老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、遺族年金と老齢厚生年金についての質問です。

■Q:遺族年金と老齢厚生年金、両方もらえると思っていたのに減るのはなぜ?
「遺族年金と自分の老齢厚生年金は両方もらえると聞いていたのですが、実際には減ることがあると知りました。なぜ減ってしまうのでしょうか」(50代・女性)

■A:自分の老齢厚生年金が優先して支給される仕組みになっているためです
厚生年金に加入していた人は、原則として65歳から老齢厚生年金を受け取れます。65歳以降に、遺族厚生年金と自分の老齢厚生年金の両方を受け取る権利がある場合でも、両方をそのまま満額受け取れるわけではありません。

これは、年金制度に「併給調整」というルールがあるためです。65歳以上で、自分の老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方の受給権がある場合は、まず自分の老齢厚生年金が優先して支給されます。

そのうえで、遺族厚生年金は、遺族厚生年金の額から自分の老齢厚生年金の額を差し引いた差額分が支給される仕組みです。つまり、実際には「遺族厚生年金」と「自分の老齢厚生年金」のうち、金額が高い方を上限に調整されることになります。

例えば、遺族厚生年金の方が高い場合は、自分の老齢厚生年金を受け取ったうえで、差額が遺族厚生年金として支給されます。一方で、自分の老齢厚生年金の方が高い場合は、自分の老齢厚生年金のみが支給され、遺族厚生年金は支給停止となることがあります。

また、遺族年金と老齢年金では、税金の扱いも異なります。
遺族年金は非課税ですが、老齢年金は所得税や住民税の対象になります。そのため、見かけ上の受取総額が大きく変わらなくても、課税される老齢年金の割合が増えることで、手元に残る金額が少なく感じられる場合があります。

「両方もらえる」といっても、実際には全額ずつ上乗せされるわけではなく、制度上の調整が入るため、結果として減ったように見えるのです。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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