読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2026年1月号では、TVアニメ『味方が弱すぎて補助魔法に徹していた宮廷魔法師、追放されて最強を目指す』より、ヨルハ役・久保ユリカ×クラシア役・田澤茉純のスペシャル対談をお届け。
本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューとなっている。

青春ものとしてのおもしろさもある物語

――『味方が弱すぎて補助魔法に徹していた宮廷魔法師、追放されて最強を目指す』(以下、『補助魔法』)という作品に最初に触れたときの印象を教えてください。

久保オーディションのお話をいただいたときにコミカライズを読みました。そこで、まずタイトルが長いなと思って(笑)。また、タイトルに「味方が弱すぎて」とあったので、主人公・アレクの仲間であるヨルハたちが弱いのかと思っていたんですね。でも、読み進めるうちにアレクが元いたパーティーのことだとわかって、追放されて、その後、ヨルハたちと合流すると知って、なるほどと思いました。じつは、「追放もの」に触れたのが初めてだったので、新鮮な気持ちでした。

田澤私もコミカライズを読んでからオーディションに臨んだのですが、「追放もの」であっても、「終わりなき日々を(ラスティングピリオド)」全員が強いところが新しいなと思いました。みんなで力を合わせて最強を目指すところに友情ものの側面を感じましたし、見ていて熱くなれる作品だなとも思いました。

久保こういう作品は仲間を探したり、作ったりしていくものなのかなと思っていたんです。でも、アレクには最初から仲間がいて、そこからさらに友情を深めていく。冒険のなかではそれぞれが成長するためにお互い刺激を与え合っていて、すごく青春しているなと感じました。


田澤アレクが冒険者としてのブランクを取り戻すためにがんばるというのも、ファンタジー系の作品ではあまり見ないので、とてもおもしろかったです。

――自分が担当しているキャラクターを最初に見たときはどんな印象がありましたか?

久保ヨルハは立ち位置的にも立ち回り的にも、ザ・ヒロインだなと思いました。裏を感じさせる子ではないので、お芝居も思うまま、感じたままにストレートに演じるようにしました。

田澤クラシアは、冷静でクールなイメージがあったんですが、意外と情に厚いんです。それも台本を読むうちにどんどん明らかになっていったので、より理解を深めてお芝居ができました。

――クラシアといえば、第1話からギルドの受付に怖そうなキャラクターと思われていましたよね。

田澤そうなんです。最初はとくに、怖そうな雰囲気をフィーチャーされていたので、キツい子なのかと思っていました。

久保でも、近寄りがたいわけでもないし、空気も読めるんですよ。見た目も立ち回りも美しく、ヨルハがアレクと仲よくしたがっていることを察することもできて。オーネストともわちゃわちゃしているし、一番お友達になりたいタイプです。なんだかんだ、文句を言いながらも面倒を見てくれそうな気がしますし、本音も言いやすそうだなと思いました。


田澤私から見ると、ヨルハは本当にかわいいんですよね。動きも表情も声も、すべてがかわいい。身長も、「ラスティングピリオド」のほかの3人と比べると小柄ですし、服もだぼっとしていて、小動物感があるんです。お酒にもすぐに酔っちゃって、かわいさを極めているなと思いながら見ています。

――ヨルハは登場時から印象があまり変わらないですよね。

久保そうですね。強いて言えば、アレクと2人きりになると、より乙女になるくらいですね。ただ、アレクがかなり鈍感なので、どうしても関係が進展しないんですよ。

――そんなヨルハやクラシアを演じるにあたり、どういった役作りをしましたか?

田澤最初に「クールさを大事にしてほしい」「大人になりすぎないでほしい」とスタッフの方からお話がありました。アニメ本編ではクラシアの年齢は出ていないのですが、最初のころは精神年齢がアレクたちより上という意識が強くて、大人っぽいお芝居になってしまったんです。でも、「ラスティングピリオド」はみんな同列なので、ほかのメンバーから年齢感が離れないように心掛けて演じました。

久保ヨルハはお酒を飲めますが、小柄で、一人称も「ぼく」ということもあり、「とにかくかわいく」とお話がありました。
ただ、圧倒的なヒロイン感がありますし、あまりかわいいお芝居にしすぎると、あざとく感じられてしまうのではないかと思って。私はそもそもの声が高いほうなので、作り込みすぎるとあざとくなって、「ラスティングピリオド」のなかで浮いてしまいそうだったので、かわいさよりもテンションを高く、明るいお芝居を考えたんです。でも、「かわいく」というディレクションがあって、当初はかなり恐る恐るお芝居をしていました。ただ、だんだんとしっくりくるようになったら、今度は「かわいすぎます」と言われてしまったんです(笑)。自分としては大きく変えていないつもりなのですが、テンションが上がってキーが高くなったときに指摘されたので、キャラクターの幅をあえて広くしすぎず、リアルに寄せない作り方なんだなと感じました。それこそ、魔法詠唱のときも「声を太くしないでください」と言われたので、キャラクターの範囲内での表現を求められたのだなと感じています。

田澤回想シーンで、クラシアたちの学生時代を演じるときは、かなり若めのお芝居にしてほしいとお話がありましたよね。

久保声を変えすぎるとキャラから外れてしまうので、そこはテンションを重視して、キャピッとしたお芝居をしました。

田澤クラシアは逆に、テンションについてはあまり言われなかったんですよ。むしろ、年齢感のほうをいつも指示されていました。それこそオーネストとケンカしているときにドスを利かせすぎると、「年齢が上がりすぎているかも」と言われていましたね。

久保役者としては「せっかくだからいろいろな幅を出したい」と思って、ついやりすぎてしまうんですよね。
『補助魔法』は現場の雰囲気が和気あいあいとしていたので、本番で幅を出さないぶん、テストでは自由にお芝居をして「ちょっとやりすぎですよ」と言われていました(笑)。

――お互いのお芝居には、どんな印象がありますか?

久保私は、最初に役が決まったとき、「逆では?」と思ったんです。私はクラシアがますみん(田澤)だと聞いて、「私がクラシアじゃなくて?」って。クラシア役のオーディションは受けていないんですが(笑)。

田澤私はヨルハもクラシアも、どちらも受けたんです。ただ、ヨルハは声的に受からないかも……と思って。

久保ヨルハもピッタリだと思うよ?でも、クラシアの声は、おしゃべりをしているときのますみんのトーンに近い気がします。とても落ち着いているんですね。私はいまだにそこまで落ち着いたキャラクターを演じたことがないので、「落ち着いた役はこう演じればいいんだな」と学ぶことも多かったです。

田澤私はシカさん(久保)のヨルハの、かわいいときと戦っているときの切り替えがすごいなと思っていました。ただ、それ以上に、ディレクションをされるまえの自由に演じているときのお芝居も好きだったんですよ(笑)。

久保テストって楽しいよね。


田澤なんでも許されますからね。

久保ますみんとは久々の共演ということもあって、「お互いに、ちょっと成長したところを見せ合っている」みたいなところもあって楽しかったです。

――田澤さんとしては、ヨルハの声はどこが難しかったんですか?

田澤かわいさが出ないんです。

久保出るよ!みんなも聞きたがってるよ!

田澤私がヨルハとして怒ろうとしても、かわいさを置いていっちゃうんですよ。だから、シカさんがかわいさと怒りを両立させているところは、本当にすごいなと思っています。

――じつはヨルハとクラシアの2人だけの会話は、あまり多くないですよね。

久保基本的には4人で話していることのほうが多いですよね。

田澤男子2人が騒いでいるのを、「やれやれ」と思っていることのほうが多いんでしょうね。

久保「またやってるよ」「またやってるね」みたいに、お互いに独り言を言ってるみたいな感じなのかもね。

個性的な4人の活躍をずっと見続けたい
――ちなみに、お互い、演じているキャラクターに似ているなと思う部分はありますか?

田澤ヨルハはリーダーなんですが、シカさんは引っ張っていくタイプではないんですよ。でも、まとめるところはまとめてくださるので、そこは似ている気がします。

久保ますみんは見た目がスッとした美少女なので、一見近寄りがたいようにも見えるし、お話ししてもクールに返されちゃうかなと思われそうですが、じつは人懐っこくてお茶目なんです。
クラシアもじつは気遣いやさんなので、そこは似ているのかなと思います。

――では、「ラスティングピリオド」のほかのメンバーで自分と似ているキャラクターはいますか?

久保「ラスティングピリオド」の4人は個性的すぎて、似ている人を探すのが難しいです。強いて言うなら、アレクが追放されて、いらないと言われた悲しみは、オーディションを受けて落ちてしまったときの自分たちに近しいかもしれません(笑)。

田澤似てはいないですが、私はオーネストのまっすぐさがうらやましいです。アレクのことを本気で心配して、しかも追放されたことを本気で怒る。あそこまでまっすぐな人はなかなかいないので、すごくいいなと思います。

久保私はアレクも好きですよ。Sランクパーティー「緋色の花(リクロマ)」の補助魔法師であるロキが「ご飯をおごる」というくだりになったときに、「いいのか?俺、すごい食うよ」と言ったんです。そこが個人的にすごくツボで。そんなに食べなさそうなのに、とときめいてしまいました。しかも、梅ちゃん(梅田修一朗)の言い方もすごくグッときて、アレクも男の子なんだなぁと思うようになりました。

田澤そこで遠慮しないのもいいですよね。

久保アレクって、どうしても一歩引いたところが出がちなのですが、意外とガサツだったり口が悪かったりするので、それがハッキリと出たシーンだなとも思います。

田澤ただ、アレクって鈍感ですよね。ヨルハの気持ちにも全然気づかないし。

久保でも、誘惑に負けなさそうだし、そこも推せるんですよ。オーネストは友達にいたら楽しそうだなと思います。

田澤私は逆にオーネスト派ですね。先ほど言ったまっすぐなところが、わかりやすくていいなと。アレクのように周りのことを思って隠すでもなく、遠慮しないところがいいんです。だから、これから先、クラシアとの関係はどうなっていくのかも、個人的には気になっています。

――第8話までで、とくに印象に残っているエピソードやお気に入りのエピソードを教えてください。

久保ヨルハの話だと、第6話のアレクとのお買い物ですね。オーネストとクラシアが気を遣って2人だけにしてくれて。

田澤オーネストとクラシアの白々しい態度がいいですよね(笑)。

久保第6話までは戦いがメインでバタバタしていましたが、日常回を挟んで一旦ふだんの4人が見られたんです。ヨルハのドキドキもアレクの鈍感さも詰まっていてとても好きですし、いい意味で『補助魔法』っぽくない、日常感がいいなと思いました。

田澤私はロキの登場しているエピソードが印象に残っています。本当に注目を集めるキャラクターですし、アフレコ時から「みんな、好きになる」と言われていたんです。ひょうひょうとしているのにやるときはやるところがすごくよかったです。

久保ロキを演じる石田彰さんのお芝居がとても素敵だったんです。とくに、ロキの絶叫シーンはアフレコ現場の空気が引き締まりました。

――ほかに、アフレコの思い出はありますか?

久保皇居外苑の最中が差し入れにあって、ひよさん(オリビア役の日笠陽子)がすごくハマっていたんですよ。「次も用意してください」と冗談っぽく言っていたら、本当に用意されていました。

田澤実際、すごくおいしかったですよね。

久保みんなに人気でした。しかも、まるで自分が買ってきたかのように「食べたほうがいいよ!」ってひよさんが配るんです(笑)。谷山紀章さん(グロリア役)も「うまいよ!」とおっしゃっていて、お2人が入ってから、より和やかなムードになった気がします。

――第8話の時点では、ヨルハが闇ギルドの関係者から「望む者」と呼ばれていることが明らかになり、先行きの不穏さが感じられるようになりました。まだまだこの先、どうなっていくのかも気になりますが、今後の見どころを教えてください。

田澤闇ギルドが登場してから、一気に物語の展開が変わっていきます。闇ギルドに関わるキャラクターは、アレクたちにとっては敵なのですが、個性が強い人たちなので、これから起こる戦いにも注目してください。

久保アフレコは、絶叫の嵐でした。もともと『補助魔法』はバトルシーンにとても力を入れている作品ですが、後半にかけてさらにパワーアップしていきます。前半ですでにアレクたちがカッコよく動いている姿を見ていただけていると思いますが、後半はさらに激しいバトルシーンが続くので、私たちも映像を見られるのをいまから楽しみにしています。個人的には、どこまでヨルハの秘密に近づけるのかにも注目していただきたいです。

――この先のヨルハやクラシアの活躍について、それぞれの注目ポイントを教えてください。

久保じつは、ヨルハの明確な活躍ターンは、ここから先はあまりないかもしれないんです(笑)。でも、私個人としても「このままでは終われないですよね」と見てくださっている皆さんにも同意を得たい気持ちです。

――つまり、続編を期待したいということですね?

久保そうです!オンエア中から盛り上げていただければ、次につながるとも思っています。ぜひぜひ、さらなるヨルハの活躍を見るためにもたくさん応援してもらえたらと思います。

田澤クラシアを演じた身としては、第6話から登場したSランクパーティー「ネームレス」のオリビアとクラシアの関係も気になります。オリビアと関わることで、クラシアの面倒見のよさがより際立っていたんですね。オリビア自身もツンツンしつつもだんだんとクラシアに対する態度が変化していくので、そこもぜひ楽しみにしていただきたいです。

久保『補助魔法』は、1話ずつ、とてもていねいに、原作のエピソードを描いてくれているんです。個人的に、まだ見たいお話がたくさんあるので、今後も応援をよろしくお願いします!

MegamiにQuestion
Q.自分の声の特徴
A.大きい物体を、とても小さくしたような声(久保)
特徴があまりないところが特徴(田澤)

久保声のお仕事をするきっかけになった作品の音響監督さんにそう言われたのですが、いまだに答えを見つけられずにいて、それを探すために声優を続けているところもあります。

田澤いい言い方をすると、田澤茉純という人物が作品に影響しない声なんです。キャラクターとして話していると思っていただけるのがうれしいです。

Q.自分の性格
A.ひとりでいたい寂しがりや(久保)
飽き性(田澤)

久保ますみんは、すごく趣味が多いんです。しかも、どれもしっかり調べていて。

田澤ハマったときにわかる範囲を調べて、その段階で調べられるところまでわかれば満足して次の趣味にいってしまいますね。シカさんは、ご飯に誘うといつもきてくれるので、寂しがりや感がそこにあるのかもしれません。

久保でも、断るときはちゃんと断るよ?

田澤誘ってくれたから……と気を遣ってくださる方もいますが、無理なときはちゃんと言ってくださるので、すごく誘いやすいです。

Q.いま、ハマっているものは?
A.せいろ蒸し(久保)
ゲーム。とくに『塊魂』(田澤)

久保健康的に美味しいものが食べたいのと、蒸すと栄養素が留まると聞いて、せいろ蒸しばっかりしています。主に豚肉がメインですね(笑)。

田澤私は『塊魂』好きで、『塊魂』のTシャツを着たり、コラボカフェにも行ったりしました。『補助魔法』で梅田くんと取材を受けたときも、ちょうどコラボカフェが近くでやっていたので、取材後に行ったくらいに好きです。

久保かなり宣伝していたから、CMで見たときに「ますみんの『塊魂』だ!」って思っちゃった(笑)。

Q.魔法が使えたら、何を補助したい?
A.やる気(久保)
体力(田澤)

久保やる気さえあれば、ほかは自分でがんばれる気がするんです。逆に、やる気以外を補助すると、やる気がなくなりそうで。

田澤わかります。私は体力さえあればやれることが増える気がするんです。疲れていると何もできなくなるので。
久保ちょっと回答が現実的すぎて、大丈夫かな……?(笑)

Profile
くぼ・ゆりか/5月19日生まれ。奈良県出身。ステイラック所属。
主な出演作は、『履いてください、鷹峰さん』鷹峰高嶺役、『しかのこのこのここしたんたん』猫山田根子役など。

たざわ・ますみ/11月22日生まれ。神奈川県出身。東京俳優生活協同組合所属。
主な出演作は、『星降る王国のニナ』アン役、『ぬきたし THE ANIMATION』冷泉院桐香役など。
(C)アルト・講談社/補助魔法プロジェクト

●取材・文/野下奈生(アイプランニング)
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