■Q. 「ジビエ肉は感染リスクが高くて危険」って本当ですか?
Q. 「シカなどのジビエ肉は、脂肪が少なく体にいいイメージがありますが、野生の生き物の肉は危ないと聞きました。たまに販売されていますが、ジビエ肉を調理するときの注意点はありますか? 見た目が新鮮そうで臭いにも問題がなければ、少し赤みが残っても大丈夫なのでしょうか? 病気のリスクと注意点を知りたいです」
■A. 生食や加熱不足は禁物です。ポイントを押さえて楽しみましょう
「ジビエ」とは、狩猟で捕獲された野生の鳥獣のことですね。日本では、シカやイノシシ、野ウサギ、カモ、キジなどが代表的なジビエです。脂肪が少ないヘルシーな肉として、健康意識が高い方にも人気のようですが、人が管理し育てている家畜とは異なり、野生の生き物は安全管理されているわけではありません。流通ルートにもよりますが、肉そのものに細菌やウイルス、寄生虫を持っている可能性があります。
実際に2003年には、生のシカ肉を食べた4人が6~7週間後にE型肝炎を発症しました。E型肝炎は現在も国内で年間400~600例程度報告されており、発熱や黄疸、だるさなどの症状が現れる病気です。多くは自然に治りますが、妊婦や高齢者では劇症肝炎になることもあります。
2020年に行われた、野生動物のE型肝炎ウイルス抗体検査の研究によると、イノシシ2363頭と13道県のシカ1822頭のうち、イノシシ360頭(15.2%)、シカ1頭(0.1%)が陽性であったと報告されています。シカだけでなく、イノシシにも注意が必要です。
また、厚生労働省の調査(2011~2013年)では、イノシシやシカのふんからサルモネラ菌や、溶血性尿毒症症候群(HUS)の原因となるベロ毒素産生性大腸菌が見つかったことも報告されています。
ジビエを安全に食べるために、次の点を心掛けましょう。
・生食は避け、肉の中心部を75℃で1分間以上加熱する
・狩猟・捕獲の記録がはっきりしている、健康な個体の肉を選ぶ
・使った調理器具はしっかり消毒する
・ジビエに使った包丁やまな板を、ほかの食材と共用しない
ジビエは正しく選び、しっかり加熱すれば、おいしく楽しめる食材です。11月15日から2月15日までの狩猟シーズンは、ジビエを口にできる機会も増えます。リスクを正しく理解したうえで、安全に味わいましょう。
▼清益 功浩プロフィール小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
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