シリーズ37作目となる『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』が3月4日(土)より公開。ひみつ道具を使ってのび太たちが向かったのは、南極大陸。大きな氷山でかき氷をいっぱい食べたり、氷の遊園地を作って楽しんでいたのび太とドラえもん、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫の5人。そんな中、氷に埋まった腕輪(リング)を見つけたのび太。10万年前の氷になぜ腕輪が埋まっているのか。大きな謎に巻き込まれていくのび太たちの運命は――。各キャラクターの活躍も見どころのひとつ。ということで、ジャイアン役の木村昴さんとスネ夫役の関智一さんに、"ジャイ・スネ"的『映画ドラえもん』の見どころを余すことなく語っていただいた。私生活でも仲のいい先輩後輩コンビだけに、息の合った対談インタビューとなった。[取材・構成:大曲智子]『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』2017年3月4日(土)全国東宝系にてロードショーhttp://www.doraeiga.com/2017/(インタビューには物語の展開について触れる箇所があります。ご注意ください)■木村「新しい場所に行ける! とワクワクしました」――今回の『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』は南極が舞台ということで、寒そうな感じかなと思っていたのですが、世界観がとてもポップで可愛らしいなと思いました。木村昴(以下、木村) 色がすごく綺麗ですよね。関智一(以下、関) そこは作るとき気をつけたよね。木村その役目は僕らじゃないです(笑)。高橋淳史監督が「彩度=色の鮮やかさにこだわった」とおっしゃっていましたね。原色に近いポップな色。雪や海の世界だから単調にならないよう、カラフルなスーツを着たドラえもんたちがいる。本当に可愛いですよね。――キャストのみなさんは、『映画ドラえもん』が始まる時ってどんな気持ちになるのでしょうか。関 どんな話になるんだろうねって盛り上がるよね。毎回探りを入れてるし。木村 「来年どんな感じになるんですか?」って、上の人に伺ってみたりしていましたし。関 僕らも『映画ドラえもん』で1年がスタートする感じなんです。もしくは総決算、締めくくり。気持ちのうえで起点になってるなと思いますね。――探りを入れていたということですが、今作『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』は、その名の通り南極が舞台となりました。木村 僕としては、テレビシリーズと劇場版での心持ちの変化みたいなものは特にないんです。ただ、演目に対する興味はすごくある。『映画ドラえもん』って過去作のリメイクと、新たなストーリーで作るオリジナルがあって、過去の大ヒット作のリメイクは絶対に楽しい。でも今回は2年ぶりのオリジナル作品だから、僕らで作る新しいストーリーになる。しかも過去にまだ行っていない南極と聞いて、「ついに新しい所に行きますか」とワクワクしました。次はどこに行くんだろうってみんなで話してた時も、行ってないところなんてないよねって話だったんですよ。地底も空も、過去も未来も行ってる。宇宙には4回ぐらい行ってますから。でも海はあるけど、確かに氷の世界はなかったんですよね。――最初に台本を手にした時は、まずどんなところをチェックされるんですか?関 どんな人たちと関わるのかが気になります。『映画ドラえもん』だと、深くて重いバックボーンを持ったキャラクターと絡むことが多いので。今回はどんな騒動に巻き込まれるのかなっていう。木村 今回の印象としては、登場人物が多くないなってことでした。キャラクターひとりひとりがそれぞれと濃く関わるんですよね。――その今作オリジナルキャラクターは、腕輪(リング)を探して地球にやってきた異星人ですね。カーラ役の釘宮理恵さん、ヒャッコイ博士役の浪川大輔さん、パオパオ役の遠藤綾さん・東山奈央さんとのアフレコはいかがでしたか。関 皆さんとてもにこやかに演じてくれて、現場の雰囲気もよかったです。特に遠藤さんは子供の頃からずっとドラえもんに憧れていたということだったので。木村 浪川さん、実は初めての『ドラえもん』じゃないんです。劇場版は初めてなんですけど、テレビシリーズに"ヤキイモ"役で出てくださったことがあって。――しずかちゃんに恋する焼き芋の役ということで、話題になりましたね。関 真逆なんだよね。炎の世界から氷の世界へ。ホクホクだったのが今度はカチコチに。木村 「浪川さん、ついに人になりましたね」って言っちゃいました。おじいさんの役も初めてみたいですね。浪川さんだとわからない人も多いぐらい、すごいお芝居でした。――ジャイアン、スネ夫が特に印象的だったシーンはありますか?関 やっぱり最後にみんなで助けに行くところが好きですね。木村 僕が好きなのは、劇場版ならではの定番のひみつ道具。戦うときによくひらりマントとか空気砲は使うんです。ジャイアンとスネ夫だったら、野球に絡めた道具で戦ったり。今回は初登場の、"コエカタマリン"という道具が面白いです。ジャイ・スネっぽい使われ方をしているので、期待してください(笑)。(次ページ:関「どこへ行っても彼らの友情は揺るがないんですよね」)■関「どこに行っても彼らの友情は揺るがないんですよね」――ドラえもんの活躍で、注目すべきところはどこでしょう。関 いつもと違う雰囲気のドラえもんが出てくるんです。脅威ですよ。木村 あれも昔、関さんが予言していましたよね? さっきも話に出ましたが、関さんがスタッフさんたちに、今度はどんなストーリーか探りを入れている時があって。「じゃあ僕が考えてみようかな」って関さんが言い出したんです。「ドラえもんと戦う話があったら面白いね。でもそんなことさすがにできないよね」って。だから今回の話を知ったときは内心、「関さんが言ってたぞ!?」ってびっくりしました。関 普段あんまり予言はしないようにしてるんですけどね……。――当てすぎちゃうんですね。関 そうなんですよ。たまたまあの日はちょっとだけ力を使ってしまって。内緒だよ?木村 関さんの超能力はここだけの話ということで(笑)。のび太くんももちろんいいですよ。予告編でも使われていましたが、ドラえもんを助けようと腕を伸ばして「ドラえもーん!」って叫ぶシーンがあるんです。あの叫びは……いいって言ったら変だけど、よかったですよね。アフレコでの大原めぐみさんの後ろ姿がすごくかっこよかったです。――『映画ドラえもん』なのでジャイアンとスネ夫の活躍を期待している人も多いと思います。ジャイアン、スネ夫はどんな描かれ方をしていますか。木村 今回は、冒険に出かけるタイミングがかなり早いんですよ。しかも最初からジャイアンとスネ夫も一緒に行ける。関 そうだね。いつもはドラえもんとのび太が2人だけで先に行くことが多いけど。木村 そして「ジャイアンたちも呼んでこよう」といったん戻るけど、ジャイ・スネがその世界を占領するみたいな流れが定番なんですが(笑)。台本で言うと、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんがしゃべりだすのって20ページあたりからなんです。でも今回はもう2ページ目ぐらいからジャイアンもスネ夫もしずかちゃんもいる。最初から一緒に冒険に行けるっていうことが嬉しかったです。関 これからはずっとそうしてほしいよね。出番も増えるし。木村 足並みも揃いますしね。途中でジャイアンとスネ夫だけどこか行っちゃったりとか、敵に捕まっちゃったりとかするパターンもあるんですが、今作は本当に最初から最後までずっと5人で一緒にいられるんですよ。――夏が暑すぎてバテてしまったのび太たちが南極に行き、氷漬けになった腕輪(リング)を見つけることから始まる物語ですが、お二人は作品からどんなメッセージを受け取りましたか。木村 大きな枠では地球温暖化などの環境問題もテーマのひとつですが、「どんな状態になっても友達は友達」っていうのも大きなメッセージだと思いますね。友達がたとえどんな状況になっても、中身は変わらないって信じるという。関 「友情は凍らない」っていうキャッチコピーですけど、『映画ドラえもん』が伝えたいことって、毎回そういうことなんですよね。公開された時の少年少女が見て、「こういう仲間欲しいな」「ドラえもんがいてくれたらいいのにな」って思うことでカタルシスを感じる。ドラえもんを観る人って、のび太くんに感情移入することが多いと思うんですよ。ガキ大将やお金持ちなど際立ったキャラクターの中で、彼だけが普通の少年。誰もが「のび太は自分だ」と思って観ていると思う。実生活ではドラえもんはいないし、失敗したり傷ついて終わっちゃうことも多いけど、物語の中なら頑張れば仲間が助けてくれる。そういう友情の話はいつも根底にあるのかなと思っています。――観終わるとひとつ思い出が増えたような気持ちになりますよね。関 『ドラえもん』の映画ってパラレルワールドなので、のび太くんたちは冒険を毎年重ねていっているわけじゃないんですよね。ひと夏の冒険がいっぱいあるっていうことなんだけど、宇宙に行っても魔境でも南極でも、彼らの友情は揺るがない。この映画を観たみんなにもそんな素敵な友達はきっといるから、周りをよく見てごらんって伝えたいですね。――ぜひたくさんの子どもたちに観てほしいですね。そして、アニメ!アニメ!を読んでいる大人のドラえもんファンにもメッセージをお願いします。関 お金は持っているでしょうから、何度も観に行ってほしいですよね。週1回ずつぐらい行くといいんじゃないかな? 周りの人たちも連れて行くといいですよね。木村 そして関連グッズやDVDも買っていただいて。まずひとりが変わることですよね。ひとりひとりが変わればみんなが変わる。関 そういうことです。よろしくお願いしますね!