「アニメ!アニメ!」では、5人全員に初となるインタビューを実施。先日公開した5人での座談会の次は、一人ひとりにスポットを当て、デビューのきっかけ、オーディションでの出来事などを聞きつつパーソナルに迫っていく。
4人目は、日向もかの登場だ。
あどけない笑顔が印象的な高校3年生。最初こそ緊張した様子だったが、肩の力が抜けてからは一気に饒舌に。声優になるきっかけから、オーディションでの出来事、さらに将来のことも語ってくれた。
[取材・構成=松本まゆげ]
■声優の知識が増えるたび興味も増した
――まずは、声優を目指しはじめたきっかけから教えてください。アニメはよくご覧になっていましたか。
日向:昔からアニメが大好きでした。親が『ドラゴンボール』が大好きで「面白いよ」と勧めてくれて、レンタルショップに行って第1話から観はじめました。それで「アニメって面白いな」と思ったんです。
次に『ワンピース』を勧められて観ていたら、「ルフィとクリリンの声が似ている」と感じて、お母さんに聞いたら「同じ声優(※田中真弓)さんなんだよ」と教えてくれました。
――声だけで出演する役者がいると。
日向:はい。ドラマや映画でお芝居をする役者さんの存在は知っていましたが、声優さんはそこではじめて知りました。そこから『日常』などリアルタイムで放送・配信されているアニメにも触れるようになっていきました。
――では、声優を目指すようになったのは?
日向:じわじわとです。さかのぼってしまいますが、芸能のお仕事に興味を持ったのは幼稚園の時なんです。卒園するときは、アルバムの将来の夢の欄に「お笑い芸人」って書いていました。
――あ、同じ芸能でも「お笑い芸人」だったんですね。
日向:そうなんです。これも親の影響で、『8時だョ!全員集合』のDVDを毎日のように観ていました。だから子どもの頃からお笑いやバラエティ番組が大好きで、将来はお笑い芸人になりたいなって思っていたんです。
そこから時が経ってアニメにどんどんハマっていくにつれて、声優がどんな職業なのかも具体的にわかってくるわけです。「顔を出してお仕事することもあるんだ」「ステージで歌って踊ることもあるんだ」と。そうしたらいつの間にか「声優ってカッコいいな!」と憧れるようになっていました。
――そんなときに、ミュージックレインのオーディションがあったんですね。
日向:はい。それ以前にも声優オーディションは受けてはいたのですが、ミュージックレインは『ソードアート・オンライン』や『しゅごキャラ!』といった私が大好きなアニメに出演している声優さんが所属していて、「すごい!」と興味がわいたんです。
――それまでにお芝居の経験は?
日向:小学生のとき演劇部に入っていました。あと、モノマネが好きなんですよ。友達同士でやるレベルの、お見せできるようなものではないのですが。中学生の時は朝礼台の上に立って、『ラブライブ!』の矢澤にこちゃんや『ドラゴンボール』のフリーザのモノマネをよくしていました。
――人を楽しませるのがお好きなのでしょうか。
日向:そうですね。
■声優になり変化したアニメの見方
――人前に立つのは緊張してしまう、ということでしたが、オーディションはいかがでしたか?
日向:それはもう緊張しました(笑)! 人前に出るのは苦じゃないんですが…!
――オーディションのなかで、特に難しかったことは何ですか?
日向:歌です。暗記が苦手で、緊張すると覚えていたことが飛んでしまうんです。歌詞も何も見ずに歌わなければならなかったので、本当に不安でした。
2次では「ムーンライト伝説」、3次では「残酷な天使のテーゼ」という歌い慣れた曲を歌ったので、本番では失敗せずに歌えたのではないかなと思います。
――では、オーディションではどの部分を自己アピールしましたか?
日向:元気なところを伝えられればいいなと思っていました。だから自己PRのとき「身長はちっちゃいけど、存在感はティラノサウルス並にあります!」と言い放ちました(笑)。それぐらい、誰かの印象に残りたいっていう気持ちが強かったです。
――2次3次と通過できたわけですが、「当然」なのか「まさか」なのかどっちでしたか?
日向:2次までは、「まさかな」「まぐれかな」と思っていました。だけど、2次にも通って3次の結果を待っていたときは「合格したい!」という気持ちでいっぱいでした。
――いけるかもしれないと。
日向:そうですね。自信があったわけではありませんが、「受かりたい」という気持ちは強かったです。「ここまできたらなんとしても声優になりたい!」って。
なので、次の審査に向けてそれまで以上に練習するようになりました。次の選考で読むセリフ原稿を事前にもらえたので、そのセリフのパターンをいくつも作って、本番で印象づけられるように準備していました。
――念入りな準備ですね。そんな姿勢が功を奏し、見事合格しました。合格の連絡がきたときのご感想は?
日向:バイトが終わって、家に帰ろうと自転車のスタンドを倒した瞬間に着信がありました。すぐに取れなくてその場でかけ直したら、事務所の方で。「合格」という言葉をもらったのですが、最初、信じられなくて「夢じゃないですか?」って聞いてしまったんです。「夢じゃないと思いますよ」って返ってきたんですけど(笑)。
――(笑)。
日向:それで、そのまま思いっきり自転車を漕いで家に着いて、玄関に飛び込んで「ただいまー! 合格だったよー!」って家にいるお母さんに報告しました。
――直接言いたかったんですね。
日向:そうなんです。そのあとで、お父さん、おじいちゃんおばあちゃんにも報告しました。家族でお祝いをしてくれることになって、おばあちゃんに「好きなものは?」って聞かれたから、手巻き寿司と唐揚げをリクエストしてつくってもらいました。みんなに祝ってもらいながら食べたんですが、すごく嬉しかったです。ただ、実感はあまりなかったです。
――祝ってくれているけど。
日向:正直、今でも現実味がなくて「あ、受かったんだよね」と、ふと再確認することがあります。会社のエントランスで、先輩たちのミュージックビデオが流れていることがあるのですが「私こんなところにいるんだ」って不思議に思うことも多いです。
――では、アニメの見方も変わってきましたか。これまではただ楽しいだけだったアニメに、自分が出演することになるわけですが。
日向:たしかに今まではただ楽しいだけでしたが、「このキャラクターを可愛く思えるのは、声の出し方に秘密があるのかもしれない」と考えて見るようになりました。
演技という点では、アフレコのレッスンを受けていて思うのが、キャラクターの距離感を掴む難しさです。私の場合、元気キャラを演じるとただただ元気を押し出してしまって、芝居が浮いて聞こえる感じがするんです。
だけど、ほかのアニメを観て浮いて聞こえることはない。それはなんでなんだろうって考えるようになって、そういう意識は変わったかなと思います。
→次のページ:テーマパークのように楽しく賑やかに
■テーマパークのように楽しく賑やかに
――ここからは、日向さんの趣味や特技についても聞いてみたいです。
日向:趣味は、アニメを観たりマンガを読んだりすることですかね……。最近はゲームも少しやります。あとは……遊ぶことが好きです!
――では、特技は?
日向:これは特技と言えないかもしれませんが、妄想です。何かきっかけがあれば、頭の中でストーリーを考えてしまいます。それを友だちに「こんなの思いついたんだけど」と話したりします。……特技といえますかね(笑)?
――どうでしょう……(笑)。
日向:あ、あと剣道をしていました! 小学校5年生のときにはじめて、中学3年間は剣道部に入っていました。2段まで持っています。
――それは特技と言えそうですね!
日向:でも今はもうまったくやっていないので……。あ、でも、半年前にキックボクシングをはじめました。
――なぜまたキックボクシングを?
日向:剣道をやめて体を動かさなくなったので「なにかやりたいな」と思っていたとき、近所でジムの張り紙を見たんです。近くでできるなら良いなと思ってはじめました。今は、回し蹴りを習得しているところです。
――そんな日向さんは、自分をどんな性格だと思いますか?
日向:それはもう、やっぱり……「元気」ですね!
――ここまでのお話を聴く限り、納得ですね。では、それを踏まえてキャッチフレーズを付けるなら?
日向:私自身にってことですよね。何だろう……。悩む! 何かヒントをください……(笑)。
――そうですね……。さっきの話もそうですが、元気で面白くて賑やかな印象もありますね。
日向:なるほど……あ! では「歩くテーマパーク」とかどうですか?
――いいですね!
日向:自分でもしっくりきてます!
――では次に、日向さんがリラックスするのはどんなときか教えてください。
日向:犬を飼っているんですけど、その子といるときが一番リラックスできます。
――どんな犬なんですか?
日向:黒いチワワです。いつも「ただいま」って帰ると、とことこ寄ってきてくれるんですけど、それがすごく可愛いんです。毎日癒やされています。
――もしアニメ!アニメ!で連載を持つとしたら、どんな企画にチャレンジしてみたいですか?
日向:ひたすらに楽しいことをしたいです! 「今日の日向のプチコント」とか。声優さんを呼んでコントもやってみたい! ドリフみたいな(笑)。
――ちなみにどんな方とやってみたいですか?
日向:事務所の先輩でいうと、高垣彩陽さんや戸松遥さんとご一緒できたら盛り上がりそうです。芸人さんを呼ぶのも楽しそう!
あとは、同じくオタクを経て声優になった方と、オタク語りもしてみたいです。声優になった経緯やアニメへの想いをワイワイ語り合いたいです。
――夢は広がりますね。では最後に、日向さんが今後どんな声優になっていきたいか、意気込みをお願いします。
日向:演じたい役でいうと、男の子にもいつかチャレンジしてみたいです。あと、「日向の声を聞いたら元気になれるよ」と言ってもらえるような存在になりたいです。
そうして、いろんなアニメに出られるようになった暁には、アニメ好きとそうでない人との架け橋になりたい。今でもアニメは人気ですけど、やっぱりアニメを日常的に観ていない人たちの中には、観もしないで「面白いと思わない」とシャットアウトしている人もいるかと思います。
でも、観たら面白いとわかってもらえるはずなので、「日向が出ているなら見てみようかな」みたいに、私をきっかけに興味を持ってアニメ好きになってもらえたら嬉しいです。そうなれるように早く成長したいです。
◆◆◆
「『8時だョ!全員集合』のほかには、『はねるのトびら』と『ピカルの定理』も大好きでした。もちろん漫才も好きですよ! パンクブーブーさんやNON STYLEさん、アンジャッシュさんのネタが好きです」と、元気に語る彼女。小さい頃からお笑いに触れ、笑いに囲まれて育ったことが、「楽しく過ごしたい」「面白くしたい」といった信念に繋がった。変わらない思いがある人は、強い。
ミュージックレイン3期生インタビュー掲載スケジュール
第6弾 宮沢小春 :12月27日(金)