近年、音楽業界の構造が大きく変わっている。CD販売が音楽会社を支える仕組みも大きく変わり、アーティストの演奏に直接ふれることの出来るライブが人気となっている。
これはアニメの音楽(アニソン)も同様だ。業界のトップで活躍するおふたりランティス代表取締役社の井上俊次氏とドワンゴの執行役員CPO(チーフ・プロダクツ・オフィサー)の太田豊紀氏のトークの第3回は、ライブとネットの取り組みについて伺った。業界の変化を感じさせる話が次々に飛び出した。
[取材・構成:数土直志]
ランティス http://www.lantis.jp/
ドワンゴ http://info.dwango.co.jp/
「animeloLIVE!」 http://live.animelo.jp/
■ 東京五輪で小屋が足りなくなる?!ライブビューイングの可能性
-海外ではライブが難しい地域あると話しがありましたが、ライブが難しいとなると配信があります。もう一方で、コンサートのライブ・ビューイングもあります。国内、そして海外にアニソンをライブ・ビューイングで届けることは考えられていますか?
-太田豊紀氏(以下太田)
はい、もちろん。ライブ・ビューイングでもネットでも、やれるものはやりたいですね。
-井上俊次氏(以下井上)
たとえば、台湾でやっている公演を日本で見ていただくとか。そういうことが多くなっていくでしょうね。
話は飛びますが、オリンピックがあるということで、いろんなコンサートホール、武道館や代々木体育館も改装に入るんです。そうなると、小屋が本当に無くなってきてしまう。
-太田
本当にないんです。
-井上
いちばん良いのは、静岡でやったライブを東京でライブ・ビューイングを映画館で見るとか。もしくは海外でやっているものをライブ・ビューイングで東京の人たちが見るという環境になる可能性もあると思います。
-野外ライブはいかがですか?
-井上
ランティス祭りは野外ですよね。たとえばアニメロサマーライブさんと特徴を変えるには、野外というのがランティスっぽいんです。屋台も出て、そういうムードなんですよ。
今度は東京で9月23、24、25日でやらせて頂きます。
-9月のイベントはお台場の公園ですが、どのくらいの規模になりますか?
-井上
スタンディングではなく、立ち位置指定で1万近く入ると思います。
-長さはどれくらいに?
-井上
音止めの規制があるので終わりを決めて、たぶん5、6時間だと思います。
-相当楽しめますね。
-井上
海外については9月に発表させていただきます。
-アニメロサマーライブは、海外の予定はありますか?
-太田
台湾をもう1回やろうと思っています。
-今まで海外の話ばかりしましたが、たしかに日本の各地のツアーも重要です。
-太田
国内だとアーティスト自身のツアーもありますので物理的に難しいんですよ。でも年に1回はどこかの地方をやりたいです。アニサマのお客さんのプロファイル見てみると、圧倒的に関東の方が多いんです。もちろん、地方、北海道から沖縄、それこそ台湾からも来ていただいているのですが、それでも8割は関東ですからね。
-さいたまスーパーアリーナみたいに大きくしないで、もうちょっとスケールを小さくして国内の各都市でやる可能性はどうですか?
-太田
アニサマ本体だとどうしても15000とかのキャパが必要なのですが、地方だと2000、3000の会場しかないのが大変なところです。
■ ネットで伝えるライブステージの挑戦
-ネットのことも伺っていいですか。ネットでライブを伝えるというのは今でもありますが、まだまだ増えますか?あるいはこれまでと異なったやり方がありますか?
-太田
「animeloLIVE!」(*1)という動画見放題のサイトを立ち上げたんです。「animeloLIVE!」の有料会員になれば、チケットを買わずにライブを見ることができる。そんなライブを我々が主催でたくさん作っていこうと思っています。
キャパはそんなに大きなところではなく300人から1000人くらい、「animeloLIVE!」の会員さんを抽選で無料で入れて、いろんな人に見ていただきます。
アニサマだと、いろんなアーティストさんのご紹介はできるんですけど、気になったアーティストさんをもうちょっとたくさん見たいと思ってもなかなか難しいんです。しかもそれぞれのアーティストさんのライブはかなり先だったり、単独ライブはあんまりやられていなかったりします。そういう方に場をご提供させていただきたい。
できれば毎週パフォーマンスをしていただいて、プレミアム感があり、かつ親近感があるようなライブを目指します。それをさらにネットで、会員の方に見ていただくというモデルを追求してみたいと思っています。
(*1) animeloLIVE! http://live.animelo.jp/
-「animeloLIVE!」の発表をを聞いたときに、アニメロサマーライブみたいな大きなイベントをお金を払ったら見れるのかなと思っていたんです。むしろ逆方向ですよね。
-太田
そうですね。ネット発のライブもあってもいいんじゃないかなと考えています。
我々できちんとライブをつくって、ネットのライブも楽しいね、と言っていただけるように努力していこうと思っています。
-それは月額課金ですか?
-太田
消費税込みで月額1100円です。月額課金をすれば何回でも、どの方のライブでも見れます。
-井上
太っ腹ですね(笑)。
-それでなぜ採算が合うのか不思議です。でもニコニコさんはいつも最終的に合っていますね。
-太田
不思議なことに合うんです。
-井上
以前、ニコファーレが出来たときに、ニコニコ動画を見ている方だけのライブをJAM Projectでやらせてもらいましたよね。
お客さんを入れないので、ダーン! と曲が終わっても拍手がない(笑)。見てると「8888」と。大丈夫だよね?誰に向かって話せばいいのかな?って(笑)。
-太田
何回かお客さんがいないライブもやったことがあるんですけど、さすがにアレはダメだなと(笑)。やっぱり現場の盛り上がり感がないとダメなんですよね。
今回は小キャパですけどお客さんに入っていただいて、現場も盛り上がって、ネット上でも盛り上がるというかたちを考えています。
第4回「アニソン界の5年後」に続く
そしてインターネットを通じた音楽も単なる配信から様変わりしている。
これはアニメの音楽(アニソン)も同様だ。業界のトップで活躍するおふたりランティス代表取締役社の井上俊次氏とドワンゴの執行役員CPO(チーフ・プロダクツ・オフィサー)の太田豊紀氏のトークの第3回は、ライブとネットの取り組みについて伺った。業界の変化を感じさせる話が次々に飛び出した。
[取材・構成:数土直志]
ランティス http://www.lantis.jp/
ドワンゴ http://info.dwango.co.jp/
「animeloLIVE!」 http://live.animelo.jp/
■ 東京五輪で小屋が足りなくなる?!ライブビューイングの可能性
-海外ではライブが難しい地域あると話しがありましたが、ライブが難しいとなると配信があります。もう一方で、コンサートのライブ・ビューイングもあります。国内、そして海外にアニソンをライブ・ビューイングで届けることは考えられていますか?
-太田豊紀氏(以下太田)
はい、もちろん。ライブ・ビューイングでもネットでも、やれるものはやりたいですね。
-井上俊次氏(以下井上)
たとえば、台湾でやっている公演を日本で見ていただくとか。そういうことが多くなっていくでしょうね。
話は飛びますが、オリンピックがあるということで、いろんなコンサートホール、武道館や代々木体育館も改装に入るんです。そうなると、小屋が本当に無くなってきてしまう。
-太田
本当にないんです。
-井上
いちばん良いのは、静岡でやったライブを東京でライブ・ビューイングを映画館で見るとか。もしくは海外でやっているものをライブ・ビューイングで東京の人たちが見るという環境になる可能性もあると思います。
-野外ライブはいかがですか?
-井上
ランティス祭りは野外ですよね。たとえばアニメロサマーライブさんと特徴を変えるには、野外というのがランティスっぽいんです。屋台も出て、そういうムードなんですよ。
今度は東京で9月23、24、25日でやらせて頂きます。
-9月のイベントはお台場の公園ですが、どのくらいの規模になりますか?
-井上
スタンディングではなく、立ち位置指定で1万近く入ると思います。
-長さはどれくらいに?
-井上
音止めの規制があるので終わりを決めて、たぶん5、6時間だと思います。
-相当楽しめますね。
-井上
海外については9月に発表させていただきます。
-アニメロサマーライブは、海外の予定はありますか?
-太田
台湾をもう1回やろうと思っています。
国内の地方都市もやりたいですね。
-今まで海外の話ばかりしましたが、たしかに日本の各地のツアーも重要です。
-太田
国内だとアーティスト自身のツアーもありますので物理的に難しいんですよ。でも年に1回はどこかの地方をやりたいです。アニサマのお客さんのプロファイル見てみると、圧倒的に関東の方が多いんです。もちろん、地方、北海道から沖縄、それこそ台湾からも来ていただいているのですが、それでも8割は関東ですからね。
-さいたまスーパーアリーナみたいに大きくしないで、もうちょっとスケールを小さくして国内の各都市でやる可能性はどうですか?
-太田
アニサマ本体だとどうしても15000とかのキャパが必要なのですが、地方だと2000、3000の会場しかないのが大変なところです。
■ ネットで伝えるライブステージの挑戦
-ネットのことも伺っていいですか。ネットでライブを伝えるというのは今でもありますが、まだまだ増えますか?あるいはこれまでと異なったやり方がありますか?
-太田
「animeloLIVE!」(*1)という動画見放題のサイトを立ち上げたんです。「animeloLIVE!」の有料会員になれば、チケットを買わずにライブを見ることができる。そんなライブを我々が主催でたくさん作っていこうと思っています。
キャパはそんなに大きなところではなく300人から1000人くらい、「animeloLIVE!」の会員さんを抽選で無料で入れて、いろんな人に見ていただきます。
アニサマだと、いろんなアーティストさんのご紹介はできるんですけど、気になったアーティストさんをもうちょっとたくさん見たいと思ってもなかなか難しいんです。しかもそれぞれのアーティストさんのライブはかなり先だったり、単独ライブはあんまりやられていなかったりします。そういう方に場をご提供させていただきたい。
できれば毎週パフォーマンスをしていただいて、プレミアム感があり、かつ親近感があるようなライブを目指します。それをさらにネットで、会員の方に見ていただくというモデルを追求してみたいと思っています。
(*1) animeloLIVE! http://live.animelo.jp/
-「animeloLIVE!」の発表をを聞いたときに、アニメロサマーライブみたいな大きなイベントをお金を払ったら見れるのかなと思っていたんです。むしろ逆方向ですよね。
-太田
そうですね。ネット発のライブもあってもいいんじゃないかなと考えています。
我々できちんとライブをつくって、ネットのライブも楽しいね、と言っていただけるように努力していこうと思っています。
-それは月額課金ですか?
-太田
消費税込みで月額1100円です。月額課金をすれば何回でも、どの方のライブでも見れます。
-井上
太っ腹ですね(笑)。
-それでなぜ採算が合うのか不思議です。でもニコニコさんはいつも最終的に合っていますね。
-太田
不思議なことに合うんです。
-井上
以前、ニコファーレが出来たときに、ニコニコ動画を見ている方だけのライブをJAM Projectでやらせてもらいましたよね。
お客さんを入れないので、ダーン! と曲が終わっても拍手がない(笑)。見てると「8888」と。大丈夫だよね?誰に向かって話せばいいのかな?って(笑)。
-太田
何回かお客さんがいないライブもやったことがあるんですけど、さすがにアレはダメだなと(笑)。やっぱり現場の盛り上がり感がないとダメなんですよね。
今回は小キャパですけどお客さんに入っていただいて、現場も盛り上がって、ネット上でも盛り上がるというかたちを考えています。
第4回「アニソン界の5年後」に続く
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