2026年以降に発売する新型車は、EVのみにすると宣言したアウディ。そんな同社の電動車とはどんなものなのか? 以前アウディの「4WD+5気筒ターボ」のスポーツモデル「TT RS」に触れて感動したというMT車大好きのモデル新 唯(あらた・ゆい)さんとともに、最新アウディをご紹介したいと思います。
アウディのe-tronとは?

「この前乗ったアウディ、すごくイイクルマでしたねー。カッコイイし、走りも音もイイ! 強く思い出に残る1台でした」と、アウディに対し好印象を抱く唯さん。ですがTTは2015年に登場したモデルで、現行アウディのラインアップでは「R8」に次いで古い車種になります。それゆえ装備面で古さを感じてしまうのも確かにありまして……。そこで今回はアウディの最新モデルに触れてもらうことで、6年の月日によるクルマの進化を肌身をもって体験してもらいましょう。

今回の試乗車は「e-tron Sportback 55 quattro S line」というモデル。スポーツバックという名の通り、後端をスラントさせた4ドアセダンっぽい1台と思ってお借りしたら……。


全長4900mm×全幅1935mm×全高1615mmと、はっきり言ってデカい! セダンというより、SUVとかSUC(スポーツ・ユーティリティ・クーペ)と言った方が正しいかも。アウディのラインアップで言えば「Q7」に匹敵する大きさで、VWグループで同じプラットフォーム(PL7X系)を用いたフォルクスワーゲン「トゥアレグ」、ポルシェ「カイエン」、ベントレー「ベンテイガ」、ランボルギーニ「ウルス」といったモデルと、程度の差はあれほぼ同じ。これには唯さんも「こんな大きな車を運転するんですか? セダンと聞いていたんですけれど、これはセダンじゃないですよね」とビビりまくりです。そのビビりに拍車をかけたのがプライスで、お値段1346万円!

大きいだけでなく、ぶつけたら高額請求待ったなし! 「帰っていいですか?」と冗談とも本気ともとれる言葉が思わずポロリ。
大きなボディーは期待通りの車内空間



まずは荷室からチェック。大きなパワーテールゲートを開けると、期待を裏切らない大容量の収納スペースが姿を現わします。ですが床面が高い印象。

タイヤを納めるスペースと小さな収納が一つ。e-tronにはSUVモデルがあり、そちらにはスペアタイヤが搭載されているようなのです。で、こちらはパンク修理キットで対応というわけです。


それではフロントボンネットをご開帳しモーターを拝見することに。ですが、姿を現わしたのは大きな収納スペース。その中には充電ケーブルが鎮座していました。モーターの姿をみることは叶わないようなので、文章でご説明しましょう。e-tronは、前後に各1基モーターを搭載。そのスペックは、フロントモーター最高出力:183.5PS(135kW)、フロントモーター最大トルク:309N・m(31.5kgf・m)、リアモーター最高出力:224.3PS(165kW)、リアモーター最大トルク:355N・m(36.2kgf・m)。その結果、システム最高出力:408PS(300kW)、システム最大トルク:664N・m(67.7kgf・m)! まさにトルクの鬼という形容が相応しいスペックを誇ります。気になる航続距離ですが、36個のバッテリーモジュールからなる総蓄電容量95kWhによって、1回の充電で400km以上走れるのだとか。



充電ポートは運転席側に家庭用充電用、助手席側に急速充電用と分けて配置。ちなみに一般家庭で充電する場合、その給電能力は3kWhですので、電欠状態からフル充電まで30時間以上かかると思われます。気になる電気代ですが1kWhあたり28円程度(関東)ですので約2660円! アウディに限りませんが、EV車のランニングコストの良さは圧倒的です。



後席に乗り込む唯さん。快適そのもので、後部座席の広さ、質の高さはさすがのひと言。「閉塞感が少なくてイイです」と唯さんはニコニコ。これならドコまで乗っても快適な旅になること間違いナシです。









続いて運転席へ。「すっごくスッキリしていますね!」という印象を抱かれた唯さん。それもそのハズ、操作のほとんどはセンターコンソールに設けられた2枚のタッチパネルディスプレイで行なうわけで、普段使わないスイッチは「♪いらない 何も 捨ててしまおう」とアウディは考えたわけです。ちなみに唯さんはB'z(それも初期)がお好きだったりします。


アウディといえば、メーターパネルにナビ画面を表示するバーチャルコクピット。



そして更なる驚きは、アウディがバーチャルエクステリアミラーと呼ぶカメラミラーだったこと。カメラミラー初体験の唯さんは、大きな目を見開いて驚いた表情をみせます。このカメラミラーは、雨の日や暗い時に威力を発揮し、一度使ったら戻れない素晴らしさ。しかもアウディのそれは、タッチパネルでカメラの位置調整ができます。「このクルマ、ディスプレイの塊ですね」という唯さん。確かに……。
走行モードはエコからダイナミックまで多種多用。ちなみにダイナミックモードにすると、メーターパネルにBOOSTという文字が表示され、2.5トンを超える車体を停止状態からわずか5.7秒で100km/hに到達するというからとんでもない! とはいえ、そんな俊足モードを使ったらバッテリーがどんどん減ってしまうので、ここはゆったりのんびりと通常モードで走行することにしましょう。
電気自動車ならではの静粛性
ボディーが大きくても車内はシーン

「あの、このクルマ。走らないんですけれど」という唯さん。

「とても静か。それに安定感と剛性感がすごくイイ!」と唯さん。「思ったよりモーターの音が聞こえますけれど、エンジン車とは段違いの静かさですね。ロードノイズもあまり耳につかないから、車内がとても静かですね。そして乗り心地の良さ、室内の良さが加わりますから、まるでリビングが移動しているみたい」と、スポーツカーはもちろんのこと、今まで体験されたどんなクルマとも違う世界観に驚かれているようです。
「思っていたより運転しやすいのは、視野が広いからかな。車高が高いから見通しがいいのはもちろんなのですが、意外と車幅がつかみやすいです」と、こちらも驚かれている模様。その一方で「アクセルペダルのフィーリングが感覚的にちょっと……。結構踏まないといけないところに違和感を覚えます」というわけで、ここでスポーツモードに切り替えてみることに。

「ディスプレイといい、静かな走りといい、SF映画に出てきそうな近未来のクルマって感じです。ハイテク満載みたいなクルマは日本が得意とするところだと思っていたのですが、アウディはデザインも含め、その先を行っている感じを受けました」というのが唯さんのご評価。近未来のハイテク車、まさに言いえて妙です。
アウディならではの
質実剛健ならがも柔らかい走りは健在
ある程度楽しまれたところで不肖に選手交代。まず気になるのはカメラミラーの位置。目線をけっこう下に落とさないといけないので、慣れが必要だと感じました。またアウディに限りませんが、カメラミラーのモニターは、メーターパネルの両脇に置くという方法もあったのかなと。その場合、エアコンダクトをどこに配置するのか、という問題は出てきますが……。

BMWやメルセデス・メンツとは異なる、アウディらしい柔らかな乗り味は、EVでも健在です。
速く走ることはできるのですが、それはこのクルマの本当の価値ではないなと。ゆったり静かに、街の景色を楽しむのが本流といえそう。女性に人気のアウディブランドに、これまた女性に人気のSUVっぽいスタイリング。そしてEVという静粛性。もし貴方が「究極のデートカー」を探されているのだとしたら、このアウディe-tronを強くオススメします。唯さんも「このクルマの助手席、最高ですね」とおっしゃっていましたし、事実、静かで乗りごこちの良いクルマは女性に喜ばれます。

「いきなりここまでのレベルに仕上げるなんて、さすがアウディ」というのが正直なところ。悔しいのであえてない物ねだりをするなら、もっとクルマ好きの心に訴えかけてほしい、官能さが欲しい、というところでしょうか。アウディらしさを保ちながら新しいクルマづくりに邁進するアウディ。これからも注目の存在であることに変わりありません。
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モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

栃木県出身10月5日生まれ。2020年に小林唯叶としてモデルデビュー。2020年シーズンのSUPER GT「マッハ車検GAL」をはじめ、SUPER FORMULA、スーパー耐久シリーズのレースクイーンとして活躍。2021年4月の芸能事務所プラチナム・プロダクションへの移籍に伴い新唯に改名。現在ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技の勉強中。