どこがどう違うのだろうか。

■いつでもご機嫌な60歳先輩女性
「うちの会社は65歳定年なんです。バリバリに働いている今年還暦の独身先輩女性は、いつでもご機嫌な人。朝、彼女に会って満面の笑みで『おはよう』と言われると、無条件に今日はいいことがありそうだと思える。彼女に関しては、誰も年齢など気にしていないと思います」

リオさん(32歳)はそう言う。先輩は、いつでもご機嫌だが、上司や取引先などにこびることはない。こびてはいないが感じがいい、だから先方も機嫌がよくなり、仕事もうまくいくという循環なのだそう。

「仕事上、社内外で揉めることもありますよね。でも彼女は感情的にならないんです。相手を粘り強く説得していく感じ。できるはずのことができないと先方が言ったら、『できるって言いましたよね』と私なんかはつい声を荒らげてしまうけど、彼女は『できるという前提でうちは進めていました。できなくなった理由は何ですか』『そういうことなら、これをこうすればできる可能性はありますか?』『一緒にやってみましょうよ』という感じで話を進めていくんです。
交渉のプロだと上司も唸っていましたね」

だからといって自分の手柄を自慢することもない。「仕事はみんなが頑張った結果だから」とさらりと言う。

「なんだかかっこいいんですよね。本人はかっこいいことも意識してないそうですけど。私がキャリアを積み重ねても、ああなれるかどうかは分からないなと思います」

■60歳にしてドラムに熱中
そんな先輩は、誘えば飲み会にもやってくるが、一次会で「あとはみんなで楽しんで」と帰っていく。年上の自分がいると、みんなが本音を言えないのではないかという気遣いだ。

「1度、あとを追って私から誘い、二人で飲んだことがあるんです。楽しかった。でも必要以上には親しくなろうとしていない気がしました。若い人に頼るのはいいけど、依存するようになるのが怖いとも言っていた。自制心が効く人なんだなと思いました」

だからこそかっこいいとリオさんは言う。孤独を恐れない女性はすてきだと。
そんな先輩は、2年前から突然、ドラムを習い始めたそうだ。今年はストリートダンスにも挑戦したいと言っている。

「“老い”を引き寄せる人と、老いと共存する人、老いをそれとなくよけて歩く人、思い切りはねのける人。たぶんさまざまな生き方があるんでしょうけど、先輩はそれとなく、ごく自然によけて歩いているような気がします」

そんな還暦は、誰が見てもすてきなのかもしれない。

■「呪いの言葉」を吐くアラ還女性
職場にいる58歳の先輩女性が、マイコさん(33歳)は怖くてたまらないという。怖いと言っても、先輩が怒るわけではない。

「その先輩、やたらと“呪いの言葉”を吐くんですよ。バツイチ子どもなしなんですが、社内の誰かが結婚すると聞くと、『墓場に近づいたというわけね』とつぶやくし、誰かに子どもが生まれたと聞くと『まともに育てばいいけどね』と言う。世をはかなんでいるというか、超現実的というか。本人の目の前で言うことはありませんが、それでも耳に入る可能性は大きいわけだから、自分がどう思われているかは分かっていると思うんですが」

それでも先輩のある種の「呪いの言葉」が途切れることはない。マイコさんは同じ部署なので、仕事上でも同じように言われるケースもあるという。

「連絡事項を部内で共有したとき、その先輩は『こういうやり方がうまくいった試しがないのよね』などと言い出すわけです。
何を根拠にというと、『私の経験上』って。経験が全てなんですかと言いたくなります。結果、うまくいくと『あのときの私の注意が効いたのね』となるし、うまくいかないと『やっぱりね』となる。いつだったか、『何かやる前に、呪いの言葉をかけるのはやめてください』と言ったことがあるんですよ。彼女はニヤリと笑って『転ばぬ先の杖って言うでしょ』って。でも何かする前から否定的な言葉を投げられると、モチベーションが下がるんですよ。『モチベーションに頼るのはどうかと思う』と言われて、さらにムッとしたことがありました」

■孤独をまき散らさないで
職場で否定的な言葉を発せられると、確かに士気が上がらなくなる。もし注意事項を確認したいなら、「ものには言い方があるはず」とマイコさんは言う。

「結局、いつも一人で寂しいんだろうなと周りは思うんですよね。本人が寂しいと思っているかどうかは分からないけど、楽しそうにしている人と毒ばかり吐いている人とでは周りの評価も違ってくる。不快さと孤独をまき散らさないでほしいと思っています」

人は社会で生きるもの。自分のいる社会で楽しく生きようと思うなら、自らが人に楽しい気持ちを与えるべきだろう。
それができないと、「ただの孤独なアラ還」だと思われてしまいがちだ。
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