イギリスのサマーホリデーを満喫している寿さんが訪れたブライトンやオシャレなホテルでの過ごし方を、写真と共に振り返った前回。
第18回となる今回も、寿さんが撮った写真とともに先月のイギリス生活を振り返ります。ずっと行きたかった「エディンバラ・フェスティバル」に参加しての感想や、スコットランドの街並みの印象、また9月17日に30歳を迎えた寿さんの今年の抱負なども伺いました。
[取材・文=米田果織]
■サマーホリデー&スフィア初バーチャルライブを振り返る
――前回のインタビューではサマーホリデー真っ最中だった寿さん。さまざまな場所に行っていましたが、イギリスの夏は堪能できましたか?
寿:存分に堪能できて、本当に楽しかったです! バース、ブライトン、プリマス、エディンバラ、そして最後にマンチェスターに行って私のサマーホリデーツアーが終わる予定だったのですが、マンチェスターへ出発する前日にNHS(イギリスの新型コロナウイルス追跡アプリ)から通知が来てしまって(苦笑)。自主隔離しなければ行けなくなってしまい、舞台のチケットを無駄にしてしまいました……。
――YouTubeで動画もあげていましたね。イギリスのコロナの状況はどうなっていますか?
寿:サマーホリデーを挟んでも、感染者がそんなに大きく増えることはありませんでした。
――そうなんですね! では、観光地もそんなに人はいなかったのでしょうか?
寿:いえ、ロンドンのように賑わっている場所もありましたよ。特にエディンバラはフェスティバル中ということもあって、本当にたくさんの人が訪れていました。スコットランドはイギリスの中でも有数の観光地なので、国外に出るのに抵抗がある人も多かったみたいで、その分イギリスの方が集まったのだと思います。
――8月はスフィア初のバーチャルライブ「Sphere Virtual Live Vol.1 Future Streaming -バーチャル飛びだスフィア-」も開催されました。
寿:数か月かけて準備してきたので、ついに形になって皆さんに届けられて良かったです。実は、開催直前まで少し心配していた部分があって。これまでリアルなライブの経験しかなかった分、画面越しだし、バーチャルだし、お客さんが盛り上がる姿が想像しきれていなかったんです。
でも、そんな心配いらなかったですね! リアルなライブ同様にファンの方とコミュニケーションを取ることができて、同じ時間を共有していて、同じ感動を得て、笑顔になれました。逆に、これまでのリアルライブがあったからこそ、このバーチャルライブの形を構成できたと思うんです。スフィアとファンの皆さんが一緒に作り上げてきたものがあったから、バーチャルに置き換えても盛り上がることができたと感じました。とっても幸せな空間だったので、またやりたいです!
――リアルタイムで流れた感想のコメントにも、ファンからの「またやってほしい」という言葉がありましたね。
寿:私もその感想を見ていて、すごく嬉しかったです。また「リアルなライブに行きたくなった」という声もあったのですが、それは私たちも同じです。「やっぱりスフィアって良いな」「ライブって楽しいな」と改めて思ったので、また皆さんと楽しいことがしたいです。
――その機会が訪れてくれるのを、楽しみにしています! では、ここからはお写真と共に振り返っていきましょう。
■エディンバラの街並みから学ぶ歴史 「ハリー・ポッター」発祥の店にも
――前回のインタビューは、エディンバラに到着した日でしたね。
寿:皆さんが想像しているであろうヨーロッパの街並みがそのまま広がっていました。この写真は泊まったホテルなのですが、壁が石造りになっているのはスコットランドならでは。昔からある建物をリノベーションしたホテルで、外観もとてもステキでした。
――部屋までの階段が螺旋状になっていて、乙女の理想をそのまま再現したようですね。
寿:まるでラプンツェルの世界ですよね(笑)! でも、私の部屋は5階で、エレベーターがないのでキャリーバッグを持って行くのが大変でした(笑)。
――これは街並みを映した写真ですね。足場も石造りになっていて、また高低差があるのもヨーロッパらしさを感じます。
寿:この先に見えるトンガリ屋根の建物が、有名なスコット・モニュメントです。以前ケーヨ役で出演させていただいた『サンダーバード Are Go』に登場する「サンダーバード3号」に似てる、と話す人もいますね。
階段を降りるにつれて少し暗くなっているのはわかりますか? エディンバラは昔、上に住んでいる人は格上、下に住んでいる人は格下と身分格差がすごかったんです。上に住んでいる人たちは、ごみを下に向かって投げ捨てていたそうで、城下では疫病が流行り、健康も守られず、生きていくのも大変だったという歴史を知りました。
――美しく見えて、考えさせられる写真なのですね。
寿:城下では地下要塞までも作られていたそうで、その地下都市を巡るツアーもあったのですが、スケジュールが足りなくて行けなかったんです。機会があれば絶対に行ってみたいですね。
――エディンバラ城には行かれたのですか?
寿:ホリデー中は予約が埋まっていて、行くことができなかったんです……。なので、ホリールード宮殿に行ってきました。今年お亡くなりになったエディンバラ公爵フィリップ殿下もよく使われていた宮殿なのですが、今まで行った宮殿の中で「一番好き」だと思いました。フィリップ殿下はアートがお好きな方だったので、絵などの展示品もすべてに品があってとてもステキでしたね。
――このお写真にあるアクセサリーも展示されていたものでしょうか? まるでセーラームーンの変身コンパクトのようで、すごく気になりました。
寿:私も同じことを思って写真に収めました(笑)!「かわいいコンパクトだな~」と思ってみていたのですが、オーディオガイドを聴いてみると、真ん中のブルーの場所を開くと骸骨の絵が描かれているそうです。何のための宝石なのかは未だにわかっていないそうなのですが、可能性は2つあって、1つは死者に送られた弔いの宝石、もう1つは呪いの宝石……だそうです。ミステリアスでステキですよね!
――呪いだとしても、こんなステキな宝石なら贈られてみたいですね(笑)。
寿:ですね(笑)! 怖いですけど、キレイで見とれてしまいました。
――ホグワーツ魔法学校のモデルになったのがエディンバラ城と言われている通り、エディンバラといえば「ハリー・ポッターが生まれた町」。
寿:エディンバラに来たら行かなきゃいけないだろうと思って、行ってきました! 作者のJ.K.ローリングさんが『ハリー・ポッター』を執筆されたと言われているお店です。これはお手洗いの写真なのですが、ファンの方がいろんな思いを綴られていて、私も自分のサインを残してきちゃいました(笑)。ただ、その2~3週間後に火事になってしまったそうで、どこまで残っているのかわからないんです……。
――もしかしたらこの写真はかなり貴重なものになるかもしれませんね。
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■念願の「フリンジ」参加に喜び
――「フリンジ」に参加した際のお写真ですね。ずっと楽しみにしていましたが、参加してみていかがでしたか?
寿:すっごく楽しかったです! 街全体がフェスティバル仕様になっていて、どこに行ってもワクワクしました。街中にポスターが貼られているので、どの公演を見るかすごく悩んでしまいました。一番印象に残っているのが、このポスターにある公演です。
――どんな公演だったのでしょうか?
寿:「ブリテンズ・ゴット・タレント」というイギリスの公開オーディション番組があるのですが、10年前にその番組に出場した、オックスフォード大学出身のアカペラグループの後輩にあたる人達によるコンサートステージです。先輩達のステージは今でもYouTubeでその様子を見ることができるので、是非見てほしいです。本当に素晴らしいんですよ。今回初めて生でアカペラを聴くことができて感動しました。
――フリンジでは、出演者と交流もできるのでしょうか?
寿:はい。公演の後にお見送りをしてくれました。基本的にイギリスは入出待ちの文化があるので、舞台前後にキャストに感想を伝えることができるんです。
――トータルでどれだけの公演を見たのでしょうか?
寿:2日間で7公演を見ることができました。前回のインタビューで「バーレスク的な公演を見たい」と話したのですが、それも観ることができたので、すごく充実したフリンジになりました!
■ロンドンでも舞台漬けの日々を満喫
――フリンジから帰っても、たくさんの舞台を見られたのですね。
寿:今思い返すと、この夏は本当に舞台漬けだった気がします(笑)。ライオン・キングは日本で見たこともあったのですが、イギリス公演ではまた違った印象を受けました。歌声も全く違っていて、神聖な儀式を見させてもらった感覚です。
――イギリスは劇場から作品に合わせていて、どれもステキですね。
寿:これは劇場の写真だけでも、なんの公演を見たかわかりますよね。「オペラ座の怪人」です。「ハー・マジェスティーズ・シアター」という劇場なのですが、すごくゴージャスで入った瞬間から圧倒されました。
――上のシャンデリアが落ちて来たりするのでしょうか?
寿:まさにその通りです(笑)。劇場から「オペラ座の怪人」になっていたので、いるだけで作品に浸れる空間でした。
――以前のインタビューで「行きたい」と言っていた、ロイヤルアルバートホールにも入ることができたのですね。
寿:はい! もう終わってしまったのですが、「プロムス」というBBCが主催するコンサートが1か月間ほど開催されていて、毎日演目が違っていたので、私はピアノとパイプオルガンを聴きに行ってきました。最上階ではみんな寝転んで聴いていて笑ってしまいました(笑)。
――寝ながらオーケストラを聴けるなんて、最高ですね(笑)。
寿:一番の特等席かもしれないと思いました(笑)。
■寿美菜子の“幸せ”とは? 30歳の抱負を聞いた
――9月17日は、寿さんの30歳の誕生日。昨年、29歳の抱負を聞いた時は「いろんな人・ものに感謝できる人になれたら」と話していましたが、振り返っていかがですか?
寿:ロックダウンを終えて、そう思えるようになりました。今、毎日のように舞台を観に行っているのですが、劇場のアナウンスが「welcome back to the theater」など“おかえり”という意味の言葉を言ってくれて、「劇場に来られるだけで感謝だな」としみじみ感じます。電車やバスが時間通りに来なかったり、荷物が指定の日に届かなかったりすると最初は怒っていたのですが、最近では「よく時間通りに来たね!」という気持ちになったり(笑)。イギリスに来てから、何事にも感謝せずにはいられなくなりました。
――では、30歳の抱負も聞かせてください。
寿: 私はよく父親に「今幸せか?」と聞かれるのですが、「幸せやで」と返すと「幸せやったら良いねん。何でも」と言われるんですよ。改めて「私の幸せってなんだろう?」と考えた時に、それは“挑戦すること”だと思いました。挑戦をやめた瞬間、幸せを感じなくなると思うので、30歳になっても引き続きチャレンジ精神を持って、何事にも挑んでいきたいと思っています。
――ありがとうございました!
寿美菜子 プロフィール
『TIGER & BUNNY』カリーナ・ライル/ ブルーローズ役
事務所の同期である、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生とのユニット「スフィア」のメンバー。