『転生したらスライムだった件』(以下:転スラ)は、通り魔に刺されて死んだサラリーマンが、異世界で「スライム」として転生し、ユニークスキル「捕食者」と「大賢者」を駆使して魔王へと成り上がり、種族を問わず楽しく暮らせる国「魔国連邦(テンペスト)」を作り上げていく様を描いた作品だ。
今回の劇場版『蒼海の涙編』の舞台は、シリーズ初の「海」となる。水竜を守り神とする海底の国「カイエン国」、その巫女である劇場版オリジナルキャラクター・ユラは、水竜を目覚めさせようとする陰謀を止めるため、地上へ助けを求めに行く。一方、リムル一行は、「魔導王朝サリオン」の天帝・エルメシアが治めるリゾート島で、激務だった開国祭の疲れを癒やすバカンスを満喫中。そこでユラと出会い、海底の陰謀に巻き込まれていく。
シリーズ累計5,600万部を突破、4月からはTVアニメ第4期の放送も決定し、異世界転生アニメの代表的作品となった本シリーズのアニメ制作を手掛けるスタジオがエイトビットだ。多くのスタッフが関わることで出来上がるアニメ制作を束ねるスタジオ内はどうなっているのか、今回は劇場版公開を記念して特別にスタジオ内の取材が許可された。
■世界観の創造主! pomodorosa氏に聞く「脚本の外側」を描く仕事
スタジオを案内してくれたのは、本作のアニメーションプロデューサー・江口浩平氏だ。入口ではスライム姿のリムルが出迎えてくれる。スタジオ内は、スタッフの皆さんが黙々と机に向かって作業しており、雑然とした雰囲気はなく、整理された雰囲気だ。
最初にお話を伺ったのは、イメージボードを担当したpomodorosa(ポモドロサ)氏だ。
イメージボードとは、絵コンテを描く前、あるいは脚本の制作前のプロット段階で、作品の雰囲気を作り上げる仕事だ。「この世界はどんな雰囲気で、どんな人々がいるのか」など、想像の産物を具体化していく作業だ。
単に脚本にあるシーンを画にするだけではなく、本編には出てこない場面も描いていく。例えば、人々の生活スタイルはどんな感じかな、もしかしたらこの国には路上音楽家がいるかもしれないな、など、脚本や絵コンテの外側まで想像を膨らませていく。そうすることで、徐々に作品のイメージが統一されていき、作り上げる画面の厚みが増していくのだ。
そんなpomodorosa氏が手掛けたイメージボードの一部は、本編のエンドロールにも使用されている。物語の中で描き切れない世界の広がりを実感できるので、エンドクレジットまで席を立たずに見ることをお勧めする。
■MJに座頭市!? 意外すぎる衣装デザインの裏話
本作の見どころの一つが、いつもと違うリムルたちのバカンス衣装だ。pomodorosa氏は衣装デザインも担当している。
特に注目はハクロウの衣装だ。イメージは意外なことにマイケル・ジャクソンからも着想を得たと言い、さらに座頭市のような仕込み刀を持たせている。バカンスの浮かれ具合と渋さを融合させた絶妙なデザインだ。
今回の劇場版で活躍するゴブタの衣装テーマは南国の陽気な兄さんというもので、pomodorosa氏もお気に入りだそう。
江口プロデューサーは語る。
「pomodorosaさんは、アニメ専業の我々だけでは思いつかない『自由な発想と魅力的なデザイン』を提案してくれる。それが作品の可能性を広げてくれました」
■作画枚数、なんと約6万枚! 原画マンの職人芸
続いて、実際に絵を動かす現場、原画ルームにお邪魔した。エイトビットは数年前からデジタル作画に完全移行しており、机には液晶タブレット端末が並ぶ。取材に対応してくれたのは、原画担当の持田氏だ。持田氏は今回、アバンの激しいアクションシーン一連やリムル一行が島に到着したシーンなども担当した人物である。
持田氏は、アニメーターの仕事はコンテ通りに描くだけではなく、意図を汲み取り、自らのアイデアと演技プランを具現化することだという。
また、アクション以上に日常芝居の難しさも語ってくれた。派手なアクションシーンはアニメの花形シーンだが、ある程度見栄えを優先して嘘をつきやすい。しかし、海の波の動きや、街の人々の日常生活は生理的な感覚から外れてしまうと、違和感が目立ちやすい。こうした目立たない作画にも手を抜かずにやらないと、没入感がそがれてしまう。
またワイドショットになると、写りこむキャラクターも増える分、作業が難しくなっていく。
■アニメーターは役者であり、カメラマンである
また、持田氏は自らのアイデアで、コンテに書かれていない動きを足すこともあると語る。何気ない動作を追加するだけでキャラクターの個性が際立つこともある。時にはやりすぎで没になるアイデアもあるが、そうしたこだわりを細かく入れていくことで、画面が豊かになっていく。持田氏は、アニメーターとはキャラクターを演じる役者でもあり、その世界を切り取るカメラマンでもあると話す。絵によって芝居を作る矜持をにじませた。
そんな持田氏が本作の個人的な見どころを教えてくれた。自身の担当外ではあるが、前半にあるゴブタの街中でのアクションシーンが推しとのこと。ここで参考にされたのはジャッキー・チェンの映画だったという。身体一つで戦うゴブタの活躍を際立たせるため、ジャッキー映画の身の回りにあるもので戦うアクションを参考にしたそうだ。今回、ゴブタは“裏の主人公”と言えるほどの活躍をするためか、推しはゴブタというスタッフも多いようだ。
■劇場で確認してほしい!「こだわり」の数々
今回の劇場版の作画枚数は6万枚ほどになるという。そのこだわりの隅々まで体感するには、大画面のスクリーンが一番だ。
劇場版オリジナルキャラクター「ユラ」とリムルたちの絆、カイエン国を巡る陰謀のドラマなど、物語としての面白さはもちろんだが、その背景には、バカンス衣装の裾の動き一つ、背景のモブ一人の芝居一つにまで魂を込めたクリエイターたちのこだわりがある。ぜひ劇場の巨大なスクリーンで、そのこだわりを余すことなく目撃してほしい。
『劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編』
2月27日(金)全国公開
【キャスト】
リムル:岡咲美保/智慧之王:豊口めぐみ/ヴェルドラ:前野智昭/ベニマル:古川慎/シュナ:千本木彩花
シオン:M・A・O/ソウエイ:江口拓也/ハクロウ:大塚芳忠/ゴブタ:泊明日菜/ランガ:小林親弘
ディアブロ:櫻井孝宏/ヒナタ:沼倉愛美/ルミナス:Lynn/ミリム:日高里菜/ラミリス:春野杏/エルメシア:金元寿子
フレイ:大原さやか/ベレッタ:川澄綾子/トレイニー:田中理恵/エレン:熊田茜音/カバル:高梨謙吾/ギド:木島隆一
ユラ:大西沙織/ジース:遊佐浩二/ミオ:小坂菜緒/ヨリ:藤嶌果歩/ゾドン:堂本光一
【スタッフ】
原作:川上泰樹・伏瀬・みっつばー「転生したらスライムだった件」(講談社「月刊少年シリウス」連載)/
ストーリー原案・監修:伏瀬/監督:菊地康仁/脚本:根元歳三 菊地康仁/キャラクターデザイン:江畑諒真/
モンスターデザイン:岸田隆宏/総作画監督:小峰正頼 山崎秀樹(崎は「たつさき」)/コンセプトアート:ロマン・トマ/
イメージボード・衣装デザイン:pomodorosa/美術デザイン:ボワセイユ レミ 佐藤正浩 藤瀬智康/美術監督:佐藤 歩/
美術:スタジオなや/色彩設計:斉藤麻記/モニターグラフィックス:生原雄次/CG ディレクター:森野浩典/
編集:神宮司由美/撮影監督:佐藤 洋/撮影:チップチューン/音響監督:明田川 仁/音楽:藤間 仁(Elements Garden)/
アニメーションプロデューサー:江口浩平
主題歌:TRUE「ユートピア」 アニメーション制作:エイトビット 製作:転スラ製作委員会 配給:バンダイナムコフィルムワークス
(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
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