全世界でプレイされている人気アプリゲーム『消滅都市』のTVアニメが、2019年4月より放送。アニメ!アニメ!では、出演キャストのリレーインタビューを行なっている。
最終回の今回話を聞くのは、ソウマ役・朝井彩加さんとスズナ役・佐倉綾音さん。本作に参加する時期が異なるふたりが、それぞれの『消滅都市』の印象を語った。
[取材・構成=松本まゆげ/撮影=小原聡太]
『消滅都市』
2019年4月7日よりTOKYO MX、読売テレビ、BS11にて順次放送
■「追い求めるけど手に入らない」が共通点?
――まずはゲーム『消滅都市』から振り返っていただきたいです。朝井さんはリリース時から携わっていますが、当時はどんな印象でしたか?
朝井
ちょうど声優としての仕事をはじめたばかりだったのですが、収録しているときはストーリーがけっこう重厚でご都合主義な展開ではないなと感じました。
ただそのときは、まだフルボイスじゃなかったこともあり、実際に自分でプレイしてみてはじめてストーリーの全容を把握できた感じです。
――朝井さんはゲームも熱心にプレイされていると聞きました。
朝井
リリース以来ずっとやっています! 実力も瞬発力も大事でハマる要素が多くて、ガッツリプレイしてしまうくらいハマっちゃいました。
だけど、まさかこんなに長く続いてアニメ化までするなんて……最初は想像がつかなかったので、感慨深いです。
――アプリゲームが飽和状態の今、アニメ化が実現するタイトルも限られていますからね。それだけ魅力があったのかと。そして佐倉さんは2016年からの参加ですね。
佐倉
大型アップデートを経て『消滅都市2』からですね。
「不思議な世界観だな」「実写だけどゲームのCMなんだ、珍しいな、でも聞こえてくる声は現場でよく聞く杉田(智和)さんと花澤(香菜)さんだ」といろいろ驚きがあって。
新しい切り口でプロモーションしているんだな、と私にとっては新鮮でした。
――そうして、出演が決まったんですね。
佐倉
「新キャラで参加してもらいます」とのことでお話をいただきまして。最初はワード数少なめだったんですが、しばらくして「追加で収録します」とすごく大量の台本を頂いて収録することになりました。
あのときは……すごくネガティブな気持ちに染まった収録だったのを覚えています。
シナリオ的に重い内容で、それを狭いブースの中ひとりで録っていたので「気持ちが死ぬ!」って思いながら収録しました(笑)。
そこから、イベントに参加させてもらって、すごくステキなシチュエーションで朗読をさせてもらったことも印象深いですね。
イベントでは、松岡(禎丞)さんをタマシイにするっていう不思議なこともありました。
――2017年5月に開催されたイベント「消滅都市 3rd Anniversary Fes.」のワンコーナーで、お題「次に追加されるタマシイは何が良い?」を発表していましたね。
佐倉
あ、そういうお題でしたね。
――結果叶いましたから。
朝井
それ、覚えてます!
ゲーム内で「ヨシツグ都市」っていうイベントになったんですよね! イベントストーリーに出てくるキャラクターのボイスが全員松岡さんになっていて(笑)。
佐倉
あははは! それ私のせいだったんだよね(笑)。
それに、そのときのイベントで『にゃんこ大戦争』とのコラボが発表されていたんです。みんなネコ語になるっていうイベントだったそうなので、暗い話ばかりではないんだなと『消滅都市』のイメージが少し変わりました。
――では、作品そのものの魅力ってどこにあると思いますか?
佐倉
私、『消滅都市』のビジュアルのスタイリッシュさがすごく好きなんです。タイトル自体も変にひねったものではないし、フォントも奇をねらっていない。
そういうストレートさとスタイリッシュな感じが逆にドキッとします。
胸がザワつく感じがして好きです。
色も彩度が低いんですよね。
――確かに、きっと何かが起こっているとザワザワしますね。
佐倉
さっき言ったCMも、明るい空ときれいな景色っていうよりは、どんよりしていましたよね。
そこが色んな人の心をザワつかせるのかなと思います。
朝井
それに、完結しているようでしていない話が多いんです。
例えば、ストーリーを進めていくと新しい謎が出てくる。それがパズルのピースだとすると、1個1個ピースを集めていってパズルを完成させたとしても、そのパズルの絵がまた謎になっているような世界なんです。「この絵の意味は何なんだろう」みたいな。
――その結果、疑問が残って気になる。
朝井
何段階にも伏線のようなものが張り巡らされていますね。
しかも「こうであってほしいな」が起こらないんです。そこがご都合主義じゃないところですね。
あとキャラが多くて、ひとりを突き詰めていくと「あ、君があのときの人だったのね!」「この人とあの人はそんな関係なんだ」と繋がっていくんです。
そういう関係性から考えさせられる部分もあり、より現実を見ているような気分になります。
けど、ファンタジーの部分もあってうまく織り重なっている。そこに引き込まれるのかなと思います。
――ご自身が演じるキャラクターに共感しているところはありますか?
佐倉
共感は……実はあんまりしたくないんです(笑)。
スズナって、あまり幸せな子ではないんですよ。いつも何かが足りなくて、追い求めていて、でも手に入れることができずに生きている子なので。
ただ、何事もいろんな可能性を考えながら動く子なので、そういうところは私にもあるのかなと思います。
朝井
スズナの何かが足りなくて追い求めているみたいなところ、まさにソウマもそうだと思うんです。
追い求めているけど欲しいものはいつも手に入らない、という感じの子なので。私にはそれがすごくわかるなって思います。
佐倉
私もそれはわかるかもしれない。
朝井
やりたいことがあるということは、ひとつの目標であり道標でもありますけど、同時に届かないという苦しみでもあるんですよね。
このお仕事をしているとどうしてもこの役をやりたいと思ってオーディションをがんばるけれど、落ちてしまうことが何回もあるので。
期待すればするほど裏切られる、うまくいったぞって思っても結局ダメということも多々あるので、どうしても共感してしまいます。
→次のページ:アフレコ現場で気になるキャラ発見!
■アフレコ現場で気になるキャラ発見!
――そしてアニメになりました。おふたりのキャラクターに印象の変化はありましたか?
佐倉
設定がガラッと変わっているのでどうなるかなと思ったんですけど、本人の本質や大切にしていることなど、キャラクターとしての根っこの部分は変わらなかったので、あまり変化というものはなかったです。
ただゲームだとひたすら「チーフ!」と叫んでいた記憶があったんですけど、アニメにはチーフが出てこないので。スズナの心のどこかにはいると思うんですけれど、「チーフ!」って叫ばない違和感というか、新鮮さはありましたね。
朝井
ソウマも、とくに変わったなという感覚はなかったですね。
なので、ゲームをプレイされている方は入りやすいと思います。「あ、こういう感じだっんだ」という違いは特になく、ゲームにいたキャラクターがアニメに出てきたという感覚のほうが近いんじゃないかな。
とはいえ、アニメでは、ゲームでは描ききれない部分も細かく描かれているので、そこは見どころですね。
――では、演じるうえでこだわった部分はどこでしょう?
朝井
ソウマは、考え方や言動もそうなんですが、「子ども」なんですよ。
演じるうえでそのあたりを意識していますね。
収録前に監督とお話させていただいたんですが、監督はソウマへの愛がものすごく深い方だったんです。
たとえば、演じるうえで気になるところがあって相談させてもらったとき、1聞いただけで100返ってくる感じ。詳しくディレクションしていただいてありがたかったです。
佐倉
口数が少ないキャラクターなので、大人っぽくてなんでも出来るように見えるんですよね。
でも、私の中のスズナってそういうところだけではなくて、人間らしく悩んだり迷ったりしている人なんです。口には出さないけど、どう動いたら自分が求めている道にたどり着けるのか、といったことをすごく悩んでいる。
これはゲームの収録をしてきたから手に入れられた、スズナへの印象なんですよね。
――そこが声に出るとより人間らしくなりそうです。
佐倉
アニメでもセリフがすごくたくさんあるわけじゃないですが、きちんと完璧に見せたいと思っているところはしっかりと表現して、それ以外のところは不完全であったり、未完成であったり、ゆらいでいるようなところがちょっと残ったらいいなと思って演じていました。
――アフレコはもう終わっているそうですが、現場はどんな雰囲気でした?
朝井
ゲームからキャラクターボイスを演じている方たちなので、「ゲームと違うところってこういうところだよね」とか「このキャラクター同士は会話したことなかったかもね」など、キャラクターを通して話せたのが印象的でした。
オリジナルアニメだと、まだわからないところが多いぶんアフレコと一緒にキャラクターを作っていく感じですが、今回はみんなわかっているから踏み込んだ話ができましたね。
佐倉
私は別で録らせていただくことが多かったんですけど、それでも一緒に録れたときは、ゲームの収録と違って、まわりに人がいる嬉しさと緊張感がありました。
あと、はじめて生でセリフを聴くキャラクターも多かったので「あのキャラがいる!」とテンションが上がる瞬間も。個人的にはギーク(西村太佑)が……!
朝井
わかります。すごかったですよね。
佐倉
生の声量がすごいんです!
私の中では、ギークってかわいらしくて優しいイメージなんですけど、現場で聴いていると圧がすごい。聴いていて感動しました。
――とすると、好きなキャラクターもギークですか?
佐倉
そうですね!
あと警察の人たちも好きです。みんな腹の内が見えないというか、思っていることと口に出している言葉が全然違うんです。
それがけっこう怖くて好きですね。聴き応えがありました。
朝井
で、私は……。誰かなー! アニメですもんね!
佐倉
コアなファンだから悩んでる(笑)。
朝井
うーんでもやっぱり、挙げるならツバサとヨシアキの兄弟ですね!
ゲームのときからずっと気になっていましたし、イベントでもすごく盛り上がるので。
アニメでもひとつのキーポイントになっています。
生き別れた兄弟という切なさや、出会ってほしいのに出会えない切なさに、もどかしさを感じます。男性なので女々しさもないですからね。
個人的にお気に入りです。
→次のページ:「乗り越える」ではなく「受け入れて」生きていく
■「乗り越える」ではなく「受け入れて」生きていく
――最後に、みなさんに共通で聞いている質問をさせてください。「だけど、生きていく。」という『消滅都市』のコピーがありますが、このコピーには「どんなに悲しいことがあっても乗り越える」というメッセージが込められているそうです。なので、おふたりが思い出す悲しかった出来事と、それを乗り越えた方法を教えてください。重いものでも、ライトなものでも。
佐倉
乗り越え方なんですけど、どんなに悲しいことや嫌なことがあっても、「結局みんな死ぬし」って思っています。
朝井
将来行く場所は同じですもんね!
佐倉
そう! 宇宙規模で考えると一瞬なので、それでけっこう乗り切れちゃいます。
イライラしたときも、あと60~70年経てば……って。私のここまでの人生をあと3~4回くらい繰り返せば終わるんですよ(笑)。ネガティブな意味ではなくて。
――悲しい出来事をちっぽけなものにする感じですね。
佐倉
あまりにも辛くて、逃げ場所を探した結果そういう考えに行き着きました。
まず、どうやったら早く気持ちを切り替えられるかを、平常心のときに考えてメモしておくんです。
そうしたら次悲しい気持ちになったとき冷静になれるんですよね。
あとは時間が全部解決していくので。「時間が経てば絶対に風化する!」と、どこかで学んだんだと思います。
朝井
え、すごい。ステキな割り切り方ですね!
佐倉
けっこうオススメです(笑)。
朝井
私はなんだろう……。乗り越えるっていうより受け入れた話なんですけど、小学2年生のときから飼っていた実家の愛犬が数年前に亡くなっちゃったんですよ。
ガンが再発してしまって、もう治療する術がないという状況だったんですけど、タイミング的にお仕事がすごく忙しくて。合間を見つけては帰るを繰り返していたんです。
そうして「いよいよかもしれない」という時期に帰ったら、明らかに雰囲気が違ったんですよ。もう歩くこともできなくなっていて……だから和室でお話することにして。
――愛犬と。
朝井
相手は犬なのでもちろん私が喋るだけですけど、そんな私をじっと見て聞いてくれていたんです。
で、それが最後になってしまって。連絡を受けても実感がわかなくて受け入れられずそれからしばらくずっとボーッとしました。
でも、最後にお話できたというのが私の中で大きくて。それを気持ちの中に収めて、受け入れようと思えましたね。
――ステキなお話をありがとうございました。それでは最後にTVアニメ『消滅都市』を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
佐倉
ゲームをプレイされている方はお気づきのとおり、混ざり合うことのないキャラが同じ世界にいます。
スズナも本当はこの時間軸に存在するはずがないんですが、アニメがなぜこういう設定になったのかは「なるほど」と感覚でわかってもらえると思います。
プレイされている方は、もう少し踏み込んだところまで意識が及んで楽しんでいただけるアニメになっているかと。
そしてアニメから入る方は「このキャラはきっとこうなんだ」となんとなくわかっていくと思います。
私のようにタイトルからザワザワして「どういう意味?」と気になった好奇心で、ぜひ1話から見ていただけるとと楽しんで頂けるのではないかなと思います。
朝井
ゲームをやっている方からすると、アニメ化はすごく喜ばしいことですが、今回のアニメはゲームをなぞるだけのものではありません。
ゲームをやりこんでいて考察をされている方も、また別の目線で楽しめると思います。
そして、新しくアニメから入る人には、「説明チックなアニメではありません!」ということを言いたいです。
「これはこういうアニメでこのキャラクターはこんな人ですよ」みたいなことはないので、ゲームが好きな方と同じ気持ちで楽しめるんじゃないかなと思います。
あと個人的には、ソウマとして花澤さん演じるユキとはじめてかけ合いができたんです。すごく嬉しかったので、その嬉しさが乗っているかもしれません。
そのあたりもぜひ注目して観てください。
『消滅都市』
【放送情報】
TOKYO MX 4月7日より毎週日曜23:30~
読売テレビ 4月8日より毎週月曜26:29~
BS11 4月7日より毎週日曜25:00~
【配信情報】
FOD にて4月7日 23:30~ 独占配信
【TV Animation Staff】
原作:消滅都市(WFS)
監督:宮 繁之
シリーズ構成:入江信吾
キャラクターデザイン:下谷智之
音響監督:本山 哲
音楽:川井憲次
音楽制作:ポニーキャニオン
アニメーション制作:マッドハウス
OP主題歌「答」
歌:阿部真央
作詞・作曲:阿部真央
編曲:akkin
ED主題歌「With Your Breath」
歌:SPR5(CV:社本 悠、岩井映美里、直田姫奈、大西亜玖璃、園山ひかり)
作詞:太田彩華、俊龍
作曲:俊龍
編曲:山口高始
【商品情報】
発売日:2019年4月24日
商品仕様
With Your Breath【初回限定盤】
金額 1,800円+税
品番 PCCG.01769
映像特典 「With Your Breath」Music Video/「With Your Breath」Making Video
With Your Breath【通常盤】
金額 1,250円+税
品番 PCCG.70450
□収録内容
M1. With Your Breath
作詞:太田彩華、俊龍 作曲:俊龍 編曲:山口高始
M2. タイトル未定
M3. With Your Breath(Instrumental)
M4. タイトル未定(Instrumental)
【Cast】
ユキ:花澤香菜
タクヤ:杉田智和
アキラ:中村悠一
ソウマ :朝井彩加
エイジ:新垣樽助
キキョウ:愛美
ギーク:西村太佑
ユミコ:中恵光城
コウタ:高橋 信
タイヨウ:高橋英則
ツキ:今井麻美
スズナ:佐倉綾音
ヨシアキ:松岡禎丞
ツバサ:島崎信長
ルイ:KENN
スミレ:日岡なつみ
ジャック:伊丸岡 篤
カナ:久保ユリカ
リョウコ:黒沢ともよ
ユウジ: 鈴木崚汰
ケイゴ:てらそままさき
シュンペイ:山谷祥生
ホムラ:社本悠
ナミ:岩井映美里
ハルカ:直田姫奈
レナ:大西亜玖璃
ユア:園山ひかり
【TVアニメ「消滅都市」先行上映会】
内容
TV放送に先駆け、劇場で1話~3話の先行上映会を実施。ユキ役の花澤香菜さんとスタッフによるトークショーも開催。
日時
4月1日(月) 18時40分開場/19時00分開演
場所
新宿バルト9
〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目1−26 新宿三丁目イーストビル 9階
入場料金
全席指定 3,000円(税込)
チケット販売
3月8日(金)19時より「きゃにめ」にて販売
出演者
ユキ役 花澤香菜
監督 宮 繁之
シリーズ構成 入江 信吾
消滅都市シリーズディレクター 下田 翔大
プロデューサー 松岡貴徳
特典
入場者特製プレゼント付き
(C)Wright Flyer Studios/消滅都市製作委員会
最終回の今回話を聞くのは、ソウマ役・朝井彩加さんとスズナ役・佐倉綾音さん。本作に参加する時期が異なるふたりが、それぞれの『消滅都市』の印象を語った。
[取材・構成=松本まゆげ/撮影=小原聡太]
『消滅都市』
2019年4月7日よりTOKYO MX、読売テレビ、BS11にて順次放送
■「追い求めるけど手に入らない」が共通点?
――まずはゲーム『消滅都市』から振り返っていただきたいです。朝井さんはリリース時から携わっていますが、当時はどんな印象でしたか?
朝井
ちょうど声優としての仕事をはじめたばかりだったのですが、収録しているときはストーリーがけっこう重厚でご都合主義な展開ではないなと感じました。
ただそのときは、まだフルボイスじゃなかったこともあり、実際に自分でプレイしてみてはじめてストーリーの全容を把握できた感じです。
――朝井さんはゲームも熱心にプレイされていると聞きました。
朝井
リリース以来ずっとやっています! 実力も瞬発力も大事でハマる要素が多くて、ガッツリプレイしてしまうくらいハマっちゃいました。
だけど、まさかこんなに長く続いてアニメ化までするなんて……最初は想像がつかなかったので、感慨深いです。
――アプリゲームが飽和状態の今、アニメ化が実現するタイトルも限られていますからね。それだけ魅力があったのかと。そして佐倉さんは2016年からの参加ですね。
佐倉
大型アップデートを経て『消滅都市2』からですね。
ただそれまでTVCMはよく目にしていて存在は知っていました。
「不思議な世界観だな」「実写だけどゲームのCMなんだ、珍しいな、でも聞こえてくる声は現場でよく聞く杉田(智和)さんと花澤(香菜)さんだ」といろいろ驚きがあって。
新しい切り口でプロモーションしているんだな、と私にとっては新鮮でした。
――そうして、出演が決まったんですね。
佐倉
「新キャラで参加してもらいます」とのことでお話をいただきまして。最初はワード数少なめだったんですが、しばらくして「追加で収録します」とすごく大量の台本を頂いて収録することになりました。
あのときは……すごくネガティブな気持ちに染まった収録だったのを覚えています。
シナリオ的に重い内容で、それを狭いブースの中ひとりで録っていたので「気持ちが死ぬ!」って思いながら収録しました(笑)。
そこから、イベントに参加させてもらって、すごくステキなシチュエーションで朗読をさせてもらったことも印象深いですね。
イベントでは、松岡(禎丞)さんをタマシイにするっていう不思議なこともありました。
――2017年5月に開催されたイベント「消滅都市 3rd Anniversary Fes.」のワンコーナーで、お題「次に追加されるタマシイは何が良い?」を発表していましたね。
佐倉
あ、そういうお題でしたね。
じゃあ、私が勝手に描いたんだ(笑)。次のタマシイは松岡さんがいいな~って思って。
――結果叶いましたから。
朝井
それ、覚えてます!
ゲーム内で「ヨシツグ都市」っていうイベントになったんですよね! イベントストーリーに出てくるキャラクターのボイスが全員松岡さんになっていて(笑)。
佐倉
あははは! それ私のせいだったんだよね(笑)。
それに、そのときのイベントで『にゃんこ大戦争』とのコラボが発表されていたんです。みんなネコ語になるっていうイベントだったそうなので、暗い話ばかりではないんだなと『消滅都市』のイメージが少し変わりました。
――では、作品そのものの魅力ってどこにあると思いますか?
佐倉
私、『消滅都市』のビジュアルのスタイリッシュさがすごく好きなんです。タイトル自体も変にひねったものではないし、フォントも奇をねらっていない。
そういうストレートさとスタイリッシュな感じが逆にドキッとします。
胸がザワつく感じがして好きです。
色も彩度が低いんですよね。
今回のティザービジュアルもそう。
――確かに、きっと何かが起こっているとザワザワしますね。
佐倉
さっき言ったCMも、明るい空ときれいな景色っていうよりは、どんよりしていましたよね。
そこが色んな人の心をザワつかせるのかなと思います。
朝井
それに、完結しているようでしていない話が多いんです。
例えば、ストーリーを進めていくと新しい謎が出てくる。それがパズルのピースだとすると、1個1個ピースを集めていってパズルを完成させたとしても、そのパズルの絵がまた謎になっているような世界なんです。「この絵の意味は何なんだろう」みたいな。
――その結果、疑問が残って気になる。
朝井
何段階にも伏線のようなものが張り巡らされていますね。
しかも「こうであってほしいな」が起こらないんです。そこがご都合主義じゃないところですね。
あとキャラが多くて、ひとりを突き詰めていくと「あ、君があのときの人だったのね!」「この人とあの人はそんな関係なんだ」と繋がっていくんです。
そういう関係性から考えさせられる部分もあり、より現実を見ているような気分になります。
けど、ファンタジーの部分もあってうまく織り重なっている。そこに引き込まれるのかなと思います。
――ご自身が演じるキャラクターに共感しているところはありますか?
佐倉
共感は……実はあんまりしたくないんです(笑)。
スズナって、あまり幸せな子ではないんですよ。いつも何かが足りなくて、追い求めていて、でも手に入れることができずに生きている子なので。
ただ、何事もいろんな可能性を考えながら動く子なので、そういうところは私にもあるのかなと思います。
朝井
スズナの何かが足りなくて追い求めているみたいなところ、まさにソウマもそうだと思うんです。
追い求めているけど欲しいものはいつも手に入らない、という感じの子なので。私にはそれがすごくわかるなって思います。
佐倉
私もそれはわかるかもしれない。
朝井
やりたいことがあるということは、ひとつの目標であり道標でもありますけど、同時に届かないという苦しみでもあるんですよね。
このお仕事をしているとどうしてもこの役をやりたいと思ってオーディションをがんばるけれど、落ちてしまうことが何回もあるので。
期待すればするほど裏切られる、うまくいったぞって思っても結局ダメということも多々あるので、どうしても共感してしまいます。
→次のページ:アフレコ現場で気になるキャラ発見!
■アフレコ現場で気になるキャラ発見!
――そしてアニメになりました。おふたりのキャラクターに印象の変化はありましたか?
佐倉
設定がガラッと変わっているのでどうなるかなと思ったんですけど、本人の本質や大切にしていることなど、キャラクターとしての根っこの部分は変わらなかったので、あまり変化というものはなかったです。
ただゲームだとひたすら「チーフ!」と叫んでいた記憶があったんですけど、アニメにはチーフが出てこないので。スズナの心のどこかにはいると思うんですけれど、「チーフ!」って叫ばない違和感というか、新鮮さはありましたね。
朝井
ソウマも、とくに変わったなという感覚はなかったですね。
なので、ゲームをプレイされている方は入りやすいと思います。「あ、こういう感じだっんだ」という違いは特になく、ゲームにいたキャラクターがアニメに出てきたという感覚のほうが近いんじゃないかな。
とはいえ、アニメでは、ゲームでは描ききれない部分も細かく描かれているので、そこは見どころですね。
――では、演じるうえでこだわった部分はどこでしょう?
朝井
ソウマは、考え方や言動もそうなんですが、「子ども」なんですよ。
お姉ちゃんのために一生懸命考えてやっていることも、結局子どもの極端な考え方になっている。
演じるうえでそのあたりを意識していますね。
収録前に監督とお話させていただいたんですが、監督はソウマへの愛がものすごく深い方だったんです。
たとえば、演じるうえで気になるところがあって相談させてもらったとき、1聞いただけで100返ってくる感じ。詳しくディレクションしていただいてありがたかったです。
佐倉
口数が少ないキャラクターなので、大人っぽくてなんでも出来るように見えるんですよね。
でも、私の中のスズナってそういうところだけではなくて、人間らしく悩んだり迷ったりしている人なんです。口には出さないけど、どう動いたら自分が求めている道にたどり着けるのか、といったことをすごく悩んでいる。
これはゲームの収録をしてきたから手に入れられた、スズナへの印象なんですよね。
――そこが声に出るとより人間らしくなりそうです。
佐倉
アニメでもセリフがすごくたくさんあるわけじゃないですが、きちんと完璧に見せたいと思っているところはしっかりと表現して、それ以外のところは不完全であったり、未完成であったり、ゆらいでいるようなところがちょっと残ったらいいなと思って演じていました。
――アフレコはもう終わっているそうですが、現場はどんな雰囲気でした?
朝井
ゲームからキャラクターボイスを演じている方たちなので、「ゲームと違うところってこういうところだよね」とか「このキャラクター同士は会話したことなかったかもね」など、キャラクターを通して話せたのが印象的でした。
オリジナルアニメだと、まだわからないところが多いぶんアフレコと一緒にキャラクターを作っていく感じですが、今回はみんなわかっているから踏み込んだ話ができましたね。
佐倉
私は別で録らせていただくことが多かったんですけど、それでも一緒に録れたときは、ゲームの収録と違って、まわりに人がいる嬉しさと緊張感がありました。
あと、はじめて生でセリフを聴くキャラクターも多かったので「あのキャラがいる!」とテンションが上がる瞬間も。個人的にはギーク(西村太佑)が……!
朝井
わかります。すごかったですよね。
佐倉
生の声量がすごいんです!
私の中では、ギークってかわいらしくて優しいイメージなんですけど、現場で聴いていると圧がすごい。聴いていて感動しました。
――とすると、好きなキャラクターもギークですか?
佐倉
そうですね!
あと警察の人たちも好きです。みんな腹の内が見えないというか、思っていることと口に出している言葉が全然違うんです。
それがけっこう怖くて好きですね。聴き応えがありました。
朝井
で、私は……。誰かなー! アニメですもんね!
佐倉
コアなファンだから悩んでる(笑)。
朝井
うーんでもやっぱり、挙げるならツバサとヨシアキの兄弟ですね!
ゲームのときからずっと気になっていましたし、イベントでもすごく盛り上がるので。
アニメでもひとつのキーポイントになっています。
生き別れた兄弟という切なさや、出会ってほしいのに出会えない切なさに、もどかしさを感じます。男性なので女々しさもないですからね。
個人的にお気に入りです。
→次のページ:「乗り越える」ではなく「受け入れて」生きていく
■「乗り越える」ではなく「受け入れて」生きていく
――最後に、みなさんに共通で聞いている質問をさせてください。「だけど、生きていく。」という『消滅都市』のコピーがありますが、このコピーには「どんなに悲しいことがあっても乗り越える」というメッセージが込められているそうです。なので、おふたりが思い出す悲しかった出来事と、それを乗り越えた方法を教えてください。重いものでも、ライトなものでも。
佐倉
乗り越え方なんですけど、どんなに悲しいことや嫌なことがあっても、「結局みんな死ぬし」って思っています。
朝井
将来行く場所は同じですもんね!
佐倉
そう! 宇宙規模で考えると一瞬なので、それでけっこう乗り切れちゃいます。
イライラしたときも、あと60~70年経てば……って。私のここまでの人生をあと3~4回くらい繰り返せば終わるんですよ(笑)。ネガティブな意味ではなくて。
――悲しい出来事をちっぽけなものにする感じですね。
佐倉
あまりにも辛くて、逃げ場所を探した結果そういう考えに行き着きました。
まず、どうやったら早く気持ちを切り替えられるかを、平常心のときに考えてメモしておくんです。
そうしたら次悲しい気持ちになったとき冷静になれるんですよね。
あとは時間が全部解決していくので。「時間が経てば絶対に風化する!」と、どこかで学んだんだと思います。
朝井
え、すごい。ステキな割り切り方ですね!
佐倉
けっこうオススメです(笑)。
朝井
私はなんだろう……。乗り越えるっていうより受け入れた話なんですけど、小学2年生のときから飼っていた実家の愛犬が数年前に亡くなっちゃったんですよ。
ガンが再発してしまって、もう治療する術がないという状況だったんですけど、タイミング的にお仕事がすごく忙しくて。合間を見つけては帰るを繰り返していたんです。
そうして「いよいよかもしれない」という時期に帰ったら、明らかに雰囲気が違ったんですよ。もう歩くこともできなくなっていて……だから和室でお話することにして。
――愛犬と。
朝井
相手は犬なのでもちろん私が喋るだけですけど、そんな私をじっと見て聞いてくれていたんです。
で、それが最後になってしまって。連絡を受けても実感がわかなくて受け入れられずそれからしばらくずっとボーッとしました。
でも、最後にお話できたというのが私の中で大きくて。それを気持ちの中に収めて、受け入れようと思えましたね。
――ステキなお話をありがとうございました。それでは最後にTVアニメ『消滅都市』を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
佐倉
ゲームをプレイされている方はお気づきのとおり、混ざり合うことのないキャラが同じ世界にいます。
スズナも本当はこの時間軸に存在するはずがないんですが、アニメがなぜこういう設定になったのかは「なるほど」と感覚でわかってもらえると思います。
プレイされている方は、もう少し踏み込んだところまで意識が及んで楽しんでいただけるアニメになっているかと。
そしてアニメから入る方は「このキャラはきっとこうなんだ」となんとなくわかっていくと思います。
私のようにタイトルからザワザワして「どういう意味?」と気になった好奇心で、ぜひ1話から見ていただけるとと楽しんで頂けるのではないかなと思います。
朝井
ゲームをやっている方からすると、アニメ化はすごく喜ばしいことですが、今回のアニメはゲームをなぞるだけのものではありません。
ゲームをやりこんでいて考察をされている方も、また別の目線で楽しめると思います。
そして、新しくアニメから入る人には、「説明チックなアニメではありません!」ということを言いたいです。
「これはこういうアニメでこのキャラクターはこんな人ですよ」みたいなことはないので、ゲームが好きな方と同じ気持ちで楽しめるんじゃないかなと思います。
あと個人的には、ソウマとして花澤さん演じるユキとはじめてかけ合いができたんです。すごく嬉しかったので、その嬉しさが乗っているかもしれません。
そのあたりもぜひ注目して観てください。
『消滅都市』
【放送情報】
TOKYO MX 4月7日より毎週日曜23:30~
読売テレビ 4月8日より毎週月曜26:29~
BS11 4月7日より毎週日曜25:00~
【配信情報】
FOD にて4月7日 23:30~ 独占配信
【TV Animation Staff】
原作:消滅都市(WFS)
監督:宮 繁之
シリーズ構成:入江信吾
キャラクターデザイン:下谷智之
音響監督:本山 哲
音楽:川井憲次
音楽制作:ポニーキャニオン
アニメーション制作:マッドハウス
OP主題歌「答」
歌:阿部真央
作詞・作曲:阿部真央
編曲:akkin
ED主題歌「With Your Breath」
歌:SPR5(CV:社本 悠、岩井映美里、直田姫奈、大西亜玖璃、園山ひかり)
作詞:太田彩華、俊龍
作曲:俊龍
編曲:山口高始
【商品情報】
発売日:2019年4月24日
商品仕様
With Your Breath【初回限定盤】
金額 1,800円+税
品番 PCCG.01769
映像特典 「With Your Breath」Music Video/「With Your Breath」Making Video
With Your Breath【通常盤】
金額 1,250円+税
品番 PCCG.70450
□収録内容
M1. With Your Breath
作詞:太田彩華、俊龍 作曲:俊龍 編曲:山口高始
M2. タイトル未定
M3. With Your Breath(Instrumental)
M4. タイトル未定(Instrumental)
【Cast】
ユキ:花澤香菜
タクヤ:杉田智和
アキラ:中村悠一
ソウマ :朝井彩加
エイジ:新垣樽助
キキョウ:愛美
ギーク:西村太佑
ユミコ:中恵光城
コウタ:高橋 信
タイヨウ:高橋英則
ツキ:今井麻美
スズナ:佐倉綾音
ヨシアキ:松岡禎丞
ツバサ:島崎信長
ルイ:KENN
スミレ:日岡なつみ
ジャック:伊丸岡 篤
カナ:久保ユリカ
リョウコ:黒沢ともよ
ユウジ: 鈴木崚汰
ケイゴ:てらそままさき
シュンペイ:山谷祥生
ホムラ:社本悠
ナミ:岩井映美里
ハルカ:直田姫奈
レナ:大西亜玖璃
ユア:園山ひかり
【TVアニメ「消滅都市」先行上映会】
内容
TV放送に先駆け、劇場で1話~3話の先行上映会を実施。ユキ役の花澤香菜さんとスタッフによるトークショーも開催。
日時
4月1日(月) 18時40分開場/19時00分開演
場所
新宿バルト9
〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目1−26 新宿三丁目イーストビル 9階
入場料金
全席指定 3,000円(税込)
チケット販売
3月8日(金)19時より「きゃにめ」にて販売
出演者
ユキ役 花澤香菜
監督 宮 繁之
シリーズ構成 入江 信吾
消滅都市シリーズディレクター 下田 翔大
プロデューサー 松岡貴徳
特典
入場者特製プレゼント付き
(C)Wright Flyer Studios/消滅都市製作委員会
編集部おすすめ