2018年4月より放送中のTVアニメ『奴隷区 The Animation』。勝負で負かせた相手を奴隷にすることができる謎の器具「SCM(Slave Control Method)」を巡って、総勢20人以上もの登場人物たちが様々な思いを胸に、命がけの心理戦を繰り広げる!
物語が終盤に差しかかってきた現在、アニメ!アニメ!では勝敗のカギを握る葛飾ジュリアと江戸川リュウオウの主従コンビを演じた、千本木彩花さんと泊明日菜さんにインタビュー。
そして最後は『奴隷区』にちなんだお約束のゲームを実施。千本木さんvs泊さんの息詰まる(?)熱戦の行方をどうか見守ってほしい――。
[取材・構成=小松涼介]
『奴隷区 The Animation』
2018年4月12日より放送
テレビ放送:TOKYO MX 、BS11、AT-X
http://doreiku-anime.com/
■「コミックの表紙を見て大人向けかと思った(笑)」(千本木)
――アニメ!アニメ!です。本日はよろしくお願いいたします!
千本木彩花(以下、千本木)
よろしくお願いします! 見ましたよ、前回の記事。山村さんと鈴木さんが勝負してましたよね?
泊明日菜(以下、泊)
今日もアレ(ゲーム)やるんですか?
――もちろんぜひ!
泊
お、おう。がんばります(笑)。
千本木
私、ゲームめちゃくちゃ弱いんですよ。イベントで人狼ゲームやったけど騙されたし、親戚みんなでババ抜きやったときも全部負けたし。おかげでみんなの前でモノマネさせられたし……(泣)。
泊
それすごい弱くないですか!? きっとジョーカーを引き寄せる体質みたいな。
千本木
負ける予感しかしない……。
――(笑)。ゲームの前に、おふたりがご出演されている『奴隷区 The Animation』についてお話を聞かせてください。まずは原作を読まれたご感想は?
千本木
オーディションを受けるにあたって初めて原作を読んだのですが、最初のイメージは正直「怖いな」って思いました。
泊
私もです。『奴隷区』というタイトルのインパクトがすごくて。表紙のイラストもちょっとエッチな感じだから……。
千本木
そうなんですよ。誰かを強制的に奴隷にしてしまう、と聞いて「大人向けかな?」って(笑)。自分から進んで買って読むタイプのマンガではなかったせいか、すごく過激なイメージがあったんです。でも、読んでみたら意外とそんなことなくて。
泊
もちろんセクシーでバイオレンスな要素もあるんですけど、一番のポイントは心理バトルや人間ドラマでしたね。それが分かってからは一気に読み進めちゃいました。
■「ジュリアとリュウオウは同じ辛い過去を持っている」(泊)
――おふたりが演じている葛飾ジュリアと江戸川リュウオウは、まさに「奴隷」と「主人」という関係ですが、それぞれどんなキャラクターだと捉えていますか?
千本木
ジュリアは歌舞伎町のキャバクラで働いている女の子です。幼い頃に両親を失ったせいで、男の人と付き合うことで「誰かに愛してほしい」「認めてほしい」って寂しさを埋めていた過去があるんです。だからすごく依存体質なところがあって、リュウオウにとことん奴隷として洗脳されちゃう。
でもリュウオウのことが分かってくるにつれて、彼を「守らなきゃ」「そばにいてあげなきゃ」と奴隷以上の気持ちが芽生えるようになっていくという。
――主人公の荒川エイアがわりと表面的にクールでカッコいいキャラクターのせいか、むしろジュリアのほうがヒロイン的な要素を感じさせますよね。
千本木
そうですね。雰囲気的に妖艶で女の子っぽいところがあるので、分かりやすいヒロイン感はあるのかなって思います。
泊
お店で人気No.1キャバクラ嬢ですしね。女の武器を使ってるみたいな。(笑)。
千本木
武器って(笑)。本人には、したたかさなんて全然無いんですよ。
泊
そうだったら話が変わってきちゃいますよね。タイトルが『ジュリアの歌舞伎町No.1ホステスの道』みたいな。
千本木
それはそれでちょっと観てみたい(笑)。
――一方、泊さんが演じる江戸川リュウオウはどうでしょう? 子どもでありながら、大人顔負けな頭脳の持ち主です。
泊
たしかに頭が良くて大人びているけど、家庭の事情で本人が望まないで大人にならざるを得なかったという過去を持っているんです。
千本木
リュウオウとジュリアってすごく似ている家庭環境にあって。ジュリアは親を早くに亡くして、リュウオウはネグレクト(育児放棄)にあっていたという。
泊
でも、リュウオウは大人かというとそういうわけではなくて、SCMのゲームに参加したのは「お母さんとの関係を取り戻したい」という健気な目的がある。
なので倉谷(涼一)監督ともお話しましたが、演じるにあたって「子どもっぽい純真さを大事にしよう」と心がけました。ちゃんと子どもっぽい、だからこそ怖い、という。
――原作を読んでいても、ふたりの関係はすごく複雑な感情が入り組んでいるように感じられます。
千本木
たしかに原作を読んだときは、恋愛的な感情もあるのかな?って思いました。でも次第にリュウオウを「守ってあげたい」「そばにいてあげたい」という気持ちがジュリアの中にあるように思えてきた。
自分の体験から、彼女はリュウオウの気持ちがすごく分かるんですよ。そこにSCMの奴隷としての感情が重なってくるんですけど、あくまで恋人ではなくて家族としての「好き」という感覚で演じました。
■「リュウオウのグループはなんだか家族みたい」(千本木)
――アフレコの中で苦労されたところはありましたか?
千本木
オーディションのときは、「大人な感じの雰囲気でやらなきゃ」と少し低めの音域で演じていたんですけど、監督から「もっと可愛い感じでも大丈夫」とディレクションをいただいて。それはちょっと意外でしたね。
そのうえで妖艶さを出しつつ、リュウオウに対して陶酔しているような感じでのめり込むような演技に苦労しました
泊
リュウオウは先ほどお話したような子どもっぽさですね。私の地声はちょっと低めなので、少し油断するとすぐにリュウオウが大人びちゃう。
でも、大人びた部分も出さないといけないので、キーの高さで調整するのではなく、リズムやしゃべり方で表現するように心がけました。
――物語が進むにつれてキャラクターの成長も描かれていきますが、その変化は演技に影響を与えましたか?
千本木
ジュリアの場合は、リュウオウの奴隷になる前と後で違う、という感じでしたね。奴隷になる前は普通の女の子に近い感じなんですけど、奴隷になってからはもう一直線で。もっと自分を見てくださいって、自発的にタトゥーなんて入れてますから(笑)。
泊
あれはリュウオウも若干引いてた気がします(笑)。「この女、ここまでするのか!」みたいな。
――リュウオウの場合はいかがですか?
泊
リュウオウはあまり自分の感情を出さないというか、壁があるような感覚で演じました。その壁をだんだんと薄くしていくわけですが、ストーリーに合わせて加減をすり合わせていく作業が難しかったです。
私がちょっと薄くし過ぎると「まだそこまでじゃないかな」とディレクションをいただくような感じで。きっとリュウオウはジュリアの献身ぶりを見ても、SCMのせいだと思って、本当の意味で彼女の思いをまだ理解できていないのかなって。
千本木
同じグループのみんなとの関係が深まっていくにつれて、気付きはじめるんですよね。リュウオウの周りの人って、本当に優しい人たちばかりだから。
――疑似家族みたいな雰囲気がありますよね。
千本木
そうなんですよ。そういう面はストーリーの後半に行くにしたがってすごく感じました。とくに(中央)アタルなんて“良いお兄ちゃん”っていうキャラクターですもんね。
泊
アタルを演じている小西さんがまた素敵な兄貴キャラで、現場の雰囲気を良い感じに作ってくださるんです。私がちょっと喉の調子が悪いときに、「コレ良いから使いなよ!」と貼るタイプのトローチをくれて。優しさがスゴイ……。
■「たまごかけご飯にハマってます」(泊)
――総勢20名以上のキャラクターが登場しますけど、おふたりの中で「コイツが気になる!」というキャラクターは?
千本木
私は千代田マリアのグループがすごく好きなんですよ。エイアやリュウオウたちのグループがすっごく真面目に心理戦を繰り広げているのに、あそこだけ雰囲気が違っていて、なぜかホンワカした気持ちにさせてくれます。
特に板橋ゲッコウが可愛くて、演じている河西健吾さんとは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』でご一緒したんですけど、河西さんの演じた三日月(・オーガス)がすごく淡々としているキャラクターだからゲッコウをどう演じるのかイメージが全然わかなくて。どんなお芝居するんだろうな、と見ていたら超ハイテンションでスゴかったです(笑)。
泊
私はやっぱり(墨田)ズシオウマルが好きです。「なんかSCMを付けてる犬がいるぞ?」と思っていたら、あるときいきなりズシの回想シーンが出てきて、「ズシしゃべってる!?」とビックリしちゃいました(笑)。
しかも飼い主のエイアから離れてしまった理由が「惚れたメス犬を追いかけてたから」という情けないお話で……。
千本木
実は私、ズシオウマルがしゃべってる回だけ出番がなくて、宮田(幸季)さんがどんなふうに演じているのか知らないんですよ! いつも「ワウ!ワウ!」って鳴き声しか聴いてないから……。
泊
もうめちゃくちゃ良いですよ。すごくお上品な感じで。
千本木
うわー、めっちゃオンエアが楽しみです(笑)。
――中野タイジュ役の村瀬歩さんの男女の演じ分けもスゴかったです。
泊
本当にスゴイですよね。どんどん可愛くなっていくと思いきや、いきなりブロック持ち出して「オラー!」みたいな。
千本木
音響監督の阿部(信行)さんも大絶賛していました。「今のすごく可愛いね」って。女性キャストには全然言ってくれないのにって……(笑)。阿部さんちょっと本気で好きになってませんか!?ってハラハラしたけど、それぐらい村瀬さんはスゴイということで(笑)。
泊
クール系がエイア、キレイ系がジュリアだとしたら、カワイイ系ヒロインはタイジュだと思います(笑)。
――先ほどジュリアの依存体質についてお話していましたが、おふたりがハマっているものはありますか?
泊
私はたまごかけご飯がめっちゃ好きです(笑)。
千本木
どうしてそんなにハマったんですか?
泊
元々たまごが好きだったんですけど、実家にいるときはお母さんの用意したごはんもあるから、毎日食べると怒られるんですよ。それで大学に入って上京したとき、「これは好きなだけ食べられるぞ!」って(笑)。なんか定期的に食べたくなっちゃうんですよね。
――お気に入りの食べ方は?
泊
基本的にたまごと醤油だけです。ごはんの上にたまごを割って、醤油をかけて混ぜていただきます。ときどき海苔やシラスとか、ふりかけをかけたりすることも。でもシンプルな食べ方が一番好きですね。
――なるほど。千本木さんは何かありますか?
千本木
この仕事をはじめてからの話なんですけど、仕事の合間にサクッと食べられるのでラーメン屋さんに行くようになりました。ラーメン二郎のようなお店にはまだハードルが高くて行けないんですけど、最近はキレイめで女性ひとりでも入りやすいお店が増えたじゃないですか。そういうお店ならひとりでも入っちゃいますね。
――好きなラーメン屋さんとかありますか?
千本木
新宿ルミネにも入っているAFURI(あふり)さんの柚子塩らーめんとか好きですね。でも、台東フジコ役の荒波(和沙)さんがラーメン好きと聞いたので、今度オススメのお店教えてもらいたいです(笑)。
■「たとえ友達に渡されてもSCMは使いたくない!」(千本木)
――ところでおふたりはアニメにも登場している「SCM」が現実にあったら使ってみたいですか?
泊
今はどういう器具か知っているからちょっと(笑)。
千本木
私も無理です! 物語の中だと買った人が奴隷にしたい相手に渡すシーンがけっこうあるんですけど、多分渡されても絶対付けないと思います。だってマウスピースですよ? それをポケットから出されても(笑)。さすがに口に入れるものはちょっと抵抗が……。
――仲の良い友だちに渡されたとしたら?
千本木
うーん。でも、とりあえず「どういうこと?」って説明をしてもらうと思います(笑)。
泊
私はSCMのことを知らなくて「面白いゲームだよ」と友だちに渡されたら、きっとノリで付けちゃうかも……。
千本木
泊さん! それ奴隷になっちゃいますよ!
泊
たぶん「奴隷になる」って聞いても信じないで付けちゃって後悔するタイプです。ゲームもすぐに負けちゃいそう(笑)。
――何となく千本木さんは頭脳派で、泊さんは直感派なイメージができてきました。ゲームに入る前に、『奴隷区 The Animation』の今後の見どころとメッセージをいただけますか?
泊
アニメはいよいよ終盤に入ってきたことで、これまで1対1だったのが、グループ対グループの勢力同士の対決に変わってきます。その中にキャラクターたちの心理戦があって、入れ替えがあったり裏切りがあったり、独立があったり。
一方で、リュウオウとジュリアの関係が今後どうなってしまうのか。物語の全体もふくめてぜひ楽しみにしていただきたいです!
千本木
エピソードの中には、リュウオウとジュリアのそれぞれの視点で描かれるお話が入っているんですけど、「このふたりだからこそ分かり合える」みたいな部分をすごく感じてもらえると思います。
本作はそういうペアになっているキャラクター同士にしか分からない思いが随所に散りばめらていますが、それでも観ている皆さんにもどこかしら共感できるような部分があると思います。だから「人を奴隷にしているから怖い」というイメージだけじゃなくて、色々な視点を楽しんでいただけたらなって思います。ぜひ、ほんわかした気持ちで今後の展開もお楽しみください!
■頭脳派か直感派か。「いっせーの」の勝負の行方は……?
――ありがとうございました! それでは作品にちなんでゲームをしていただこうと思うのですが、今回のゲームは「いっせーの」をしてもらいます。ルールは大丈夫ですか?
【「いっせーの」ゲーム説明】
こぶしを突き出して「いっせーの」を合図に親指の上がる本数を当てるゲーム。「指スマ」「チュンチュン」「ルンルン」など色々な呼び方がある。
千本木&泊
大丈夫です!
――では、先行はじゃんけんで決めましょうか。
千本木
最初はグー……
泊
じゃーんけーん……、ほい!
(泊さんがパー、千本木さんがグーで泊さんの勝利!)
――勝った泊さんが先行ですね。それでははじめてください!!
泊
うわー、ドキドキするな(笑)。じゃあいきますね。……いっせーの「2」!
(泊さん1、千本木さん0で、合計1)
千本木
よしセーフ! いっせーの「1」!
(泊さん2、千本木1で、合計3)
泊
危なかった! 次は……いっせーの「2」!
(泊さん2、千本木さん2で、合計4)
千本木
よしよし。いっせーの「0」!
(泊さん1、千本木さん0で、合計1)
――なんか膠着状態になって緊張感がありますね。思っていたより名勝負になりました。
(この後も、両者ともに数字を的中できない状態が数ゲーム続き……。)
千本木
では、いっせーの「2」! ああっ、やったああああ!!
(泊さん1、千本木さん1で、合計2。千本木さん、片手勝ち抜け!)
泊
うわああ、やられたあああーー!!
――ついに均衡が崩れました! 泊さんは後がありません!
泊
やばいやばいやばい。いっせーの「3」!
(泊さん2、千本木さん0で、合計2)
千本木
ふふふ……。いっせーの「1」! よしっ! 勝ったああああああ!!
(泊さん0、千本木さん1で、合計1。千本木さん、両手勝ち抜け!)
泊
そんなああああ。リュウオウなのに奴隷になってしまった……(泣)。
千本木
やったぜ!!
――ちなみに千本木さん、勝因は?
千本木
えっと……。たぶん同じ本数の指を2回続けて上げることはないかなと思ったので。そこを狙いました。
泊
すごい、戦略なんて全然考えてなかった。ひたすら指を見て勘でやってました……。
千本木
ふふふ。あれっ、これって泊さんに好きなことをお願いしちゃっていいんですか?
――前回は山村さんが鈴木さんに「焼きそばパン買ってこいよ!!」とおっしゃってました(笑)。
千本木
なんと。じゃあ私は……スタバ(スターバックスコーヒー)の「ストロベリーベリーマッチフラペチーノ」でお願いします!
泊
うわーー、メッチャ人気あるやつだ(笑)。でも売り切れ続出でなかなか買えないらしいよ。
千本木
ええっ! 飲みたいのに……。じゃあ、そこをなんとかお願いします!
泊
えっ、わたし作るの!?
――(笑)。泊さんはもし勝っていたら何をお願いしていました?
泊
ええー、何だろう。一緒にランチ行きませんか、とか?
千本木
さすがリュウオウ様めっちゃ優しい……。逆にスタバとか言った私は一体。ホントごめんなさい(笑)。
物語が終盤に差しかかってきた現在、アニメ!アニメ!では勝敗のカギを握る葛飾ジュリアと江戸川リュウオウの主従コンビを演じた、千本木彩花さんと泊明日菜さんにインタビュー。
前回の荒川エイア役・山村響さん×大田ユウガ役・鈴木崚汰さんインタビュー(https://animeanime.jp/article/2018/03/30/37234.html)に続いて、物語の見どころやキャラクターの魅力、そしてアフレコ現場の様子などを伺った。
そして最後は『奴隷区』にちなんだお約束のゲームを実施。千本木さんvs泊さんの息詰まる(?)熱戦の行方をどうか見守ってほしい――。
[取材・構成=小松涼介]
『奴隷区 The Animation』
2018年4月12日より放送
テレビ放送:TOKYO MX 、BS11、AT-X
http://doreiku-anime.com/
■「コミックの表紙を見て大人向けかと思った(笑)」(千本木)
――アニメ!アニメ!です。本日はよろしくお願いいたします!
千本木彩花(以下、千本木)
よろしくお願いします! 見ましたよ、前回の記事。山村さんと鈴木さんが勝負してましたよね?
泊明日菜(以下、泊)
今日もアレ(ゲーム)やるんですか?
――もちろんぜひ!
泊
お、おう。がんばります(笑)。
千本木
私、ゲームめちゃくちゃ弱いんですよ。イベントで人狼ゲームやったけど騙されたし、親戚みんなでババ抜きやったときも全部負けたし。おかげでみんなの前でモノマネさせられたし……(泣)。
泊
それすごい弱くないですか!? きっとジョーカーを引き寄せる体質みたいな。
千本木
負ける予感しかしない……。
――(笑)。ゲームの前に、おふたりがご出演されている『奴隷区 The Animation』についてお話を聞かせてください。まずは原作を読まれたご感想は?
千本木
オーディションを受けるにあたって初めて原作を読んだのですが、最初のイメージは正直「怖いな」って思いました。
泊
私もです。『奴隷区』というタイトルのインパクトがすごくて。表紙のイラストもちょっとエッチな感じだから……。
千本木
そうなんですよ。誰かを強制的に奴隷にしてしまう、と聞いて「大人向けかな?」って(笑)。自分から進んで買って読むタイプのマンガではなかったせいか、すごく過激なイメージがあったんです。でも、読んでみたら意外とそんなことなくて。
泊
もちろんセクシーでバイオレンスな要素もあるんですけど、一番のポイントは心理バトルや人間ドラマでしたね。それが分かってからは一気に読み進めちゃいました。
■「ジュリアとリュウオウは同じ辛い過去を持っている」(泊)
――おふたりが演じている葛飾ジュリアと江戸川リュウオウは、まさに「奴隷」と「主人」という関係ですが、それぞれどんなキャラクターだと捉えていますか?
千本木
ジュリアは歌舞伎町のキャバクラで働いている女の子です。幼い頃に両親を失ったせいで、男の人と付き合うことで「誰かに愛してほしい」「認めてほしい」って寂しさを埋めていた過去があるんです。だからすごく依存体質なところがあって、リュウオウにとことん奴隷として洗脳されちゃう。
でもリュウオウのことが分かってくるにつれて、彼を「守らなきゃ」「そばにいてあげなきゃ」と奴隷以上の気持ちが芽生えるようになっていくという。
――主人公の荒川エイアがわりと表面的にクールでカッコいいキャラクターのせいか、むしろジュリアのほうがヒロイン的な要素を感じさせますよね。
千本木
そうですね。雰囲気的に妖艶で女の子っぽいところがあるので、分かりやすいヒロイン感はあるのかなって思います。
泊
お店で人気No.1キャバクラ嬢ですしね。女の武器を使ってるみたいな。(笑)。
千本木
武器って(笑)。本人には、したたかさなんて全然無いんですよ。
だから歌舞伎町で飲んだくれてたNo.1ホストのセイヤを介抱するときも、「あっセイヤだ!」と打算があって行くわけじゃなくて。
泊
そうだったら話が変わってきちゃいますよね。タイトルが『ジュリアの歌舞伎町No.1ホステスの道』みたいな。
千本木
それはそれでちょっと観てみたい(笑)。
――一方、泊さんが演じる江戸川リュウオウはどうでしょう? 子どもでありながら、大人顔負けな頭脳の持ち主です。
泊
たしかに頭が良くて大人びているけど、家庭の事情で本人が望まないで大人にならざるを得なかったという過去を持っているんです。
千本木
リュウオウとジュリアってすごく似ている家庭環境にあって。ジュリアは親を早くに亡くして、リュウオウはネグレクト(育児放棄)にあっていたという。
泊
でも、リュウオウは大人かというとそういうわけではなくて、SCMのゲームに参加したのは「お母さんとの関係を取り戻したい」という健気な目的がある。
なので倉谷(涼一)監督ともお話しましたが、演じるにあたって「子どもっぽい純真さを大事にしよう」と心がけました。ちゃんと子どもっぽい、だからこそ怖い、という。
――原作を読んでいても、ふたりの関係はすごく複雑な感情が入り組んでいるように感じられます。
特にジュリアのリュウオウへの感情はそうだと思いますが、千本木さんはそのあたりをどう整理して演じていますか?
千本木
たしかに原作を読んだときは、恋愛的な感情もあるのかな?って思いました。でも次第にリュウオウを「守ってあげたい」「そばにいてあげたい」という気持ちがジュリアの中にあるように思えてきた。
自分の体験から、彼女はリュウオウの気持ちがすごく分かるんですよ。そこにSCMの奴隷としての感情が重なってくるんですけど、あくまで恋人ではなくて家族としての「好き」という感覚で演じました。
■「リュウオウのグループはなんだか家族みたい」(千本木)
――アフレコの中で苦労されたところはありましたか?
千本木
オーディションのときは、「大人な感じの雰囲気でやらなきゃ」と少し低めの音域で演じていたんですけど、監督から「もっと可愛い感じでも大丈夫」とディレクションをいただいて。それはちょっと意外でしたね。
そのうえで妖艶さを出しつつ、リュウオウに対して陶酔しているような感じでのめり込むような演技に苦労しました
泊
リュウオウは先ほどお話したような子どもっぽさですね。私の地声はちょっと低めなので、少し油断するとすぐにリュウオウが大人びちゃう。
でも、大人びた部分も出さないといけないので、キーの高さで調整するのではなく、リズムやしゃべり方で表現するように心がけました。
――物語が進むにつれてキャラクターの成長も描かれていきますが、その変化は演技に影響を与えましたか?
千本木
ジュリアの場合は、リュウオウの奴隷になる前と後で違う、という感じでしたね。奴隷になる前は普通の女の子に近い感じなんですけど、奴隷になってからはもう一直線で。もっと自分を見てくださいって、自発的にタトゥーなんて入れてますから(笑)。
泊
あれはリュウオウも若干引いてた気がします(笑)。「この女、ここまでするのか!」みたいな。
――リュウオウの場合はいかがですか?
泊
リュウオウはあまり自分の感情を出さないというか、壁があるような感覚で演じました。その壁をだんだんと薄くしていくわけですが、ストーリーに合わせて加減をすり合わせていく作業が難しかったです。
私がちょっと薄くし過ぎると「まだそこまでじゃないかな」とディレクションをいただくような感じで。きっとリュウオウはジュリアの献身ぶりを見ても、SCMのせいだと思って、本当の意味で彼女の思いをまだ理解できていないのかなって。
千本木
同じグループのみんなとの関係が深まっていくにつれて、気付きはじめるんですよね。リュウオウの周りの人って、本当に優しい人たちばかりだから。
――疑似家族みたいな雰囲気がありますよね。
千本木
そうなんですよ。そういう面はストーリーの後半に行くにしたがってすごく感じました。とくに(中央)アタルなんて“良いお兄ちゃん”っていうキャラクターですもんね。
泊
アタルを演じている小西さんがまた素敵な兄貴キャラで、現場の雰囲気を良い感じに作ってくださるんです。私がちょっと喉の調子が悪いときに、「コレ良いから使いなよ!」と貼るタイプのトローチをくれて。優しさがスゴイ……。
■「たまごかけご飯にハマってます」(泊)
――総勢20名以上のキャラクターが登場しますけど、おふたりの中で「コイツが気になる!」というキャラクターは?
千本木
私は千代田マリアのグループがすごく好きなんですよ。エイアやリュウオウたちのグループがすっごく真面目に心理戦を繰り広げているのに、あそこだけ雰囲気が違っていて、なぜかホンワカした気持ちにさせてくれます。
特に板橋ゲッコウが可愛くて、演じている河西健吾さんとは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』でご一緒したんですけど、河西さんの演じた三日月(・オーガス)がすごく淡々としているキャラクターだからゲッコウをどう演じるのかイメージが全然わかなくて。どんなお芝居するんだろうな、と見ていたら超ハイテンションでスゴかったです(笑)。
泊
私はやっぱり(墨田)ズシオウマルが好きです。「なんかSCMを付けてる犬がいるぞ?」と思っていたら、あるときいきなりズシの回想シーンが出てきて、「ズシしゃべってる!?」とビックリしちゃいました(笑)。
しかも飼い主のエイアから離れてしまった理由が「惚れたメス犬を追いかけてたから」という情けないお話で……。
千本木
実は私、ズシオウマルがしゃべってる回だけ出番がなくて、宮田(幸季)さんがどんなふうに演じているのか知らないんですよ! いつも「ワウ!ワウ!」って鳴き声しか聴いてないから……。
泊
もうめちゃくちゃ良いですよ。すごくお上品な感じで。
千本木
うわー、めっちゃオンエアが楽しみです(笑)。
――中野タイジュ役の村瀬歩さんの男女の演じ分けもスゴかったです。
泊
本当にスゴイですよね。どんどん可愛くなっていくと思いきや、いきなりブロック持ち出して「オラー!」みたいな。
千本木
音響監督の阿部(信行)さんも大絶賛していました。「今のすごく可愛いね」って。女性キャストには全然言ってくれないのにって……(笑)。阿部さんちょっと本気で好きになってませんか!?ってハラハラしたけど、それぐらい村瀬さんはスゴイということで(笑)。
泊
クール系がエイア、キレイ系がジュリアだとしたら、カワイイ系ヒロインはタイジュだと思います(笑)。
――先ほどジュリアの依存体質についてお話していましたが、おふたりがハマっているものはありますか?
泊
私はたまごかけご飯がめっちゃ好きです(笑)。
千本木
どうしてそんなにハマったんですか?
泊
元々たまごが好きだったんですけど、実家にいるときはお母さんの用意したごはんもあるから、毎日食べると怒られるんですよ。それで大学に入って上京したとき、「これは好きなだけ食べられるぞ!」って(笑)。なんか定期的に食べたくなっちゃうんですよね。
――お気に入りの食べ方は?
泊
基本的にたまごと醤油だけです。ごはんの上にたまごを割って、醤油をかけて混ぜていただきます。ときどき海苔やシラスとか、ふりかけをかけたりすることも。でもシンプルな食べ方が一番好きですね。
――なるほど。千本木さんは何かありますか?
千本木
この仕事をはじめてからの話なんですけど、仕事の合間にサクッと食べられるのでラーメン屋さんに行くようになりました。ラーメン二郎のようなお店にはまだハードルが高くて行けないんですけど、最近はキレイめで女性ひとりでも入りやすいお店が増えたじゃないですか。そういうお店ならひとりでも入っちゃいますね。
――好きなラーメン屋さんとかありますか?
千本木
新宿ルミネにも入っているAFURI(あふり)さんの柚子塩らーめんとか好きですね。でも、台東フジコ役の荒波(和沙)さんがラーメン好きと聞いたので、今度オススメのお店教えてもらいたいです(笑)。
■「たとえ友達に渡されてもSCMは使いたくない!」(千本木)
――ところでおふたりはアニメにも登場している「SCM」が現実にあったら使ってみたいですか?
泊
今はどういう器具か知っているからちょっと(笑)。
千本木
私も無理です! 物語の中だと買った人が奴隷にしたい相手に渡すシーンがけっこうあるんですけど、多分渡されても絶対付けないと思います。だってマウスピースですよ? それをポケットから出されても(笑)。さすがに口に入れるものはちょっと抵抗が……。
――仲の良い友だちに渡されたとしたら?
千本木
うーん。でも、とりあえず「どういうこと?」って説明をしてもらうと思います(笑)。
泊
私はSCMのことを知らなくて「面白いゲームだよ」と友だちに渡されたら、きっとノリで付けちゃうかも……。
千本木
泊さん! それ奴隷になっちゃいますよ!
泊
たぶん「奴隷になる」って聞いても信じないで付けちゃって後悔するタイプです。ゲームもすぐに負けちゃいそう(笑)。
――何となく千本木さんは頭脳派で、泊さんは直感派なイメージができてきました。ゲームに入る前に、『奴隷区 The Animation』の今後の見どころとメッセージをいただけますか?
泊
アニメはいよいよ終盤に入ってきたことで、これまで1対1だったのが、グループ対グループの勢力同士の対決に変わってきます。その中にキャラクターたちの心理戦があって、入れ替えがあったり裏切りがあったり、独立があったり。
一方で、リュウオウとジュリアの関係が今後どうなってしまうのか。物語の全体もふくめてぜひ楽しみにしていただきたいです!
千本木
エピソードの中には、リュウオウとジュリアのそれぞれの視点で描かれるお話が入っているんですけど、「このふたりだからこそ分かり合える」みたいな部分をすごく感じてもらえると思います。
本作はそういうペアになっているキャラクター同士にしか分からない思いが随所に散りばめらていますが、それでも観ている皆さんにもどこかしら共感できるような部分があると思います。だから「人を奴隷にしているから怖い」というイメージだけじゃなくて、色々な視点を楽しんでいただけたらなって思います。ぜひ、ほんわかした気持ちで今後の展開もお楽しみください!
■頭脳派か直感派か。「いっせーの」の勝負の行方は……?
――ありがとうございました! それでは作品にちなんでゲームをしていただこうと思うのですが、今回のゲームは「いっせーの」をしてもらいます。ルールは大丈夫ですか?
【「いっせーの」ゲーム説明】
こぶしを突き出して「いっせーの」を合図に親指の上がる本数を当てるゲーム。「指スマ」「チュンチュン」「ルンルン」など色々な呼び方がある。
千本木&泊
大丈夫です!
――では、先行はじゃんけんで決めましょうか。
千本木
最初はグー……
泊
じゃーんけーん……、ほい!
(泊さんがパー、千本木さんがグーで泊さんの勝利!)
――勝った泊さんが先行ですね。それでははじめてください!!
泊
うわー、ドキドキするな(笑)。じゃあいきますね。……いっせーの「2」!
(泊さん1、千本木さん0で、合計1)
千本木
よしセーフ! いっせーの「1」!
(泊さん2、千本木1で、合計3)
泊
危なかった! 次は……いっせーの「2」!
(泊さん2、千本木さん2で、合計4)
千本木
よしよし。いっせーの「0」!
(泊さん1、千本木さん0で、合計1)
――なんか膠着状態になって緊張感がありますね。思っていたより名勝負になりました。
(この後も、両者ともに数字を的中できない状態が数ゲーム続き……。)
千本木
では、いっせーの「2」! ああっ、やったああああ!!
(泊さん1、千本木さん1で、合計2。千本木さん、片手勝ち抜け!)
泊
うわああ、やられたあああーー!!
――ついに均衡が崩れました! 泊さんは後がありません!
泊
やばいやばいやばい。いっせーの「3」!
(泊さん2、千本木さん0で、合計2)
千本木
ふふふ……。いっせーの「1」! よしっ! 勝ったああああああ!!
(泊さん0、千本木さん1で、合計1。千本木さん、両手勝ち抜け!)
泊
そんなああああ。リュウオウなのに奴隷になってしまった……(泣)。
千本木
やったぜ!!
――ちなみに千本木さん、勝因は?
千本木
えっと……。たぶん同じ本数の指を2回続けて上げることはないかなと思ったので。そこを狙いました。
泊
すごい、戦略なんて全然考えてなかった。ひたすら指を見て勘でやってました……。
千本木
ふふふ。あれっ、これって泊さんに好きなことをお願いしちゃっていいんですか?
――前回は山村さんが鈴木さんに「焼きそばパン買ってこいよ!!」とおっしゃってました(笑)。
千本木
なんと。じゃあ私は……スタバ(スターバックスコーヒー)の「ストロベリーベリーマッチフラペチーノ」でお願いします!
泊
うわーー、メッチャ人気あるやつだ(笑)。でも売り切れ続出でなかなか買えないらしいよ。
千本木
ええっ! 飲みたいのに……。じゃあ、そこをなんとかお願いします!
泊
えっ、わたし作るの!?
――(笑)。泊さんはもし勝っていたら何をお願いしていました?
泊
ええー、何だろう。一緒にランチ行きませんか、とか?
千本木
さすがリュウオウ様めっちゃ優しい……。逆にスタバとか言った私は一体。ホントごめんなさい(笑)。
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