前回は、寿さんが自ら撮った写真とともにイギリス生活を振り返りつつ、29歳を間近に控えた今、イギリスで迎える誕生日についてどのような思いを抱いているのかお聞きしました。
第7回となる今回も、寿さんが撮った写真とともに先月のイギリス生活を巡ります。イギリスらしさあふれる『ハリー・ポッター』満載の写真のほか、先月のお誕生日をどのように過ごしたのか、さらにアーティストデビュー10周年を振り返る貴重なお話も聞くことができました。ファン必見です!
[取材・文=米田果織]
■対面授業がスタート!クラスメイトとの交流は?
――学校では対面授業が始まったそうですね。この1か月、周りの環境が大きく変化したのでは?
寿:クラスメイトとご飯を食べに行ったり、一緒に帰ったりと、これまででもっとも充実した学校生活を送っています。
――新しく始まった授業はいかがでしょうか?
寿:かなりハードになりました…! 内容もそうですが、みんな「言語を学ぶ」という強い意思を持って授業に出ているので、先生への質問の量がとてつもないんです。先生が「これはあなただけの授業じゃないから、また今度話すね」と止めるくらいで(笑)。
自分が意見を出したくても、順番を待っていたらすぐ次に行ってしまうので、前のめりな姿勢で学ばなければいけないことを痛感しています。
――通学されているとのことで、イギリスの交通機関や街の様子はいかがですか?
寿:私の場合、学校まで歩いて行ける距離なので、交通機関は基本的に使用していないのですが、休日に電車を使って街に出てみても人通りはあんまり多くないですね。
そういえば、ラジオのリスナーさんに片道2時間かけて学校に通っているという方がいたんです。「外出自粛期間のオンライン授業では、通学時間が短縮されて良かった」と話していて、「確かに! 通学・通勤時間の長い人にとっては、オンラインの方が良いかもな」と思いました。
――日本では、朝は満員電車になるという光景が戻ってきつつあるように感じます。では、ここからは寿さんのお写真と共にイギリスの現状や、さらにこの1カ月に起こったことをお聞かせください。
■イギリスで『ハリー・ポッター』を満喫♪ 貴重な動画も満載
――これは先月行われた生配信(9月19日実施)でも言っていた、「ハリー・ポッタースタジオ」のお写真ですね。私も拝見していたのですが、ハリポタファンとして始終羨ましかったです!
寿:写真では一部しか見せられなくて残念ですが、これは『ハリー・ポッターと賢者の石』の中に出てくる巨大チェスのコマです。スタジオの前に、銅像として置かれていました。
――スタジオはかなり大きな建物のようですね。
寿:ここで実際に撮影が行われていたのに加えて、この中には『ハリー・ポッター』に出演する子どもたちのために学校まで作ったそうなので相当広いです。当時はその学生たちはここで勉強をし、1日4時間限定で撮影していたようです。
――そうだったんですね! 続いて、こちらのお写真は?
寿:これは、ロンドンにある「MinaLima(ミナリマ)」(※1)のお店です。お店の中には魔法書や新聞などが飾ってあり、その絵や文字などもすべてミナリマのふたりが手掛けていて、実際に見てもその丁寧さや美しさに感動しました。ちなみに、大阪にも期間限定でポップアップショップがオープンしています(※2)。
※1:『ハリー・ポッター』と『ファンタスティック・ビースト』の魔法の世界観を生み出したグラフィックデザイナー、ミラフォラ・ミナとエドゥアルド・リマによって設立されたデザインスタジオ
※2:2019年4月12日に大阪・南堀江に期間限定でオープン。当初は1年間の開催を予定していたが、好評につき営業を継続中(2020年10月31日現在)。
――続いての動画は、『ハリー・ポッター』でお馴染みのバタービールじゃないですか?
寿:そうです~♪ 『ハリー・ポッター』の劇中にもある、飲んだら泡がついてヒゲみたいになっちゃうのを再現してみました(笑)。
――これは「キングス・クロス駅」のお写真ですね。写真が2枚あります。
寿:キングス・クロス駅って、2つあるんです。フランスに繋がっている大きい駅と、ロンドン市内へ続く電車が走る小さい駅です。
2年前にイギリスに来た時も見ていたのですが、その時はあまり思い入れがなくて「これがあの有名な」くらいにしか思っていなかったのですが、今回『ハリー・ポッター』好きの友達と一緒にスタジオを巡ったり、映画を観直した後に行くと「うわ~!」と感動もひとしおでした。
――このアフタヌーンティーも、『ハリー・ポッター』をイメージしたものなのでしょうか?
寿:これは“ハリー・ポッター風”ですね(笑)。ウィザードアフタヌーンティーというのですが、フクロウの鳥かごの中にアフタヌーンティーセットが置いてあるんです。すっごく美味しくて目も舌も楽しめました。
――色合いが、ハロウィンにピッタリですね。海外のハロウィンは家の装飾にかなりこだわっているイメージがあるのですが、イギリスはいかがですか?
寿:イギリスはハロウィンより、もうすでにクリスマスが始まっている感じです。お店で売られているのは、ほぼクリスマスのものになってしまいましたね。
ホストファミリーも「ハロウィンのデコレーションは3日前くらいからでいいかな?」と言っていました。それでも私のためにカボチャをゲットしてくれたので、一緒にカービングしてジャック・オー・ランタンを作ろうと思っています。
――楽しそう! 次のお写真は、寿さんがまるで魔女のコスプレをしているような一枚ですね。
寿:ここは、先ほどのアフタヌーンティーをしたホテルのお部屋です。友達がグリフィンドールのローブと杖を持っていたので、借りて撮影させてもらいました。
――ベッドにさりげなく「ピケット」(※『ファンタスティック・ビースト』に登場する魔法動物)がいますね(笑)。
寿:これもお友達が持ってきてくれました! このホテルに実際に泊まったのですが、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』を一緒に見ながらハリー・ポッター愛を語り合いました。
→次のページ:29歳の誕生日はどんな1日を過ごした?
■29歳の誕生日はどんな1日を過ごした?
――ここからは、先月の寿さんのお誕生日にまつわるお写真ですね。これは、バースデーカードでしょうか?
寿:イギリス感あふれるカードだったので、思わず写真に収めました。右下が、イギリスに古くからある「タワーブリッジ」(※ロンドン市内を流れるテムズ川に架かる跳開橋)のポップアップカードです。細かく描かれていてすごいですよね!
――次の写真は、YouTubeでも紹介されていた、お誕生日当日に行ったアフタヌーンティーのスコーンですね。
寿:そうです。
――お誕生日当日は、どんな1日を過ごされたのですか?
寿:朝はお仕事をして勉強するという、いつもと変わらない日常を過ごしました。午後にはアフタヌーンティーに行ったのですが、もともと一緒に行く予定だった友達が理想の時間には合わなかったのでひとりで堪能しました。そのあとにその友達と合流して、別のお店でお茶をしながら2~3時間しゃべり倒して帰るという1日になりました。
――ホストファミリーからお祝いもありましたか?
寿:その週末に、ホストファミリーにお祝いしてもらいました。好きな料理をお願いしていたのですが、リクエスト通りの美味しい晩御飯を作ってくれました。
――さらには、久しぶりの生配信でファンの方に直接祝ってもらうという、いつになく貴重な誕生日になったのではないでしょうか。
寿:すごく楽しかったです。いつもは、動画を撮影してから編集して、公開する…という、ファンの皆さんと少しタイムラグがあっての交流だったのですが、生配信だとリアルに交流できて、「本当に私の今が届いているんだ」と感じられ、やってよかったなと本当に思いました。
■アーティストデビュー10周年を振り返る…寿美菜子に影響を与えた曲、人とは?
――生配信では、アーティスト活動10周年ということで、自身の楽曲を振り返っていました。このインタビューでも過去作について度々聞かせていただいているように、今年は特にこれまでの経験を振り返る年になったのではないでしょうか?
寿:今年、特に印象的だったのが、スフィアのドキュメンタリー『“What’s our name?”』が発売されたこと。その「寿美菜子編」では私の楽曲が使われていて、その時に「私の曲はこんなにもメッセージを持っているんだ」と改めて実感しました。
――ほかに、イギリス生活で自身の曲のメッセージ性を感じたエピソードはありますか?
寿:先ほどお話した『ハリー・ポッター』を一緒に楽しんだお友達が、ちょうど先月日本に帰国したんです。それでこの1か月、寂しくてずーっと泣いていた気がします(笑)。
「帰るのか~」と考えるだけでボロボロ涙が溢れてきて……。その子がいたから、このロックダウン中もイギリス生活を楽しめたと言っても過言ではないので、心の整理がうまくできなくて。
その子が帰国する時に、お手紙を渡したんですね。後に手紙のお礼の連絡が来たのですが、そこに「実は『ミリオンリトマス』(※2016年発売、寿さんの11枚目のシングル)に励まされていた」と書かれていました。私の大事な人が私の曲で力をもらっていたんだとわかり、とても嬉しかったです。
――いろんな曲・人に感謝する年にもなったということですね。その中で、寿さんに一番影響を与えた曲は?
寿:いっぱいあり過ぎてどうしよう…! 「全部」という答えが前提となりますが…色々なことのきっかけになったのは「black hole」(※2015年リリース、寿さんにとって8枚目のシングル)な気がします。
あの曲を作っている時、何に対してもフラストレーションを抱えていたんです。それがエネルギーにもなっていたのですが。表現したいと思っていることはあるのに、それをうまく形にできなくて、ずっと焦っていた気がします。
そんな時「black hole」に出会って、「まさにこれが今の気持ちだ!」という感覚になったのを今でも覚えています。
――寿さんのこの10年はファンの皆さんにとっても大切なもので、先日の生配信で一緒に振り返ることができて貴重な時間になったと思います。
寿:10周年をきっかけに、過去の曲を聴き返していたのですが、思い出すものがたくさんありました。いつもパフォーマンスをするときは「今出せる表現を楽しもう」と決めていて、次にまたステージに立つときはどんな表現が生まれるのか…と同時に、来てくださる皆様の笑顔を見るのを楽しみにしています。
そういった思いが積み重なっていくんだなと思うと、これからも楽しみでなりません。
■ラジオ初出演に落ち込み…デビュー後すぐに出演した『有楽町アニメタウン』こぼれ話
――余談ですが、実は私も寿さんの初ソロライブ(※「寿 美菜子1st Live TOUR 2012 “Our Stride”」)に足を運んでいたので、先日の生配信は私にとっても感慨深い時間でした。
寿:え、そうだったんですか!? ありがとうございます! 懐かしい~!
――『有楽町アニメタウン』(※2005年から2007年にかけて、ニッポン放送で放送されたラジオ番組)を聴いて寿さんやスフィアを知って。「ミニータン」(※ラジオ内のコーナー)やオリジナルドラマがとても好きでした。
寿:うわ~! 懐かしすぎる!(笑)
あの時、ラジオに出演するときは、収録前にみんなで集まって、カラオケや会議室でシミュレーションや練習をしてから『アニタン』に挑んでいたんです。
初めて『アニタン』に出た時のことは、今でも覚えています。「何も話せなかった~!」って後悔して終わりました(笑)。
――そうだったんですか!? そんな印象はなかったのですが……。
寿:私自身も、何がダメだったのかわからなくて。初出演は(豊崎)愛生ちゃんとはるちゃん(戸松遥)と私の3人だったのですが、他の2人はちゃんと話すことができているのに、私はうまく返せなかった…って落ち込んでしまいました。
それをマネージャーさんに話したら「寿さんが同じような分量を話していたら、“もうちょっと引いてほしい”と思われていただろうから、バランスがとれていてすごく良かったよ」と言ってくださって。そういったアドバイスも全部覚えています。
――貴重なお話をありがとうございます! 最後に、イギリスの現状と、それに合わせて今後どのような活動をしていこうと思っているのか、教えてください。
寿:実は、新型コロナウイルスの感染者数が、ロックダウン前よりも多い状態になっていて……。充分注意して、自分で身を守りながら、学校生活などのイギリス生活を引き続き楽しんでいけたらと思っています。
YouTubeチャンネルについては、外での撮影も注意しながら行いつつも、おうちで撮る動画では「学校でこんなことがあった」など最近あったことをラフに伝えていこうと思っています。
引き続き、見てくれている方の癒しの場所になれたら嬉しいです。
――ありがとうございました!
寿美菜子 プロフィール
『泣きたい私は猫をかぶる』深瀬頼子役
事務所の同期である、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生とのユニット「スフィア」のメンバー。