本作は、2021年4月より中国の動画配信プラットフォーム「bilibili動画」で配信されたオリジナルアニメだ。
今回、トキ役の豊永利行とヒカル役の櫻井孝宏にインタビュー。第2期放送決定の喜びや、あらためて感じたお互いの芝居の印象を語ってもらった。
[文=米田果織 写真=Ayumi Fujita]
■2年越しのトキ&ヒカル役! 櫻井孝宏は豊永利行の声でチューニング?
――多くの謎を残したまま最終回を迎えた第1期。多くのファンが第2期を望んでいましたが、お2人にも第2期放送決定の喜びを聞かせてほしいです。
豊永:おっしゃる通り、第1期の最終話の内容がアレだったので「これは第2期やらなきゃダメでしょうよ!?」と(笑)。実際、第1期の最終話の収録の際に、スタッフさんがいる調整室に入って「本当にこれで終わりですか!?」と言っちゃいました(笑)。
そのときはすでに本国のほうで第2期制作が決定していたので、「じゃあ日本でもやってくれますよね!」と強く念押しした記憶があるので、その念願が叶ってホッとひと安心しました。
ただ、第2期1話の台本をいただいたところ、深まっていた謎がより深まる展開になっていて……。「まだ俺の苦しみは解放されないんだな……!」と思いました(笑)。
櫻井:第1期の最終話がショッキングすぎたので、豊永くんと同じく第2期のお話を受けたときはひと安心でした。しかも、ヒカルは生きているのか? 死んだのか?という分岐に立たされていたので……台本をいただいて生存確認ができてよかったです(笑)。
――お2人もやはり衝撃的だったんですね。そんな第1期から約2年が経過しての第2期放送となりますが、すぐに役の感覚は掴めましたか?
豊永:もちろん第1期は振り返りました。役の感覚を取り戻すのも必要なのですが、僕自身の年齢観にも関わってくるんですよね。今年で40歳になるのですが、「声優」というカテゴリーでの自分のポジション・立ち位置が少し変わってきたなと感じていて。自分の演じるタイプの種類の色が変化してきていると思い始めたタイミングでの第2期決定だったので、「2年前の演技が今の俺に出せるのか?」と不安はありました。
――実際、現場でディレクションは入ったのでしょうか?
豊永:いえ。映像に乗せてお芝居させてもらったところ、ダメ出しやリテイクはありませんでした。しかし、あらためて「芝居は自分だけが作るものではなく、映像や音楽、演出、セリフに支えられて作られているんだな」と実感しましたね。
――その年齢観の変化について、櫻井さんにもお聞きしたいです。
櫻井:僕にもありました。でもこれは演技だけではないと思うんですよね。例えば、今このお茶が緑に見えていても、数年後は深緑に見えていたり。
――なるほど。ではそれをどうコントロールしたのでしょうか。やはり第1期を見直したり?
櫻井:そうですね。また豊永くんの言うとおり、チームで作っている作品だからこそ、前作と同じスタッフさんがしっかりハンドリングしてくださいました。またスタッフさんだけでなく、キャストの皆さんも。豊永くんのトキ、古賀葵さんのリンの声を聞いてチューニングできた部分が一番大きいですね。
豊永:うれしい……! このあと、飲みに行きたくなっちゃう(笑)。
■心置きなくトキを演じられるのは、櫻井さんのおかげ
――あらためて、お互いのお芝居についてすごいと思った部分をお伺いできたら。
櫻井:豊永くんは、イメージを“はみ出す”のではなく“広げる”ような表現をするんですよ。それが僕にはない発想だったりするので、面白いと思います。
豊永:うれしくて泣いちゃいます(笑)。櫻井さんの演技は、もう安心感しかありません。今櫻井さんが言ってくれたように、トキの日本語吹き替えを担当するにあたり、トキの最大値をちょっとでも上げることが僕の役割のひとつだと思っています。櫻井さんはそれを理解した上で、僕がどんな演技をしても受け止めようと間口を広げて構えている。心置きなくトキを演じられるのは、櫻井さんがそうやってくださっているおかげです。
古賀さんも高いポテンシャルを持っていて、毎回チャレンジングなお芝居をされるんですよね。おそらく、櫻井さんが見届けて・受け止めてくれているからこそできていると感じます。
櫻井:人に言うのはいいですけど、言われるのは恥ずかしい(笑)。でも、ありがとうございます。
――“タイムサスペンス”という軸がありながら、その中にヒューマンドラマやコメディ、アクションなどの要素が詰まった本作。
豊永:すべてに魅力があると思ってはいますが、やはり中国のアニメということで、日本のアニメとは違う部分に惹かれます。僕がとくに新鮮に思ったのは、アクションシーン。アニメであるにも関わらず、実写ドラマのような“リアルさ”があるものになっていて。それくらい細かい描写になっているんですけど、アニメならではのダイナミックさもあるので、見ている皆さんにも新鮮に映っているのではないでしょうか。
――寄ったり引いたりするカメラワークもドラマっぽいですよね。
豊永:そうなんです。アオリだったり、実際に手で持って撮影しているようなシーンもあって、とても臨場感を感じます。
櫻井:僕としては、サスペンスというジャンルに振り切っている部分が魅力だと思っています。人を怖がらせるのが本当に上手い(笑)。コメディ性もあるのですが、それを覆い隠すくらいの、心をえぐる描写。その表現の強さが、この作品の大きな特徴だと思っています。
――第2期では、トキとヒカルの関係性に変化が。
櫻井: 第2期ではリンやシャオ・リー刑事との組み合わせで動くシーンがありますが、それはトキとヒカルがバディという前提があるからこそ。例えば、トキと行動していないときでも「あいつならこう行動するよな」と考え感じたり。物語が複雑になる中でバディ関係が1歩発展していくので、そこが新しい魅力になると思います。
豊永:これまでは、感情で突っ走っちゃうトキと、それを上手く静止しながらコントロールするヒカルという関係性でした。それが第2期になり、2人は別々に行動することになります。その中での信頼関係というのは、作品内では描かれていないんですよね。「第1期でしっかり関係性を見せたから、あとは描写しなくてもわかるよね」と視聴者さんに委ねているとこがある気がしていて。その余白を皆さんに感じていただくことができるよう、演技でも表さなければと思いました。そこにぜひ注目してください。
【時光代理人 -LINK CLICK- II】
■放送情報
フジテレビ「B8station(ビーハチステーション)」にて4月10日(水)25時25分より放送
BSフジにて4月11日(木)24:30より放送
■スタッフ
監督・脚本:Haolin(リ・ハオリン)
キャラクターデザイン原案:INPLICK
総演出・総作画監督:LAN
美術監督:朝見知弥、朱立朴/ジュー・リープー
エグゼクティブ・ディレクター:張予夏/チャン・ユーシア 、陸婉玉/ルー・ワンユー
色彩設計:のぼりはるこ
音楽:天門、yuma yamaguchi、Kent watari、犬養奏
アニメーション制作:瀾映画
日本版製作:株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ/株式会社アニプレックス
■日本語吹替版キャスト
トキ/程小時(チョン・シャオシー):豊永利行
ヒカル/陸光(ルー・グアン):櫻井孝宏
リン/喬苓(チャオ・リン):古賀 葵
銭進(チエン・ジン):中村悠一
(C)bilibili/BeDream