高浩美の
アニメ×ステージ&ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]

■ フレッシュなキャストも加わり、タソガレドキ城の面々がいつの間にやらレギュラーに”昇格”。

ミュージカル『忍たま乱太郎』も、この2015年で第6弾を迎える。
ミュージカルはアニメや原作とは異なり、6年生がメインキャスト。毎回、すったもんだのドタバタ劇であるが、忍者なので、殺陣やアクロバット、アクションが特長の楽しいミュージカルだ。
キャストは前作から引き続き、善法寺伊作役は安達勇人、食満留三郎役は小野一貴、立花仙蔵役は荒牧慶彦、七松小平太役 は早乙女じょうじが演じる。また、新キャストは潮江文次郎役に『炎神戦隊ゴーオンジャー』に出演し、舞台『4つの駒 -THE FOUR PIECES-』で初主演を務めた海老澤健次。また学園一無口で無表情な中在家長次役は、今作が本格的なデビューとなる北園涼が演じる。
また1年はあの3人組もキャスト一新。乱太郎役は大西統眞、きり丸役は細川晴太、しんべヱ役は藤村真優が務める。

今回初登場のキャラクターとして、鶴町伏木蔵役に2004年生まれの注目の子役・古賀瑠、ちょっと毒舌、という設定。ドクタケ忍者隊の幻術使い・雪鬼役に中国武術の世界大会で1位の横井寛典、タソガレドキ忍者の諸泉尊奈門役に雑誌『ニコラ』でモデルとして活躍中の小林亮太。
鶴町伏木蔵は暗い性格だが、どこかマイペースで度胸もある。タソガレドキ忍者の諸泉尊奈門は上司である雑渡とともに行動することが多い。なかなかの実力者だが、若さゆえか失敗もしばしば。
なお、読み方は「しょせんそんなもん」ではなく「もろいずみそんなもん」。 これらのキャラクターの活躍も見所となるであろう。

ドクタケ城にひとりの男が戻ってきた。その名は雪鬼(横井寛典)。特殊能力・幻術が使えるのである。早速、その術を使って忍術学園の面々を陥れる。一方、雑渡昆奈門(翁長卓)は主君である黄昏甚兵衛(下村尊則)にある任務を命じられる。雪鬼の幻術にはまった4人の6年生達は、なんと同じ忍術学園の仲間を裏切ってしまう。先生達も偽物と入れ替わり、てんやわんや状態に……。
今回のストーリーはなかなかくせ者、そして前回”特別出演扱い”だったタソガレドキ城がレギュラー化し、新たに忍者もひとり加わってなんとも賑やか。彼らがこれにどう絡んでいくのか、いろいろ想像は尽きない。

■ ”友情”が妖術を打ち破る、ラストの大立ち回りは、なんと和太鼓登場!

今回の”忍たま”、開演5分前に観劇の諸注意があるのだが、今回は乱太郎の声が客席に響く。
1年生は皆キャスト一新、その可愛い声に客席から「可愛い~」。出来れば、5分前には席に着くようにしたい。
そして、いよいよオープニング。この幕開きから、”永遠の悪役商会”、ドクタケ城の面々が登場する。彼らのアクションから始まるのである。そして新しいキャラ、雪鬼。ドクタケ城の忍者の面々と違ってかなりのイケメンぶりでもちろん、”特別待遇”。ドクタケ城の忍者、壱~陸は当然面白くないが、ここは仕方がない、といった風情。この空気感が哀愁があって笑える。それからおなじみ忍術学園の面々も登場してスクリーンにタイトルロール、サブタイトルは”凶悪なる幻影”。

ミュージカル『忍たま乱太郎』は忍術学園vsドクタケ城という図式がテッパン。この図式はもちろん不動なのだが、前回から微妙なポジションのタソガレドキ城の面々が加わり、物語に奥行きが出て来た。

そして今回は妖術にかかって仲間同士が刀を向け合う、という”変化球”が加わった。さらに新キャラも加わり、物語を”ひっかき回す”。これをシリアスにやるのではなく、あくまでももとは”ギャグマンガ”。もう、なんでもあり、状態。諸泉尊奈門(小林亮太)は土井半助先生にチョークと出席簿であえなく敗北、はお約束。その負けっぷりはあっぱれ(『私は諸泉尊奈門だ』のナンバーまである!)。
前回好評だった”女装”、今回も土井半助(真佐夫)&山田伝蔵(今井靖彦)がキュート。面白かったことは取り入れる、ここが”忍ミュ”の良さではないだろうか。

キャストも一部入れ替わり、1年生は少々つたないところもあるが、可愛らしさ全開、彼らが登場すると場が和む。団子を食べる下りはかなり本気で微笑ましい。そして団子でタソガレドキ城の忍者・雑渡昆奈門に懐柔される。おいおい、そんなことでいいのか、と言いたくなる。
このいい加減な1年生、いつものことだ。
また、エピソードのひとつに1年生が文集の編集をするという大役を仰せつかるというのがある。6年生にインタビューする下りで歌われるナンバー(『永遠』)はちょっと切ない。なんたって”忍者”である。♪儚い未来が訪れても♪と歌い、♪離れていても俺たちはいつもここにいる♪と歌う。離ればなれになっても学園の仲間、心はここにある、一瞬、ほろっとくる場面だ。ラスト近く、仲間を刀で刺そうとするが刺せなくなる。「涙がこぼれる」と言う。”友情”が妖術を打ち破る。そして大詰めの大立ち回りは、なんと和太鼓登場!いつもの殺陣のシーンと違い、勇壮な響きが場面を盛り上げる。
長く続いているシリーズ、”お約束”も大事ではあるが、こういった変化をつけて飽きられない工夫をしている。楽曲は『勇気100%』と『忍者はガッツ!』以外は新曲。
演出・作詞の菅野臣太郎はアニメやマンガ原作の舞台演出を手掛けることが多く、エンターテインメント性あふれるステージングが持ち味。次世代を担う新進気鋭のクリエイターだ。
また、脇を固める”お兄様”達も健在。下村尊則は得意の歌で聴かせ、強烈キャラで出た瞬間に場面を独り占めする程。幹山恭市、高橋光、迫英雄、今井靖彦らがしっかり芝居を引き締める。ラストはもちろん、『勇気100%』の大合唱で舞台は幕、となる。

なお、ゲネプロ後に囲み会見があった。安達勇人は開口一番「ほっとした。楽しみが増えましたね。今回は(ストーリーに)多面性があるので、そういうところを観て欲しいです」とコメント。
小野一貴は「脚、パンパンです(笑)」、激しいアクション、殺陣、筋肉痛に見舞われている様子である。海老健次は「(僕は)みんなと考えていることが一緒!」とコメントし、一同の笑いを誘った。
早乙女じょうじは「ちゃんとしたセットで通してやるのは今日が初めて。初日は大成功すると思います!」と元気よく。北園涼はミュージカル出演自体が初めて。想いは早くも千秋楽のようで「ちょっと寂しくなっちゃう」とコメントし、メンバーから「早いよ!!」とツッコミが入った。
荒牧慶彦は「一年生が可愛くって~抱きついてくれたりして、”お兄さん”として楽しかった」とコメント。横井寛典は「家族みたい」とカンパニーを評した。いつものことだが、”忍ミュ”のメンバーは仲が良い。息のあったアクション・殺陣は、こういった絆から生まれている。今回のテーマも”絆”。まさに地でいっている。
あと、今回は日替わりゲストが!忍術学園の5年生、4年生の面々、彼らがどう絡むのか、楽しみでもある。安達勇人は「今までにない”忍ミュ”、和太鼓もあるし、殺陣も多いし、(舞台から)元気と勇気をもらってめちゃくちゃ温かい気持ちになってくれたら」と締めてくれた。新春の初笑いはミュージカル『忍たま乱太郎』で!

ミュージカル『忍たま乱太郎』第6弾~凶悪なる幻影!~
1月9日~1月23日
サンシャイン劇場
http://www.musical-nintama.com

[日替わりゲスト]
山崎大輝/才川コージ/樋口裕太/布施勇弥/宮崎翔太

ミュージカル『忍たま乱太郎』
(C)ミュージカル「忍たま乱太郎」製作委員会
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