読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年9月号では、TVアニメ『ネクロノミ子のコズミックホラーショウ』より、神楽坂カンナ役・羽澄ななのインタビューをお届け。
本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューとなっている。

つねに「私、最高!」という思いを込めて
――羽澄さんは、公式サイトやエンドロールの名前のあとに(新人)とついているのが印象的ですね。

オーディションに受かった当時、まだ養成所に通っていたんです。せっかく新人での抜擢ということで、シリーズ構成の上江洲誠さんが「昔の邦画のように付けてみたらどうか」と提案してくださり、付けることになりました。思った以上にいろいろな場所で披露することになり、いまは「(新人)の人」と認識されています(笑)。

――あらためて『ネクロノミ子のコズミックホラーショウ』という作品の最初の印象を教えてください。

オーディションの資料に「配信者とオカルトとバラエティ番組がテーマ」と書かれていて、とても現代的な作品だなと感じました。メインキャラクターがほぼ配信者ということにも新しさを感じましたし、みんな個性豊かで。どんな作品になるか想像がつかないところもおもしろいなと思いました。

――声を担当しているカンナは、喜怒哀楽のハッキリした女の子ですね。

オーディションの資料からは、ミコに対してガミガミと叱るような、気の強さが読み取れました。また「視聴者の前ではアイドル然として振る舞っているけれど、じつは腹黒です」とも書いてあって。
最初はどんな子かと思っていたのですが、実際にアフレコをしてみると、冷静に物事を考えられる頭脳派な側面もあるなと感じました。

――オーディションでは、カンナだけを受けたのですか?

「ミコかカンナのどちらかで」と事務所の方からお話があり、カンナを選ばせていただきました。カンナのほうが声質には合うかもと思ったのですが、ミコにしてもカンナにしても、自分のこれまで担当させていただいた、控えめだだったり明るく元気なキャラクターとはだいぶ違っていたので、正直なところカンナ役に決まったときは、意外さもありました。

――役が決まったとき、驚きはありましたか?

それが、実感が湧かなかったんです。電話で連絡をいただいたのですが、「本当ですか、がんばります」くらいのテンション感で、他人事のような感じでもありました。『ネクロノミ子』関連の番組やイベントに出演させていただき、だんだんと実感が湧いてきています。

――そんなカンナを演じる際に、どんなことを大切にしていますか?

カンナは、真っ直ぐな気持ちを持っているけれど、それを素直に出せない女の子なので、その点はつねに忘れないようにしています。また、ツッコミやギャグシーンを担当することも多いことから、ほかのキャラクターに負けない熱量で演じようと思っていました。

――配信の視聴者に向けて、かわいさを全開にする部分もありますよね。

そうなんです。演じる際も、かわいい部分と気の強い部分の差を出せるように気をつけました。ただ、カンナはあえて狙ってかわいくしようと思わなくても切り替えられる子だと思うんです。
ですから私も、かわいさをマシマシにしようという思いで演じました。

――演じていて難しかったところは?

ギャグシーンやツッコミのシーンで、「汚い声を使ってください」というディレクションがあったんです。かわいい女の子を演じるときに汚い声を使うという意識がなくて、そこは苦戦しました。また、オーディションではガミガミ言うセリフが多かったので、冷静沈着な部分を演じる際は難しさもありました。冷静になったときは、どんな話し方をするのかが最初はイメージしづらかったです。

――汚い声を出すときには、どんな工夫をしましたか?

「聞き取りにくくなってもいいや!」くらいの振り切った気持ちでした。それまではキャラクターの声を保つことを重視していたのですが、もはやカンナであることは忘れてもいいのではないかと思いながら演じました。

――ほかに、スタッフのディレクションで印象的だったことは?

スタジオオーディションのとき、ミコに突っかかっていくセリフがあったのですが、そこは「自分を世界一かわいいと思って演じてください」とお話がありました。そういうマインドの子なんだなということは、本編のアフレコになってからも忘れず、「私、最高!」という気持ちで演じています。

――物語は、ゲームに敗北すると「発狂」することになるなど、かなりシリアスな展開になっていますね。

そうなんです。ですが、私はメインキャラクターとしてアフレコをするのがほぼ初めてだったので、展開に合わせてお芝居を変えていこうと考えている余裕がなくて。
毎週必死で、そのとき出せるすべてを注ぎ込んでお芝居をしようと思っていました。あらためて第1話を見ると、すごく素朴なお芝居に感じられますね。でも、このときにしか出せない味のようなものもあって、アフレコやカンナを演じることが馴染んできたいまは、このときのお芝居はもうできないなとも思います。

――カンナに共感できるところはありますか?

じつは、カンナは部屋にいるときはすっぴんにメガネでジャージを着ているという裏設定があるんです。本編には登場しないのですが、家ではズボラなところは共感できます(笑)。

――カンナにあこがれるところは?

美容系の配信ができるところです。配信中にさっとメイクができるところにあこがれます。私はトレンドに疎いので、かわいく着飾り、自分の気持ちをストレートに表現できるところも素敵だなと感じています。

――カンナがライバル視している、ミコへの印象を教えてください。

どんな状況でも、自分の意思を持っていられるところがすごいと思います。ミコがいるからこそ、邪神たちとのゲームを続けていけていると思えるくらい、みんなを引っ張る強さがあるんですね。生い立ちはヘビーですが、自分の足で強く生きようとしている姿に勇気をもらえます。


――ミコとカンナ以外で、いま気になっているキャラクターはいますか?

カンナ目線で言うと、女優のつかさつぐみさんです。カンナとしては第4話で裏切られましたが、もう少し一緒に過ごすシーンも見てみたかったです。邪神サイドであれば、ツァール&ロイガーです。まだ、本質的なことがわからない子たちなので、この先どうなっていくのかにも注目したいです。

――ここまでの放送で、印象に残っているエピソードを教えてください。

第3話で、「かわいいから追ってくる。そうでしょ!?」というセリフがあって、そこからカンナのおもしろいシーンが増えていくので、印象に残っています。また、「発狂」のシーンはインパクトがありました。とくに第3話のNAO-KICHIの「発狂」シーンは、真っ赤な演出がされていたので、かなりショッキングに感じました。アフレコ当時はカンナもいつこうなるかわからないので、ドキドキしていました。

――メインキャラクターを演じるのは初めてということで、アフレコは緊張しましたか?

しました。それこそ第1話は緊張で台本を見ることしかできないと思っていたくらいです。
ですが、(杉山)里穂さんをはじめ、先輩方が声をかけてくださって。マイクワークの経験もほぼなかったのですが、クトゥルフ役の石見舞菜香さんがテストを見ていてくださり、本番ではどのマイクが入りやすいかを教えてくださったんです。また、居残りがあったときは、NAO-KICHI役の市川太一さんが、「僕も経験があるから、気にしなくていいよ」と声をかけてくださり、本当に気持ちが楽になりました。

――アフレコ中の思い出深かったエピソードは?

第4話の収録後に、誕生日をお祝いしていただきました。じつは第4話のアフレコは、自分のつたなさに落ち込んでいたのですが、里穂さんがケーキを運んでくださり、まさかの出来事過ぎて泣いてしまって。いまでも思い出深いです。第1話の収録時は、自分のお芝居に自信が持てなかったのですが、里穂さんから「いまのななち(羽澄さんのニックネーム)にしか出せないカンナができているから、大切にしてね」と声をかけていただいたんです。放送されたいまは、おっしゃっていたことがすごくわかります。

――まだまだ先の展開が予想できませんが、この先の見どころは?

ここまでは、誰が脱落するかや、ポイントを貯められることがわかるなど、ゲーム要素が強かったのですが、これからはそれぞれのキャラクターの人間性も強く出るエピソードがあります。カンナも激しいシーンがあり、私自身、魂を削って演じました。楽しいだけでなく心をえぐられるシーンも多いですが、心の準備をして、しっかりと見ていただけたらと思います

MegamiにQuestion
Q.自分のチャームポイント
A.笑ったときに見える八重歯
笑ったときに見えるのですが、ほかの方からも「すごいね」と言っていただけることが多く、自分にとってのチャームポイントになりました。

Q.自分のニックネーム
A.ななち
『ネクロノミ子』のアフレコ中に、里穂さんが付けてくださいました。
これまで、ニックネームがなかったのでとてもうれしかったですし、皆さんが「ななち」と呼んでくださって、とても大切なニックネームになりました。ぜひ、応援してくださる皆さんにも、そう呼んでいただきたいです。

Q.自分の声の特徴
A.色で表すなら「黄色」。あと、うるさい(笑)
自分としては大きな声を出しているつもりはないのですが、周りの方から「声が大きい」とよく言われますし、マネージャーさんからも「もう少しボリュームを下げて」と注意されることもあります。でも、にぎやかなお店で声が通るといういい面もあるので、TPOにあった音量にしていこうと思っています。

Q.自分の性格
A.心配性だけどポジティブ
イベントなどの前日に、どうしようと心配になることが多いのですが、最終的には「まあいっか」となります。最近、「まあいっか」が口グセだと気づいたので、心配性なわりにポジティブなんだなと気づきました。

Q.いま、ハマっているものは?
A.女性アイドル
小学生時代にAKB48の板野友美さんにハマって以来、ずっと女性アイドルを追いかけています。乃木坂46も櫻坂46もハロー!プロジェクトも好きです。いま旬なのは、=LOVEとBEYOOOOONDSです。BEYOOOOONDSの平井美葉さんと岡村美波さんをとくに推しています。

Q.配信番組を持つとしたら、どのジャンル?
A.女性アイドルか料理
女性アイドルであれば、語れる自信があります。また、料理は苦手なのですが、あえてできないところを指摘されながら、料理上手になっていくという配信だったらできるかなと思います。

Q.ホラーは好き?
A.苦手ですが、お化け屋敷は好きです
お化け屋敷は作り物だと理解できますし、アトラクションを出たら完結するので好きなんです。でも、ホラー作品は、いつか自分の身にも起こりそうなリアルさがあるので、ハラハラしてしまって苦手です。

Q.本作のキャッチフレーズ
A.ビックリ仰天、ドキドキホラーショウ
ビックリするし仰天するし、ドキドキするエピソードが詰まっています。いろいろな感情がわき上がる作品なので、そこをプッシュしたいです。

Profile
はすみ・なな/6月18日生まれ。神奈川県出身。賢プロダクション所属。
主な出演作は、『先輩はおとこのこ』『甘神さんちの縁結び』など。

作品Information
毎週火曜日夜11時30分よりTOKYO MXほかにて放送中
https://anime-necronomico.help/
中学卒業後、配信者として活動をしている黒廼【くろの】ミコは、VR世界に現れた邪神から幼なじみの舞由を取り戻すため、ゲームへ参加していく。負けたら発狂するという状況で、ミコやカンナたち配信者はゲームに挑むが……。
(C)2025 メガロックス社広報宣伝部

●取材・文/野下奈生(アイプランニング)
編集部おすすめ