「京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL- 2023」熱狂に包まれた世界初のアニメ劇伴野外フェス、夢は世界へ！【イベントレポート】

アニメの劇伴が主役の野外音楽フェス『京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL- 2023』が9月16日、京都の梅小路公園で開催された。アニメ映像を引き立てる劇伴音楽の魅力を世界中に届けたいとの思いで、林ゆうきが発起人となって立ち上がった本イベントは、2022年に無観客でのオンライン配信でスタート。今年4月の屋内開催となった『東京伴祭』を経て、当初目指した京都で有観客による野外開催が実現した。当日の京都は快晴で、野外フェスにはもってこいの天気ではあったが、日中の気温が35度を超える猛暑日となった。だが、会場の熱気はその気候に劣らないものとなり、初の劇伴野外フェスは大きな歓声に包まれた。会場となった梅小路公園は、広い芝生に大きなステージを構え、来場者たちはそれぞれレジャーシートやテントを張り、リラックスしたムード。会場外には屋台やカフェスペースもあり、出入りは自由なので、適度に休憩しながら楽しめる。水族館や博物館もある公園なので合間にそちらに行ってもいい。発起人の林も言うように、自由に楽しめる空間だった。［取材・文：杉本穂高］野外ならではの大音量で劇伴を浴びる特別な体験フェスは発起人・林ゆうきの挨拶で幕を開けた。「みんなの願いが届いて快晴になった。水分補給をこまめに、寝っ転がりながらでもいい、水族館などに行きながらでもいい、思い思いに楽しんでほしい」と挨拶。トップバッターは、林の「パパ友」であり、昨年から連続出場を続ける宮崎誠 / (K)NoW_NAME:Makoto Miyazaki。代表作の『ワンパンマン』から幕を開け、『Fairy gone フェアリーゴーン』から現在放送中の『ゾン100～ゾンビになるまでにしたい100のこと～』『SPY×FAMILY』、最後は『サクラクエスト』というセットリストとなった。『ワンパンマン』の『正義執行 第二撃』『Genos fights』『Metal Bat』『Fubuki』と、いきなりテンション高い曲で幕を開ける。いずれも強烈なパッションを感じさせる曲で、野外でのパフォーマンスなだけあって大音量がどこまでも広がっていく。また、2面設置された大型モニターにはアニメ映像が流され、大迫力の音楽を盛り上げていた。宮崎はMCの中で、『京伴祭』は音楽を作る理由を考えるきっかけをくれたステージだと語った。このイベントはこんなに楽しいのは、素晴らしい演奏スタッフと林ゆうきの人柄だと感謝の気持ちを送った。二番手は、今回が初参加の岩崎琢。涼しげな作務衣のステージ衣装で京伴祭公式グッズの扇子を持って登場し、ノリノリのダンスを披露しながらキーボードを操る軽快なパフォーマンスを披露。そんな岩崎氏の演奏曲は、『天元突破グレンラガン』『ヨルムンガンド』『文豪ストレイドッグス』『刀語』『ノラガミ』『魔法科高校の劣等生』『ジョジョの奇妙な冒険 戦闘潮流』から選ばれた。『文豪ストレイドッグス』以降はゲストパフォーマーとしてラッパーのLotus Juiceが参戦。さらに『刀語』からは福岡ユタカも加わる豪華メンバーで迫力の演奏が繰りひろげられた。ラップとフリー・ヴォーカリーゼーション（雄叫び）のコラボは迫力満点で唯一無二。『刀語』と『ノラガミ』の2作品は、日本的な和のイメージを持った作品でもあり、京都という舞台にはぴったりの選曲だった。40分程度の休憩をはさんで3番手に登場したのは、やはり今回初参戦の加藤達也。加藤は、代表作の『Dr.STONE』『TRIGUN STAMPEDE』『アイドリッシュセブン』そして『Free!』というチョイス。ゲストボーカルにZinee&amp;isseiを迎えて、壮大な世界観のステージを披露した。『Dr.STONE』のビッグなスケール観を生演奏で再現する演奏陣のハイレベルなパフォーマンスが素晴らしく、主人公・石神千空の父、百夜たちソユーズ号のクルーたちの旅路の映像とともに演奏される「Won&apos;t Give Up」は大変に感動的だった。『TRIGUN STAMPEDE』も壮大さでは引けを取らない。こちらはウエスタン調の音も取り入れられており、加藤の幅広い音楽センスを堪能させてくれる。『アイドリッシュセブン』からは『We the black hole!』と『UNTOUCHED PRiDE』を披露し、アイドルものも多く手がける加藤ならではの選曲だ。そして、今回京都が会場であることからどうしてもやりたかったと語るのは、京都アニメーションの『Free!』の楽曲。キャリアのターニングポイントになった作品という思い入れの深い曲を万感の想いで演奏してみせた。会場にも京アニファンも多く詰めかけていたようで、会場と一体になった合唱も起こり、大きな盛り上がりに包まれた。続いて、こちらも初参戦の桶狭間ありさが四番手で続く。和服に般若の面といういでたちで登場した彼女は、いきなりステージ下に下りて客席を盛り上げ、『呪術廻戦』から『虚式「茈」』を披露。五条悟と漏瑚の戦いをメインにフィーチャーした映像とともに迫力のステージパフォーマンスを見せてくれた。さらに、「桶狭間の乱、開戦」のかけ声とともに法螺貝を持ち出し、陣ぶれの合図をするユニークなサプライズつき。続いて、桶狭間が披露したのは、前述の『呪術廻戦』『7:3』に『THE GOD OF HIGH SCHOOL ゴッド・オブ・ハイスクール』の『SEOUL TEAM』、そして『劇場版 呪術廻戦 0』の『This is Pure Love』。『This is Pure Love』の時には日が落ち始めた時間帯となり、スローバラードの美しい音色と舞台の雰囲気が絶妙にマッチしていた。最後も法螺貝で締めて、これが日本での初ライブとは思えない堂々としたパフォーマンスだった。五番手に登場したのは高梨康治。メタルミュージシャンでありライブ経験が誰よりも豊富な高梨のパフォーマンスは圧巻の一言。初手から『FAIRY TAIL』で始めて、いきなりボルテージを最高潮まで引き揚げる。ケルト調のメタル音楽の美しい旋律と重低音の響きまくる迫力の楽曲が会場全体がこれまで以上に盛り上がった。続く『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の『BASTARD‼』も高梨らしい強烈なビートを刻む曲だ。続いて、今回ギタリストとして参加している藤澤健至が音楽を担当した『バキ』の曲も特別に披露された。藤澤氏と和太鼓の茂戸藤浩司もバキの大ファンだという。最後は代表作である『NARUTO -ナルト- 疾風伝』から4曲披露された。どの曲もアニメファンのみならず広く知られた楽曲ばかりで会場の盛り上がりぶりは最高レベル。海外のライブでは定番となっている会場みんなで「だってばよ！」と叫ぶパフォーマンスも行われ、圧倒的な盛り上がりを作り、トリの林ゆうきへとつなぐ最高のパフォーマンスとなった。会場が暗くなり始めたところで最後のパフォーマー、林ゆうきが登場。最初は『ポケットモンスター』から『みんなでいっしょに！』。林のこのイベントに対する姿勢がそのまま現れたようなタイトルだ。ここでたまたま会場を訪れていたコーラスの五阿弥ルナが飛び入り参加のサプライズ。続いて、あたりが暗くなってきた頃合いを見計らったかのように、『君は放課後インソムニア』の『無敵のふたり』を披露。続いて『バクテン!!』に『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の曲が続き、林の代表作『ハイキュー!!』へとつなげてゆく。『ハイキュー!!』では、ゲストとしてヴァイオリニストのAyasaを迎え、チェロの西方正輝とともに抜群のパフォーマンスを見せてくれた。最後は、もう一つの代表作『僕のヒーローアカデミア』で締めくくり。『You Say Run』『My Hero Academia』『「好敵手」たちと書いて「同級生」と読む』などの名曲の後、アンコールには本編の文化祭エピソードのために作られたオリジナル楽曲『Hero too』をボーカリスト、あやぺたを迎えて演奏。このサプライズに会場全体も合唱で応え、最高の盛り上がりのままエンディングを迎えた。このイベントを世界に広げたいアニメ劇伴での野外フェスは世界的にも例がない。初めての試みでどういうステージになるかと思っていたが、ふたを開けてみれば会場は大盛り上がりだった。炎天下での開催で熱中症も危惧されたが、幸い大きな体調不良に襲われる観客はおらず大きなトラブルもなく、無事に終了。会場は小さな子どもたちからお年寄りまで集まり、それぞれの楽しみ方を見出していた様子。約5時間の長丁場があっという間に感じられる充実した内容となった。参加者たちは、このイベントで世界をめぐりたいと夢を語ったそうだ。日本発の劇伴フェスを世界に、その第一歩は最高のスタートを切ったと言えるだろう。京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL- 2023 全セットリスト宮崎誠 / (K)NoW_NAME:Makoto Miyazaki『ワンパンマン』より・正義執行 第二撃・Genos fights・Metal Bat・Fubuki『Fairy gone フェアリーゴーン』より・EASTALD『ゾン100～ゾンビになるまでにしたい100のこと～』より・ゾン100～ゾンビになるまでにしたい100のこと～BGM・ゾン100～ゾンビになるまでにしたい100のこと～BGM『SPY×FAMILY』より・STRIX・Looks like a nice family・Bondman『サクラクエスト』より・Wisteria岩崎琢『天元突破グレンラガン』より・お前の×××で天を突け!!『ヨルムンガンド』より・The fist step to escape from complex『文豪ストレイドッグス』より・you are very good for nothing『刀語』より・Bahasa Palus『ノラガミ』より・野良譚『魔法科高校の劣等生』より・code break『ジョジョの奇妙な冒険 戦闘潮流』より・Overdrive加藤達也『Dr.STONE』より・STONE WORLD・Won&apos;t Give Up(For Live Size)『TRIGUN STAMPEDE』より・TRIGUN STAMPEDE・MILLIONS KNIVES『アイドリッシュセブン』より・We the black hole!・UNTOUCHED PRiDE『Free!』より・Into the new world・Rhythm of new sensation・We could be free・Never seen landscapes桶狭間ありさ『呪術廻戦』より・虚式「茈」・7:3『THE GOD OF HIGH SCHOOL ゴッド・オブ・ハイスクール』より・SEOUL TEAM『劇場版 呪術廻戦 0』より・This Is Pure Love高梨康治『FAIRY TAIL』より・ドラゴンフォース・エルザのテーマ・最後の魔法・FAIRY TAIL メインテーマ 2014『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』より・BASTARD!!『バキ』より・刃牙OAD M01『NARUTO -ナルト- 疾風伝』より・動天・臨界・NARUTO Main Theme &apos;16・形勢逆転林ゆうき『ポケットモンスター』より・みんなでいっしょに!『君は放課後インソムニア』より・無敵のふたり『バクテン!!』より・Blue Feather『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』より・竜の騎士『ハイキュー!!』より・&quot;上&quot;・カモメ・神業速攻『僕のヒーローアカデミア』より・You Say Run・My Hero Academia・「好敵手」たちと書いて「同級生」と読む・Hero too（アンコール曲）