新車を買った情報2021、安部公房の「箱男」がもしプラの箱に入っていたら……と、謎の妄想にふける私は四本淑三です。本日の話題の中心と致しますのは、箱。

プラスチックの箱であります。


 なんで箱なんだよ! またマツダの安全装備のせいにする気かコラ!


 お怒りはごもっとも。ですが今回は違います。きっかけは何にせよ、椅子、テント、バーナーと買い進めてしまえば、もはや逃れられぬ定めのキャンプ用品連続爆買い蟻地獄。そう諦めたら、次の課題は増え続けるキャンプ用品の収納。および自宅からクルマ、クルマからサイトへの用品持ち運びを簡便に済ませること。その包括的解決策が、箱。


 このたび購入いたしました「トランクカーゴ」は、岐阜市に本拠を置くプラスチック製造大手リス株式会社の製品。使い勝手の良い丈夫な収納箱ですが、昨今のキャンプブームから「キャンプ用収納ケースと言えばコレ」という定番になってしまったものです。


 この箱は他のブランドにもOEM供給されており、面白いところではアウトドア用品のDODが「ヨクミルヤーツ」という商品名で販売中。それくらい「キャンプ場でよく見るやーつ」なのでありまして、他に私が把握しているところでは資材流通大手のトラスコ中山、ホームセンターのDCMグループ、オートバックスのガレージ用品ブランドのゴードンミラー、アパレルのビームス、無印良品は「ポリプロピレン頑丈収納ボックス」としてトランクカーゴを売っております。


 では何がそんなにいいのでありましょうか。


ムーブメントを呼んだ奇跡の箱

 まず荷物を運んだら疲れますから、休憩のために座れるようになっております。リブで補強された蓋の耐荷重は100kgもあります。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 その丈夫な蓋ですが、ひっくり返して木の板を載せればテーブルになる。そんな発見をした人のおかげで、テーブル板の自作がユーザーの間で大流行。メルカリヤフオクで完成品を売る人まで現れるという、箱でありながらユーザー参加型のムーブメントまで起こしてしまった、大袈裟にマスコミっぽく言うと「奇跡の箱」なのであります。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 まあ、それもこれも収納ケースとしての基本性能あったればこそ。コンテナの機能として私が気に入っているのは、物を入れて持ち運ぶまでの動きに滞りがないことであります。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 箱に荷物を詰め込み蓋を載せたら、左右のハンドルを両手で起こしてロック。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 そのまま両手でハンドルを持ち上げると、直ちに運搬体制へ。この一連の動作がストレスなくキマる。繰り返し何度も運ぶ場合には作業のリズムが取りやすい。バックルで蓋をロックする方式より無駄な動きがなくて良いのであります。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 もうひとつ良いところは、トランクカーゴ自体を収納する際に、空の箱や蓋も重ねて仕舞えること。

ネスティングというやつですが、ここに細かい芸が隠れております。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 積み重ねた状態でハンドルを下に倒すと、下の箱に引っかかる仕組み。これで上の箱を持ち上げれば、重ねた下の箱までくっついてくる。片付けも簡単、まことに素晴らしい。


 ところがND型ロードスターは長らくこの箱に見放された存在でありました。なぜならトランクに入らないから。


これは入ったと言えるのか?

キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 ND型ロードスターのトランク開口部は、横に長い六角形のような形。大まかに言って、幅が530mmまでなら、奥行きは330mmほど。幅600mmなら、奥行きは295mmまでの箱が入るような寸法です。深さは、真ん中の窪んでいる部分のリッド手前で370mmほどですから、これより高い箱は積めません。


 一方、DCMホーマックで売られているトランクカーゴは、30/50/70Lの3種類。高さ370mm、奥行き390mmは全容量共通。容量70Lは幅780mm、50Lは600mm、30Lは400mmというバリエーション。


 ただトランクカーゴは下がすぼまった台形です。70Lは無理でも、50L、30Lはなんとかすれば入っちゃうんじゃないの。という甘い憶測のもと、キャンプ場で一番よく見るやーつ、容量50Lのトランクカーゴを試してみました。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 まっすーぐ入れても入らない。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 斜めーに入れても入らない。らんらんららん。らんらんららん。泣いてばかりいないで、こういう場合は蓋を外してみるのです。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 真っ直ぐにも横にも入りません。が、斜めにすると……。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 おお、なんと入ってしまったではありませんか!


 ちなみに蓋を外した50Lのトランクカーゴ、つまり箱だけのサイズは幅594mm、奥行き382mm、高さ303mm。底面は幅510mm、奥行き310mm。

やはり下がすぼんだ台形に助けられた格好です。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 そして蓋をしてしまえば、まるで何の支障もなく入ったような見た目に。取り出すときは、また蓋を外し、斜めにして引っ張り出せばいいのです。これでロードスターもキャンプ用品の定番が積める、立派なキャンピングカーですよ。


 それではまた。


待望の入るサイズ・入るシリーズ登場

 と言いたいところですが、賢明な皆様はお気づきでしょう。出し入れで斜めにするたび、中から物がこぼれ落ちる。それで問題なければいいですが、胸を張って入りますとは言いにくい。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 ちなみに、ひとまわり小さな30L版「TC-30」でも結果は同じ。蓋を外して斜めにしないと入りません。ではどんな大きさなら当たり前に入るのか。


 実はですね、出ていたんですよ、本家リスさんから、新しいサイズのトランクカーゴが、去年の夏からポチポチと。

だから私もポチったのですが。


 昨年追加されたシリーズ最小となる「TC-20」、および新たに追加されたスタッキングタイプの「TC-20S」、そしてついに出たローハイト版「TC-50S LOW」は、ND型ロードスターのトランクに余裕で入ります。


キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ

 ついにロードスター、キャンピングカーになる。続きはまた。

編集部おすすめ