ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]
ミュージカル『テニスの王子様』を始め、多くの2.5次元ミュージカルを手掛けているネルケプランニングが会社設立20周年を迎えた。ネルケプランニングの歴史は、そのまま2.5次元ミュージカルの歴史とリンクする。
『聖闘士星矢』が上演されたのが1991年のこと。その後、『赤ずきんチャチャ』、『姫ちゃんのりぼん』、等の作品が続く。また『サクラ大戦』は声優がその配役のまま舞台に登場、またたくまに人気作品となった。
しかし、なんと言っても現在の2.5次元ミュージカルの流れを決定づけたのはミュージカル『テニスの王子様』だろう。2003年に初演、今年で2ndシーズンが終了し、来年から新たなキャストで3rdシーズンが開幕する。
また、今年は一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会が設立、舞台製作会社やマンガ・アニメ・ゲームなどの関連企業以外に様々な企業が参加しており、大手出版社も特別会員として名を連ねている。
2015年はミュージカル「美少女戦士セーラームーン」やミュージカル『テニスの王子様』の海外公演が予定されており、今後ますますの隆盛が期待される。その中でネルケプランニングはまさにパイオニア的存在で、アニメ・コミック・ゲームの舞台化がまだまだ珍しい、好奇の目で見られていた時代から地道に作品を世に送り続けていた。そこできっちりノウハウを蓄積し、作品に関わった多くのスタッフがさらに進化した作品を創造する。そういったサイクルが確立されつつある。
また、20周年の今年、ネルケプランニングが一年かけて行ってきた20周年企画「20のスペシャル」、その中のひとつに“中国支 社:ネルケチャイナ設立”。こちらはつい先だって中国で記者会見があったが、いわゆるネルケプランニングの中国支社、今後、世界に日本のエンターテインメントを発信していくことになるだろう。
その他、“ネルケちゃんLINEスタンプ発売”など、演劇企画制作会社としては 新しいチャレンジばかりで大きな話題が多かった。
今回の公演はそんなネルケプランニングが会社総力を上げて取り組んだもの。制作クレジットも“ネルケプランニング社員一同”、もう“なんでもあり”“昔懐かしいマンガ祭的”の内容と聞く。
会社のアニバーサリーと言えばどこかの高級ホテルでの大宴会が定番だが、そういったことをやらずにファンのために武道館で賑やかにお祭りを、というところが、ネルケプランニングらしい企画である。まずは観てのお楽しみ、といったところだろう。
開演前に席に着くと舞台中央のスクリーン。ネルケちゃんズが”ネルケちゃん体操”をしており、始まる前から”始まってる”状態。約8000人の観客が詰めかけた『ネルフェス2014 in 武道館』オープニング映像に切り替わり、まず、最初に登場したのはヴィジュアル系バンド『血の雨と無恥』。ここで観客は早くも総立ち。
それから、アニメ『テニスの王子様』の河村隆役の川本 成が登場、今回の総合司会である。そしてネルケプランニングの守護神(?)の風ネル、雷ネルが登場するのだが、この声が風ネル、竹内順子、雷ネルを三ツ矢雄二、という豪華過ぎる顔ぶれ。
最初はアイドルコーナー。
それから、ご存知、セーラー戦士の登場!ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」の面々だ。セーラー戦士5名によるミュージカルナンバー「We are the Pretty guardian」、「愛のStarshine」を披露、最後にタキシード仮面も登場し、観客席から大歓声が沸き起こった。
タキシード仮面役の大和悠河が「ネルフェス、最高!」と連呼し、それから客席を巻き込んでの『ムーンライト伝説』の大合唱となった。なお、2015年1月には、ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」、上海公演が決まっている。
まあ、賑やかなこと、この上なし状態。続いて『ママと僕たち』。キャストが赤ちゃん衣装に身を包んで登場、ここも大喝采。赤ちゃんがある日、いきなり大人になってママのピンチを救う(救えるのか?)という設定。2.5次元ミュージカルではおなじみの俳優らが、赤ちゃんになりきって劇中歌を熱唱しつつ、アドリブも披露し、弾けまくり、騒ぎまくりでやんやの喝采。
それから學蘭歌劇『帝一の國』の場面に。
そんな2人のところに白鳥美美子役の乃木坂46の井上小百合と樋口日奈が登場。帝一、「美美子がどうして2人いるんだ?!」それからセーラー服姿の乃木坂46の面々が続々登場し、乃木坂46のライブ、もう贅沢過ぎるスペシャルライブ。
そして”箸休め”と称した『ネルケちゃん体操』。それから次はなんと2015年1月の話題作『ヴァンパイア騎士』が登場、会場からは大きな声援が起こった。
登場したのは若月佑美(乃木坂46)、AKIRA、ルウトの3人。なんとポーズのみ、司会の川本が話しかけるも無言を貫く、という徹底ぶり。「何も決まっていないんですか?」「……」のやり取りに会場は爆笑。生でビジュアル公開、そのクオリティの高さは来年の公演をいやおうなしに期待させてくれた。
『ヴァンパイア騎士』が去った後に何故か、ラケットが……。
そしてトリはもちろん、ミュージカル『テニスの王子様』。青学、立海、四天宝寺のキャストが登場するやいなや、会場の興奮は最高潮に達した。『Jumping up!High touch!』『WE ARE ALWAYS TOGETHER』を熱唱した後、いったんテニミュキャストは退場、そしてアニメの越前リョーマ役の皆川純子が登場、『風に乗っかって』を歌った、そこへ、原作者の許斐 剛が現れ、会場からは驚きの歓声が沸き起こった。
『テニプリっていいな』を熱唱し、それから皆川純子とのデュエット、曲は『フィスティバルは突然に』。それからテニミュキャストも合流し、川本も加わって『Love Festival』、原作者、アニメ声優、ミュージカル俳優の『テニスの王子様』の夢のコラボ状態。
許斐 剛が「(テニミュキャストと)一緒の舞台に立ちたかった」と感無量。また皆川からは決め台詞「まだまだだね」も飛び出したり、と”お祭り”ならではの競演、ファンは納得であろう。
最後のフィナーレでは、声だけだった竹内順子と三ツ矢雄二もステージに上がり、出演全てのキャストが勢揃い。そこに松田社長が登場し、ここで重大発表が……なんと10年後の2024年に『ネルフェス2024』をやる、とのこと!最後に松田社長の音頭で”5本締め”をやり、3時間近くに及んだイベント終了、最後に華やかなキャノン砲が発射され、幕となった。
「これでもか」というくらいにあれこれお楽しみが詰まったイベント、会社設立以来主に2.5次元ミュージカルを創造し、それ以外にも様々なエンターテイメントを発信してきた。2024年の『ネルフェス』までの10年、どんな活動をするのか楽しみだ。
[出演アーティスト]
■ ミュージカル『テニスの王子様』
<青学(せいがく)>
小越勇輝 多和田秀弥 山本一慶 矢田悠祐
黒羽麻璃央 稲垣成弥 章平 石渡真修
木村達成 岩 義人 三井理陽 小林瑞紀
<立海>
神永圭佑 小笠原 健 水石亜飛夢 味方良介
久保田秀敏 安川純平 塩田康平 原嶋元久
<四天宝寺>
安西慎太郎 東 啓介 福島海太 杉江大志
碕 理人 山内圭輔 佐藤流司 松岡広大 君沢ユウキ
■ 許斐 剛
■ 皆川純子
■ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』
大久保聡美 小山百代 七木奏音 高橋ユウ 坂田しおり
/大和悠河
■學蘭歌劇『帝一の國』
木村 了 大堀こういち
■*pnish*
■竹内順子
■三ツ矢雄二
■乃木坂46
他
「ネルフェス2014 in 武道館」
http://www.nelke.co.jp/stage/nelfes2014/
「ネルフェス2014 in 武道館」
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