柿原徹也さんが10枚目のミニアルバム『://www.MUSEich』を11月6日にリリース! アーティスト活動15周年を来年に控えた今作は、「過去の曲からインスパイアされた新曲を今の柿原徹也が歌うとどうなるか?」がコンセプト。チームも新体制となり、さらにレベルアップした柿原さんを堪能できる一枚となっています。
ここでは楽曲制作やタイトルに込めた思いなどを語っていただきました。

──今回のミニアルバムは、過去にリリースした楽曲をリファレンスした新曲が収録されているとか。

柿原 過去の曲のリファレンスではありますが、それをどう落とし込むかは作詞・作曲家さんにお任せしました。だから今回のミニアルバムは、作詞・作曲家さんたちが一番大変だったと思います(笑)。皆さん、リファレンスという言葉が安っぽく聞こえるくらい、素晴らしい楽曲を作ってくださいました。

──ミニアルバムのタイトル『://www.MUSEich』は、どう読むのでしょうか?

柿原 読み方、難しいですよね(笑)。正直、読めなくていいです。そもそもリード曲のタイトルを決める時に、歌詞に登場する「Music Fighter」をそのままの表記でタイトルにするのもどうかなと思ったんですよ。
それで、「ミュージックの語源でもある芸術の女神・ミューズが一緒に居てくれたら、音楽・芝居・芸能などに携わっている身としても嬉しいな」という思いから、「MUSEic FIGHTER」という表記にしました。そこからミニアルバムのタイトルを考えた時に、「MUSEic」ってシンプルでいいなと感じたんです。

──hが足されてドイツ語の「Ich(編集部注:ドイツ語で「私」の意味)」とも読めますし、URLのような表記になっていますよね。

柿原 ミューズと、自分という意味での「Ich」と、URLみたいに「www」とかをつけたら、ミューズのもとに飛べるんじゃないか……といった思いを込めてみました。
ただ、これをこうやって説明するのが、すごく恥ずかしい!(笑)

──野暮ですみません(笑)。

柿原 もっとラフでいいんです。このタイトルをどういうふうに読むかは、皆さんに委ねたいくらいなので。
一つこだわったのは、ジャケットでの表記ですね。タイトルの頭に鍵のマークがあって、アンロックになっているんです。インターネットでは「ここのサイトは危険ですよ」というマークで、「このミニアルバムにハマっちゃうかもしれないよ」「中毒性があるかもしれないよ」というニュアンスでつけていただきました。

──各曲についてお聞かせください。まず1曲目に「ラヴラヴ☆ギャンブル」を収録された経緯は?

柿原 まずは明るく始めたいなというところで、単純に6曲並べた時にこの曲のノリが一番ピッタリだったからですね。前回のシングル『Give It To Me』が「Oh oh」から始まるので、今回は「Fuuuu!」でスタートしたらいいんじゃないかなと思って持ってきました。
テーマとしては、リファレンスとなった曲が「お酒の場で意中の相手を落とす」ことをボクシングにかけていたものだったので、意中の相手を落とすというところだけを踏襲していただきました。

──先ほどお話にも上がりましたが、2曲目の「MUSEic FIGHTER」はミニアルバムのリード曲ですね。

柿原 いろいろな経緯があってリード曲になったのですが、Tomohiro Nakatsuchiさんが本当に素敵な曲を書いてくださいました。
今回のミニアルバムのタイトルを考えると、この曲がリード曲になったのはミューズのお導きなのだと思います。

──3曲目の「青嵐」はライブで盛り上がりそうな楽曲です。

柿原 これはうちのバンドでギターを担当している睦月周平くんに、「スケジュール的に忙しいだろうけれど、書いてほしい!」とラブコールして書いてもらった曲です。これをどう披露したらいいか、お客さんがどういう表情をするんだろうか、どういうふうに盛り上がってくれるのかと、ちゃんと考えてくれているのが伝わってくるメロディだなと思いました。

(C)Kiramune Project

──「Binary Star!」も、Nakatsuchiさんが作詞・作曲されていますね。

柿原 聴いた瞬間に耳馴染みがいいというか、「これ好きだ!」と感じる曲ってありますよね。それがまさにこの曲で、「Nakatsuchiさんの曲が2曲になってしまうけれど、入れたい!」とお願いして入れてもらいました。
メッセージ性はあるけれど歌い上げる曲ではないので、さらっと聴けるBGMのようなイメージで歌いました。ただ、さらっと聴くにしてはトラックが多くて、レコーディングは大変でした(笑)。

──「Love Letter」は日本語の歌詞がストレートに響く曲ですね。

柿原 これはうちのバンドのキーボード兼バンマスのりょぺす(荒幡亮平)と、宮嶋淳子さんのいつものタッグです。りょぺすはもちろんですけど、宮嶋さんも僕が歌うことをちゃんと考えて書いてくれているのが嬉しいですよね。

曲に合っている歌詞というだけではなく、「カッキーが歌うのなら……」と書いてくれているから、歌いやすいんです。ストレートに刺さった曲なので、皆さんにもストレートに届けられたらいいなと。このラブレターが誰に向けて書いたものなのかは、ぜひ皆さんに考えてほしいです。

──「♯笑っちゃうよな」のリファレンスは、あの名曲かなと思うのですが……。

柿原 いや~、これが一番、元となった曲が謎でしょう! 皆さんもきっと分からないと思います!(笑) まあ、今回はあえてどの曲が元となっているのかは、明言しないでおこうと思っていて。

──そのほうが皆さんも予想して楽しめそうです。

柿原 それもあるし、本当にどれも素敵な曲を作ってくださったから、リファレンス曲を挙げる必要もないと思うんですよ。それを前提にしつつも、この曲はある意味、本当のリファレンスですね。あの曲を作ってくれた佐伯youthKくんにしか作れない曲だなと、最初のフレーズを聴いた時に感じました。

リファレンス曲のモチーフが桜で、あれからもう9年も経っている。そりゃ桜の木も一回枯れますよ。でも、そこからまた新たに咲かそう、蕾を探しに行こうというのが、本当に素敵だなと思いました。


──「♯笑っちゃうよな」というタイトルは柿原さんが考えたそうですね。

柿原 最初に曲が上がってきた時、空白で「(タイトルどうしよう)」と書いてあったんです(笑)。それなら僕が決めていいんだなと思って歌詞を見たら、思わず本当に笑ってしまって。
こうして十何年も音楽活動を続けていると、その間に僕らから離れてしまった人もいて……でも、「あいつはどうしてるか」と思い出したり、なんだかんだ言っていい思い出になっていたりして、今となっては笑ってしまうなと。それが歌詞に書かれていたので、タイトルを「笑っちゃうような」にしたんです。

──頭に「♯」がついているのは?

柿原 これ、ハッシュタグに見えちゃうと思うんですけれど、違うんです。じつはシャープなんです。リファレンス曲と同じテンションで「笑っちゃうよな」と言うと、苦笑に聞こえてしまうので、半音上がってポジティブで明るい音に聞こえるようにシャープをつけました。

──「トラベラー」は通常盤のBonus Trackに収録されているのですね。

柿原 ナベタク(渡辺拓也)さんが、リード曲になってもいいくらい本当に素晴らしい曲を書いてくださって! これまでのナベタクさんの曲の要素などが散りばめられていて、柿原をずっと応援してくださった人たちにはすごく刺さると思います。
だからこそ、リード曲にするには少し身内に寄り過ぎてしまうかなと思い、リード曲ではなく通常盤のBonus Trackに収録させてもらいました。

──MVでは柿原さんのリップシンクにあわせて、青年たちの青春が描かれていました。


柿原 エモかったですよね! 男の子たちがナチュラルな芝居をしてくれていて、すごく素敵でした。ちょうど台風が来ている最中の撮影で、僕はなんとか撮れたけれど、さすがに男の子たちはロケだったので別日になって。でも、そのおかげで台風一過の晴れ空で、とても綺麗な映像が撮れました。

撮影自体も、監督が『Give It To Me』『DIAMOND BEAT』でご一緒した方なので、安心してお任せできました。
ただ、せっかくチームも新体制になったので、今後はリード曲を決める段階からMVのイメージなどをより積極的に考えられるシステムを作っていきたいなと思っています。

>>>柿原徹也さん10thミニアルバム『://www.MUSE'ich』ジャケットなどを見る(写真3点)

柿原徹也(かきはら てつや)
12月24日生まれ。Zynchro所属。主な出演作は『FAIRY TAIL』(ナツ・ドラグニル)、『あんさんぶるスターズ!』(明星スバル)、『弱虫ペダル』(東堂尽八)、『杖と剣のウィストリア』(ユリウス・レインバーグ)ほか。

(C)Kiramune Project
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