1995年からおよそ1年間に渡り放送されたTVアニメ『NINKU-忍空-』は「週刊少年ジャンプ」で連載されていた桐山光侍氏のマンガを原作とした作品だ。TVアニメでは原作とはまた異なる魅力も表現され、主人公・風助たちの戦いが描かれた。

スタッフには現在アニメ業界を牽引するアニメーターが数多く関わり、フィルムには当時の高い熱量が焼き付いている。若手とベテランの絶妙な配分のキャスティングや、熱い演技、際立ったキャラクターなどでも多くのファンを獲得してきた。

その本作が20年を経てBlu-rayとなり復活、6月26日にはBOX1が、8月26日にはBOX2が発売される。BOX1には完全新作ドラマCD「藍眺の結婚式」やキャストオーディオコメンタリーなどの特典、BOX2にはVHS以降では初のパッケージ化となる『NINKU-忍空-ナイフの墓標』なども収録される。また、バンダイビジュアルクラブの限定商品には更なる特典もあり、第1巻には「主題歌コンプリートミニアルバム」が、そして第2巻には「キャスト座談会CD」がそれぞれ追加されている。
Blu-ray BOX発売を機に、元・忍空組一番隊隊長・子忍の風助を演じた松本梨香さん、元・忍空組十番隊隊長・酉忍の藍眺(※正しくは月へんに兆)を演じた真殿光昭さん、元・忍空組六番隊隊長・巳忍の橙次を演じた小杉十郎太さんに集まっていただき、当時の様子をふり返っていただいた。
[取材・構成=細川洋平]

「NINKU-忍空-」 Blu-rayBOX 公式サイト
http://www.ninku-box.com/

□ [アニメ「NINKU-忍空-」のネット配信開始]
 6月9日(火)配信開始 dTV
□ 6月12日(金)配信開始 dアニメストア https://anime.dmkt-sp.jp/
※各配信サイトの「NINKU-忍空-」配信情報の詳細は配信開始と同時となります。

■ また会えたって感動する気持ちでいっぱい

――お三方がこうして揃うことに興奮しております。

松本梨香(以下、松本)
最高ですよね。うれしくて前の日眠れなかったです。

真殿光昭(以下、真殿) 
みんなウキウキしていて、今日は遠足みたいだね、って言っていました。

――久しぶりに顔を合わされたお気持ちはいかがでしょうか。


真殿 
いや、久しぶりという気持ちはしないですね。Blu-ray BOXが発売されということで、最近、特典用にオーディオドラマを録ったんです。その時からいつもと変わらないって感じでした。

松本 
再会はずっと前から決まっていたかのように自然に演じていました。

真殿 
20年って感じはしないんですよ。

小杉十郎太(以下、小杉) 
俺自身は年取っちゃったなって感じだけど(笑)。
作品自体は全然。収録時にはすーっと20年前に戻る感じでした。

――「役を思い出す」手間や、ブランクは感じませんでしたか?

松本 
ないですね。さすが今も変わらず第一線で活躍していて、みなさん声が全然変わってない。私もがんばっててよかったなって思いますね。

真殿 
梨香ちゃんにしても林原めぐみちゃんにしても、全然声変わってないですよ。


松本 
『忍空』のみんなが元気なんだって確認できて、また会えたって感動する気持ちと感謝する気持ちでいっぱいでしたね。大好きな作品だから、胸がいっぱいになっちゃって…。

真殿 
大っ好きでした。僕はこの業界に入ってはじめて大きな作品でのレギュラーなので、喜びもひとしおですよ。

小杉 
この頃、真殿くんはこの業界に入ってまだ3年目だったんだよね。

――真殿さんが演じられる藍眺(眺は「月」+「兆」)は、林原さん演じる里穂子に対する強烈な言葉など、ダイナミックな役ですからね。

松本 
パワフルですもんね。あれでストレス発散してたんじゃない?

小杉 
絶対してたよ!収録の後はすっきりだったはず。

真殿 
当時は若いというのもあって、たまにスタジオで鼻血を出していたんですよ。そしたら梨香が「マドピー血の気が多いからもっと出しといた方がいいんじゃない?」って。鼻血を出すことを勧めるって(笑)!

松本 
でもね、スタジオで鼻血出す人なんて他にいないし、聞いたことないです。

小杉 
うん、いないね。


真殿 
さんざん叫んだ後に、席戻ってツーッと……。かなりの頻度で出してましたね。

小杉
録音ブースの中、熱かったしな。

松本 
みんなの熱気が凄かった。本気で叫んでたってことでしょ?まさに魂の叫びだよね。

真殿 
叫ぶ役は多いんですけど、今はないですね。

■ まだもっとやりたかった

――見ている側にも、みなさんが生半可な演技じゃないということはすごく伝わったと思います。

真殿 
小杉さんも梨香も、みんながそうだから。自分もそんな中途半端なことはやってられないって。みんなが魂でぶつかってくる演技をしていましたね。負けてられない!って。それで血の気が上がって。


松本 
人間愛とか人情とか盛りだくさんに描かれていたので、それをお芝居じゃなくて本気でやってたっていう自負はあるかな。みんなたぶんそうだと思います。嘘をつけない生きた芝居っていうのかなぁ~。
チームワークも凄く良かったので、終わった時はショックでした。もっとやりたいっていう気持ちのままサヨナラしなくちゃいけなくて。

真殿 
打ち上げで梨香泣いたんですよ。

松本 
そうそう。顔が変わるくらい号泣。

真殿 
僕もつられて泣いて。
打ち上げで泣くって、『忍空』が初めてで、それ以降まだないですね。

――小杉さんも打ち上げでは?

小杉 
いや泣かなかったね(一同笑)。

松本 
でも寂しかったでしょ?

小杉 
そりゃそうだよ。


松本 
スタジオの中がいつも賑やかだったですもんね。

――アフレコの雰囲気というのは収録の初期段階から、今のみなさんのように賑やかだったのでしょうか。

松本 
私は神奈川県出身なんですけど、十郎太さんも同じ出身ということでとっても慕っていました(笑)。十郎太さんの隣を陣取って「十郎太さん十郎太さん」って。スタッフ、キャストのみなさん、本当に人間味がある人たちが多かったのでアフレコに行くのが楽しみでした。毎週元気をもらってたと思います。

真殿 
十郎太さんが兄貴分みたいにどっしりと構えていて、梨香ちゃんや林原めぐみちゃんも主役張るようなかたばかりです。一方、僕は当時まだキャリアの浅いひよっこで……。

松本 
全然ひよっこじゃなかったよ! 

真殿 
いや、必死だったから誰よりも早くスタジオに行って30分前からストレッチをして体を温めたりしていました。

松本 
それ知らなかったですよね。びっくりしました。

小杉 
全然知らなかったよ。


真殿 
アフレコが午前10時からはじまるんですけど、その時間にはいつでも叫べる状態にと考えて。

松本 
え?今もしてるの?

真殿 
してない(一同笑)。

真殿 
藍眺って一番最初から「てめえ!」とか「ブス!」とかそういうセリフだから、体も声帯も温めておかないとできなくて。

松本 
キャラクターたちが魅力的だったので、私たちも絵に負けちゃいけないって、がんばっていた気がします。

後編に続く (6月12日更新予定)

左から真殿光昭さん、松本梨香、さん、小杉十郎太さん

「NINKU-忍空-」Blu-ray BOX公式サイト 
http://www.ninku-box.com/

Blu-ray BOX第1巻
発売日: 2015年6月26日(金)
Blu-ray BOX第2巻
発売日: 2015年8月26日(水)
価格: 各30,000円(税抜)
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