『ぼくらの7日間戦争』は、大人に反抗した少年少女たちが爽快な逆襲劇を繰り広げる物語を、舞台を2020年の北海道へと移して生まれ変わらせた初のアニメ映画だ。そんな“ぼくら”シリーズのスピリットは、「子どもたちが悪い大人をいたずらでやっつける、爽快なストーリー」にある。
村野監督は作品を任されるにあたって、「原作が多くの読者に支持されたのは、ちゃんとその時代の子ども達に訴えるものがあったから。原作をただなぞるのではなく、今の子ども達に向けて再構築するのが難しかった」と、シリーズのスピリットを継承しつつ現代の作品としてどう打ち出していくかを悩んだことを振り返る。
そんな迷いの中で、制作陣は実際の高校にインタビューに赴くなどリアルな子どもたちの声を聞く労を惜しまなかったというが、村野監督いわく「今の子供たちって、大人に対して過度なストレスを感じているわけではないんです。わざわざ反抗しなくても、何不自由なくすごす為のツールが手元にある。興味があるのは自分とその人間関係ばかりで、そもそも大人にそこまで関心がない」とのこと。
原作にあるような、“子どもVS悪い大人”という明確な構図を見つけ出すことは出来なかったそうだ。
だが、子どもたちを教える教師らの「本当に今の子たちは器用だし、なんでもある程度上手くこなすことは出来る。ただ、頑固さ、粘り強さに欠けている。大体のこと、言われたことはその通りに器用にこなせるけど、トラブルが合った時に対処できる子がいない」という話から、思わぬヒントが見つかる。
村野監督はこれについて「なるほどなと思いつつも、そう決めてかかる大人の鼻を明かしてやりたくなったんです。
さらに、学校でのインタビューやシナリオ会議を経て、子どもたちにとっては大人だけでなく、相対する人間ごと、扱うSNSやアカウントごとに異なる“自分自身”も敵になることが設定された。
村野監督は、本作の制作発表時に「原作の発表された時代ほど大人は物分かりの悪い人間ばかりではないし、生まれた時から当たり前にあるネット環境は大人に内緒で冒険することを容易くさせました。しかしどうやら、自分たちの自由な居場所を獲得しやすくなったと同時に、その居場所を守る為にはまた別の不自由さが生まれているみたいです」とコメントしているが、まさにこれこそが今“7日間戦争”が制作される理由にして、現代の子どもたちが戦う理由となっているようだ。
また公開に向けてますます期待が高まる中で、新たに宮本充、関智一、中尾隆聖が参加していることもわかった。宮本は潘めぐみ演じる香織の父役、関は主人公たちが立てこもる廃工場に突入しようとする入国管理官役、中尾は権力を笠に着た大物政治家役を担当している。
酸いも甘いも噛み分けた大人として主人公たちの前に立ちはだかる、 ベテラン声優3人の熱演にも注目したい。
映画『ぼくらの7日間戦争』は、12月13日より全国ロードショー。
映画『ぼくらの7日間戦争』
12月13日(金)全国ロードショー
<キャスト>
北村匠海 芳根京子 / 宮沢りえ(特別出演)/潘めぐみ 鈴木達央 大塚剛央 道井悠 小市眞琴 櫻井孝宏
<スタッフ>
原作:宗田理『ぼくらの七日間戦争』(角川つばさ文庫・角川文庫/KADOKAWA 刊) 監督:村野佑太 脚本:大河内一楼 制作:亜細亜堂 配給:ギャガ KADOKAWA 製作:ぼくらの 7 日間戦争製作委員会
(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員
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