2025年9月12日より公開中の『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』(以下、映画キミプリ)が、大ヒット上映中です。
アイドルプリキュアの活躍やライブはもちろん、心に響くストーリーや、歴代プリキュアとの共演など見どころが盛りだくさん!「またあのシーンが見たい!」「大画面でファンサをもらいたい!」と映画館に通っている人もいるでしょう。
多くのファンを喜ばせた本作は、どのように誕生したのでしょうか。プロデューサーの皆川英未來(みながわ ひびき)さんに本作に込めた想いや、こだわりのポイントなどをたっぷり語っていただきました!
※本インタビューには『映画キミプリ』のストーリーや演出などに関するネタバレが含まれますので、ご注意ください。
[取材・文=ハシビロコ]
■アイドルプリキュアたちをスクリーンで輝かせたい
――TVシリーズ『キミとアイドルプリキュア♪』(以下、キミプリ)ではアシスタントプロデューサーも担当していた皆川さん。『映画キミプリ』でプロデューサーに抜擢されたときの心境を教えてください。
とてもうれしかったですし、アイドルプリキュアの5人が輝く映画にしたいと強く思っていました。僕はTVシリーズの立ち上げ時から携わらせていただき、『キミプリ』の5人を見てきたので、キャラクターが生み出されていった経緯を知っていました。そのため、誰よりも気持ちを強く持ってこの映画を作れるとは思っていました。
――『映画キミプリ』の方向性はどう決めていきましたか?
企画書の段階で入れ込みたい要素は提案しましたが、作品のメッセージ性などは監督の小川(孝治)さんと話し合って決めていきました。「プリキュア」シリーズの映画には、どうしても敵対してしまうキャラクターが登場します。そこに向き合っていくことで物語が収束に向かっていく。だからこそ、敵の気持ちに作品のメッセージ性が含まることが多いです。本作でもアマスが抱いている想いや、アイドルという要素をどう絡めていくかを監督と話し合いました。
――『映画キミプリ』のオリジナルキャラクターはどのように誕生したのでしょうか?
キャラクターの立ち位置や性格のほとんどは、脚本の吉野(弘幸)さんが作ってくださいました。吉野さんからいただいたアイデアがとてもよかったですし、キャラクター全員が生き生きしていてシナリオの筋も通っている。とくにテラの視点を通して、キュアアイドル/咲良うたの魅力も伝わってきました。
――アマスと伝説のアイドルとの関係性、タイムスリップなどの要素は、制作の初期段階から決まっていたのでしょうか。
シナリオが出来上がっていくなかで、だんだんと形作られていきました。僕から吉野さんにお願いしたのは、フェスがあって、アイドルプリキュアたちが輝く姿があって、そこを中心に物語が進んでいく、といった点です。後日吉野さんから、珊瑚の妖精と人間の寿命の違いをフックにした、タイムスリップものの物語をいただきました。
――珊瑚をモチーフにしたのも、吉野さんのアイデアだったのですね。
はい。ただ、ヤミクラゲは当初、別の生物でした。「珊瑚に対する敵ってなんだろう」と考え、最初に候補に挙がったのがオニヒトデ。しかし見た目が少し怖くなりすぎてしまうので、クラゲに変更されたんです。
――ストーリーを作り込んでいく際、心がけたことはありますか?
「タイムスリップもの」の物語がお子さまに伝わるのだろうか、という点はかなり話し合いました。時間に関するお話には難しい部分があるので、お子さまが理解しにくいかもしれません。そのためもし「タイムスリップ」という概念自体がわからなくても、ストーリーの流れがお子さまに伝わるようにしよう、と心がけて制作を進めていきました。
ほかにはテラが眠りにつくシーンがかわいそうにならないように気を配って。アマスも含めて、キャラクター全員が救われるような作品になったので私自身もうれしいです。
――作中ではうた&メロロン、なな&こころ&プリルンという意外性のあるチーム分けがされていました。なぜこうしたチーム分けになったのでしょうか?
企画の初期段階から「作中で5人一緒にずっと行動させるのは難しい」とは予想していて。2チームに分けるのであれば、ななとこころは、うたと別行動をさせようと考えました。うたと一緒にいないときの2人が何を考え、どう行動するのかといった、映画だから描ける部分を出したかったんです。それにより、「うただったらこう考える」「ななとこころならこうする」といった3人の信頼関係も表現できてよかったです。
また、映画が上映される頃にはTVシリーズでも5人で「アイドルプリキュア」を名乗っているので、メロロンはうたと一緒にいても違和感がないだろう、と。プリルンは『キミプリ』冒頭からうたと一緒だったからこそ、別行動にすることで新鮮さも生まれると考えました。
■バトルあり! ライブあり! 見ごたえ抜群の70分
――本作のライブシーンに対するこだわりも教えてください。
映画ならではのライブシーンになるよう、こだわりました。映画は尺が70分あるので、曲の長さも数もTVシリーズ以上に入れ込みたくて。後期ED曲以外、TVシリーズで披露した歌を散りばめています。あとはアイドルのライブらしく、ライブ中にカメラで抜かれたときの表情もしっかり見せたい、と監督にお伝えしました。
――曲順や披露するタイミングはどう決めましたか?
「なぜこの曲をこのタイミングで流すのか」を重視しました。もともと吉野さんがシナリオの時点で、各シーンに楽曲を披露する意味合いを持たせてくださって。たとえば最初のライブはリハーサルのシーンですし、中盤では「Trio Dreams」と「Awakening Harmony」を歌うことで、アイドルプリキュアが「アイドル」という存在であると村人たちに知ってもらえます。歌と物語がきちんとリンクしているんです。
――終盤の楽曲メドレーも、バトルシーンにぴったりでしたね。
「キャラクターのセリフやメッセージ性に、さらに説得力を持たせられる楽曲はなんだろう」と、監督の小川さんが緻密に計算して組み立ててくださいました。
最初は僕も「なんでこの楽曲がこのタイミングで流れるのだろう」と質問したんですよ。たとえばキュアアイドルが「笑顔のユニゾン♪」を歌ったあと、いつも通りであればキュアウインクが「まばたきの五線譜」を披露していました。でも今回の映画では、先にキュアキュンキュンが「ココロレボリューション」を歌います。これは「まばたきの五線譜」の歌詞があのタイミングで重なることで、シーンの説得力が増すからです。
――キュアウインクとキュアキュンキュンが『ひろがるスカイ!プリキュア』(以下、ひろプリ)の主題歌を、ズキューンとキッスが『わんだふるぷりきゅあ!』(以下、わんぷり)の主題歌を披露したのも、ファンにはたまらないポイントです。歌い分けはどう決まったのでしょうか?
実は歌い分けを逆にする案もあったのですが、制作スタッフたちの意見もあって担当する曲が決まりました。僕としても、『わんぷり』の曲には飼い主とペットの「2人のキズナ」が描かれているので、「キズナ」という共通点のあるズキューンとキッスが適しているだろうと思って。また、『ひろプリ』の主題歌が持つ「天高く羽ばたいていくイメージ」も、キュアアイドルをきっかけにプリキュアに変身したキュアウインクとキュアキュンキュンに合っていると思っています。
■個性の違う3チームだからこその“説得力”
――プリキュアシリーズの映画では、歴代プリキュアの登場も見どころです。本作にはなぜ『わんぷり』と『ひろプリ』が抜擢されたのでしょうか。
『わんぷり』は去年放送されたシリーズでとても人気が高いので、今回も出演させたいと思いました。『ひろプリ』はプリキュアシリーズ20周年というお祭りの年に放送され、多くの方々に見ていただけた作品です。
――『わんぷり』と『ひろプリ』のキャラクターをどう活躍させようと思いましたか?
『キミプリ』も含めた3チームそれぞれの個性を活かそうと決めました。『キミプリ』はアイドルらしいキラキラ、『わんぷり』は優しい世界、『ひろプリ』はヒーローのカッコよさ。『わんぷり』のキャラクターが言うからこそ説得力を増すセリフなども、吉野さんが考えてくださいました。
――単に「直近の過去作だから登場させた」というわけではなく、ストーリーとのつながりも意識されたのですね。
小川さんに監督をお願いしたとき最初に伝えたのが、「過去作のプリキュア登場にも意味合いをきちんと持たせたい」という点でした。小川さんは『映画 プリキュアオールスターズ NewStage2 こころのともだち』と『映画 プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち』でも監督をされており、過去作のプリキュアのセリフにかなり説得力があるシーンがあって。そういう描き方を本作でもしてほしかったので、小川さんにオファーをしました。その意図を小川さんが吉野さんにも伝えてくださったおかげで、素敵な作品になったと思います。
■もっとパワーアップ!「赤いキュアアイドル」
――「キュアアイドル-ゴッドアイドルスタイル-」も話題になっています。なぜ普段のイメージカラーとは異なる「赤」をモチーフにしたのでしょうか。
TVシリーズのキャラクターデザインを練っていく際、キュアアイドルの衣装を赤にする、という案があったんです。
――「キュアアイドル-ゴッドアイドルスタイル-」のデザインに対するこだわりを教えてください。
パワーアップをデザインで伝えつつ、「歌って踊ってファンサして」というアイドルらしさは大切にしたくて。そのため「この衣装で本当に踊れるのか」という点にこだわりました。たとえば最初の案ではスカートの丈が長めだったのですが、動きやすいように丈を短くしてもらったんです。やっぱりアイドルなので、歌って踊れない衣装を着させてはいけないだろう、と。
TVシリーズのアイドルプリキュアたちもスカート丈が短めで、アイドルらしい衣装を意識して作られています。その過程を私はずっと見ていたので、映画でもTVシリーズのこだわりを大切にしたいと思っていました。
――TVシリーズスタッフのデザインへの熱意が、『映画キミプリ』にも受け継がれているのですね。
TVシリーズのシリーズディレクターやプロデューサーも、かなりこだわって作り込んでいたと思います。だからこそ、出来上がったときには自分たちでも「かわいいね」と言っていました(笑)。
また、『キミプリ』では、衣装にチェック柄を入れる、という挑戦もしています。張り込みの大変さは増えてしまいますが、アイドルらしさを意識して採用していました。
――たしかにチェック柄にはアイドルらしいイメージがありますね。
歴代プリキュアと並んだとき、ひと目で見てアイドルプリキュアだとわかるデザインにもしたかったとTVシリーズのプロデューサーはおっしゃってました。子どもたちにとって、プリキュアはこれまでもアイドル的な存在や、憧れの対象だったと思います。『キミプリ』ではアイドルをモチーフにしているからこそ、さらにアイドルらしさを際立たせるために、衣装やロゴにもチェック柄を入れてました。とても大切にしている柄ですね。
――最後に、『映画キミプリ』を映画館でどのように楽しんでほしいですか?
お子さまにとって、実際のライブはまだ行きにくいものかもしれません。しかし本作は映画館で体験できますし、しかもプリキュアがアイドルとしてライブをしています。いちばん身近で、擬似的なライブ体験として、劇場に足を運んでいただけたら。入場者プレゼントの「ミラクルアイアイブレス」も振って、ぜひ一緒に楽しんでください!
また、推しを応援している大人の方や、親御さんたちも共感できる話になっていると思いますので、一緒に楽しんでいただけるとうれしいです。
【作品情報】
『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』
■声の出演:
松岡美里 高橋ミナミ(高は「はしごだか」) 高森奈津美 南條愛乃 花井美春
長縄まりあ 種崎敦美(崎は「たつさき」) 松田颯水 上田麗奈
関根明良 加隈亜衣 村瀬歩 七瀬彩夏 古賀葵
諏訪部順一 佐久間大介
内田真礼 佐倉綾音
津田篤宏(ダイアン)
■映画主題歌:「♪HiBiKi Au Uta♪」作詞:青木久美子 作曲・編曲:馬瀬みさき
■原作:東堂いづみ ■監督:小川孝治 ■脚本:吉野弘幸 ■音楽:深澤恵梨香/馬瀬みさき
■キャラクターデザイン・総作画監督:板岡錦 ■美術監督:谷岡善王 ■色彩設計:竹澤聡
■撮影監督:大島由貴 ■CGディレクター:近藤まり ■製作担当:直田宏隆
■公開日:9月12日(金)公開
(C)2025 映画キミとアイドルプリキュア♪製作委員会(C)ABC-A・東映アニメーション
アイドルプリキュアの活躍やライブはもちろん、心に響くストーリーや、歴代プリキュアとの共演など見どころが盛りだくさん!「またあのシーンが見たい!」「大画面でファンサをもらいたい!」と映画館に通っている人もいるでしょう。
多くのファンを喜ばせた本作は、どのように誕生したのでしょうか。プロデューサーの皆川英未來(みながわ ひびき)さんに本作に込めた想いや、こだわりのポイントなどをたっぷり語っていただきました!
※本インタビューには『映画キミプリ』のストーリーや演出などに関するネタバレが含まれますので、ご注意ください。
[取材・文=ハシビロコ]
■アイドルプリキュアたちをスクリーンで輝かせたい
――TVシリーズ『キミとアイドルプリキュア♪』(以下、キミプリ)ではアシスタントプロデューサーも担当していた皆川さん。『映画キミプリ』でプロデューサーに抜擢されたときの心境を教えてください。
とてもうれしかったですし、アイドルプリキュアの5人が輝く映画にしたいと強く思っていました。僕はTVシリーズの立ち上げ時から携わらせていただき、『キミプリ』の5人を見てきたので、キャラクターが生み出されていった経緯を知っていました。そのため、誰よりも気持ちを強く持ってこの映画を作れるとは思っていました。
――『映画キミプリ』の方向性はどう決めていきましたか?
企画書の段階で入れ込みたい要素は提案しましたが、作品のメッセージ性などは監督の小川(孝治)さんと話し合って決めていきました。「プリキュア」シリーズの映画には、どうしても敵対してしまうキャラクターが登場します。そこに向き合っていくことで物語が収束に向かっていく。だからこそ、敵の気持ちに作品のメッセージ性が含まることが多いです。本作でもアマスが抱いている想いや、アイドルという要素をどう絡めていくかを監督と話し合いました。
――『映画キミプリ』のオリジナルキャラクターはどのように誕生したのでしょうか?
キャラクターの立ち位置や性格のほとんどは、脚本の吉野(弘幸)さんが作ってくださいました。吉野さんからいただいたアイデアがとてもよかったですし、キャラクター全員が生き生きしていてシナリオの筋も通っている。とくにテラの視点を通して、キュアアイドル/咲良うたの魅力も伝わってきました。
――アマスと伝説のアイドルとの関係性、タイムスリップなどの要素は、制作の初期段階から決まっていたのでしょうか。
シナリオが出来上がっていくなかで、だんだんと形作られていきました。僕から吉野さんにお願いしたのは、フェスがあって、アイドルプリキュアたちが輝く姿があって、そこを中心に物語が進んでいく、といった点です。後日吉野さんから、珊瑚の妖精と人間の寿命の違いをフックにした、タイムスリップものの物語をいただきました。
――珊瑚をモチーフにしたのも、吉野さんのアイデアだったのですね。
はい。ただ、ヤミクラゲは当初、別の生物でした。「珊瑚に対する敵ってなんだろう」と考え、最初に候補に挙がったのがオニヒトデ。しかし見た目が少し怖くなりすぎてしまうので、クラゲに変更されたんです。
――ストーリーを作り込んでいく際、心がけたことはありますか?
「タイムスリップもの」の物語がお子さまに伝わるのだろうか、という点はかなり話し合いました。時間に関するお話には難しい部分があるので、お子さまが理解しにくいかもしれません。そのためもし「タイムスリップ」という概念自体がわからなくても、ストーリーの流れがお子さまに伝わるようにしよう、と心がけて制作を進めていきました。
ほかにはテラが眠りにつくシーンがかわいそうにならないように気を配って。アマスも含めて、キャラクター全員が救われるような作品になったので私自身もうれしいです。
――作中ではうた&メロロン、なな&こころ&プリルンという意外性のあるチーム分けがされていました。なぜこうしたチーム分けになったのでしょうか?
企画の初期段階から「作中で5人一緒にずっと行動させるのは難しい」とは予想していて。2チームに分けるのであれば、ななとこころは、うたと別行動をさせようと考えました。うたと一緒にいないときの2人が何を考え、どう行動するのかといった、映画だから描ける部分を出したかったんです。それにより、「うただったらこう考える」「ななとこころならこうする」といった3人の信頼関係も表現できてよかったです。
また、映画が上映される頃にはTVシリーズでも5人で「アイドルプリキュア」を名乗っているので、メロロンはうたと一緒にいても違和感がないだろう、と。プリルンは『キミプリ』冒頭からうたと一緒だったからこそ、別行動にすることで新鮮さも生まれると考えました。
映画だからこその特別感を可能な限り入れ込めるよう、企画段階から意識していました。
■バトルあり! ライブあり! 見ごたえ抜群の70分
――本作のライブシーンに対するこだわりも教えてください。
映画ならではのライブシーンになるよう、こだわりました。映画は尺が70分あるので、曲の長さも数もTVシリーズ以上に入れ込みたくて。後期ED曲以外、TVシリーズで披露した歌を散りばめています。あとはアイドルのライブらしく、ライブ中にカメラで抜かれたときの表情もしっかり見せたい、と監督にお伝えしました。
――曲順や披露するタイミングはどう決めましたか?
「なぜこの曲をこのタイミングで流すのか」を重視しました。もともと吉野さんがシナリオの時点で、各シーンに楽曲を披露する意味合いを持たせてくださって。たとえば最初のライブはリハーサルのシーンですし、中盤では「Trio Dreams」と「Awakening Harmony」を歌うことで、アイドルプリキュアが「アイドル」という存在であると村人たちに知ってもらえます。歌と物語がきちんとリンクしているんです。
――終盤の楽曲メドレーも、バトルシーンにぴったりでしたね。
「キャラクターのセリフやメッセージ性に、さらに説得力を持たせられる楽曲はなんだろう」と、監督の小川さんが緻密に計算して組み立ててくださいました。
最初は僕も「なんでこの楽曲がこのタイミングで流れるのだろう」と質問したんですよ。たとえばキュアアイドルが「笑顔のユニゾン♪」を歌ったあと、いつも通りであればキュアウインクが「まばたきの五線譜」を披露していました。でも今回の映画では、先にキュアキュンキュンが「ココロレボリューション」を歌います。これは「まばたきの五線譜」の歌詞があのタイミングで重なることで、シーンの説得力が増すからです。
――キュアウインクとキュアキュンキュンが『ひろがるスカイ!プリキュア』(以下、ひろプリ)の主題歌を、ズキューンとキッスが『わんだふるぷりきゅあ!』(以下、わんぷり)の主題歌を披露したのも、ファンにはたまらないポイントです。歌い分けはどう決まったのでしょうか?
実は歌い分けを逆にする案もあったのですが、制作スタッフたちの意見もあって担当する曲が決まりました。僕としても、『わんぷり』の曲には飼い主とペットの「2人のキズナ」が描かれているので、「キズナ」という共通点のあるズキューンとキッスが適しているだろうと思って。また、『ひろプリ』の主題歌が持つ「天高く羽ばたいていくイメージ」も、キュアアイドルをきっかけにプリキュアに変身したキュアウインクとキュアキュンキュンに合っていると思っています。
■個性の違う3チームだからこその“説得力”
――プリキュアシリーズの映画では、歴代プリキュアの登場も見どころです。本作にはなぜ『わんぷり』と『ひろプリ』が抜擢されたのでしょうか。
『わんぷり』は去年放送されたシリーズでとても人気が高いので、今回も出演させたいと思いました。『ひろプリ』はプリキュアシリーズ20周年というお祭りの年に放送され、多くの方々に見ていただけた作品です。
お子さまだけでなく、かつてプリキュアを見ていて『ひろプリ』で戻ってきてくれた大人の方にも届けられると考え、出演させました。
――『わんぷり』と『ひろプリ』のキャラクターをどう活躍させようと思いましたか?
『キミプリ』も含めた3チームそれぞれの個性を活かそうと決めました。『キミプリ』はアイドルらしいキラキラ、『わんぷり』は優しい世界、『ひろプリ』はヒーローのカッコよさ。『わんぷり』のキャラクターが言うからこそ説得力を増すセリフなども、吉野さんが考えてくださいました。
――単に「直近の過去作だから登場させた」というわけではなく、ストーリーとのつながりも意識されたのですね。
小川さんに監督をお願いしたとき最初に伝えたのが、「過去作のプリキュア登場にも意味合いをきちんと持たせたい」という点でした。小川さんは『映画 プリキュアオールスターズ NewStage2 こころのともだち』と『映画 プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち』でも監督をされており、過去作のプリキュアのセリフにかなり説得力があるシーンがあって。そういう描き方を本作でもしてほしかったので、小川さんにオファーをしました。その意図を小川さんが吉野さんにも伝えてくださったおかげで、素敵な作品になったと思います。
■もっとパワーアップ!「赤いキュアアイドル」
――「キュアアイドル-ゴッドアイドルスタイル-」も話題になっています。なぜ普段のイメージカラーとは異なる「赤」をモチーフにしたのでしょうか。
TVシリーズのキャラクターデザインを練っていく際、キュアアイドルの衣装を赤にする、という案があったんです。
最終的にピンクが採用されたのですが、どちらもとてもかわいかったので「もったいないな」と思って。映画ではぜひ赤い衣装を出したいと要望を出しました。
――「キュアアイドル-ゴッドアイドルスタイル-」のデザインに対するこだわりを教えてください。
パワーアップをデザインで伝えつつ、「歌って踊ってファンサして」というアイドルらしさは大切にしたくて。そのため「この衣装で本当に踊れるのか」という点にこだわりました。たとえば最初の案ではスカートの丈が長めだったのですが、動きやすいように丈を短くしてもらったんです。やっぱりアイドルなので、歌って踊れない衣装を着させてはいけないだろう、と。
TVシリーズのアイドルプリキュアたちもスカート丈が短めで、アイドルらしい衣装を意識して作られています。その過程を私はずっと見ていたので、映画でもTVシリーズのこだわりを大切にしたいと思っていました。
――TVシリーズスタッフのデザインへの熱意が、『映画キミプリ』にも受け継がれているのですね。
TVシリーズのシリーズディレクターやプロデューサーも、かなりこだわって作り込んでいたと思います。だからこそ、出来上がったときには自分たちでも「かわいいね」と言っていました(笑)。
また、『キミプリ』では、衣装にチェック柄を入れる、という挑戦もしています。張り込みの大変さは増えてしまいますが、アイドルらしさを意識して採用していました。
――たしかにチェック柄にはアイドルらしいイメージがありますね。
歴代プリキュアと並んだとき、ひと目で見てアイドルプリキュアだとわかるデザインにもしたかったとTVシリーズのプロデューサーはおっしゃってました。子どもたちにとって、プリキュアはこれまでもアイドル的な存在や、憧れの対象だったと思います。『キミプリ』ではアイドルをモチーフにしているからこそ、さらにアイドルらしさを際立たせるために、衣装やロゴにもチェック柄を入れてました。とても大切にしている柄ですね。
――最後に、『映画キミプリ』を映画館でどのように楽しんでほしいですか?
お子さまにとって、実際のライブはまだ行きにくいものかもしれません。しかし本作は映画館で体験できますし、しかもプリキュアがアイドルとしてライブをしています。いちばん身近で、擬似的なライブ体験として、劇場に足を運んでいただけたら。入場者プレゼントの「ミラクルアイアイブレス」も振って、ぜひ一緒に楽しんでください!
また、推しを応援している大人の方や、親御さんたちも共感できる話になっていると思いますので、一緒に楽しんでいただけるとうれしいです。
【作品情報】
『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』
■声の出演:
松岡美里 高橋ミナミ(高は「はしごだか」) 高森奈津美 南條愛乃 花井美春
長縄まりあ 種崎敦美(崎は「たつさき」) 松田颯水 上田麗奈
関根明良 加隈亜衣 村瀬歩 七瀬彩夏 古賀葵
諏訪部順一 佐久間大介
内田真礼 佐倉綾音
津田篤宏(ダイアン)
■映画主題歌:「♪HiBiKi Au Uta♪」作詞:青木久美子 作曲・編曲:馬瀬みさき
■原作:東堂いづみ ■監督:小川孝治 ■脚本:吉野弘幸 ■音楽:深澤恵梨香/馬瀬みさき
■キャラクターデザイン・総作画監督:板岡錦 ■美術監督:谷岡善王 ■色彩設計:竹澤聡
■撮影監督:大島由貴 ■CGディレクター:近藤まり ■製作担当:直田宏隆
■公開日:9月12日(金)公開
(C)2025 映画キミとアイドルプリキュア♪製作委員会(C)ABC-A・東映アニメーション
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