ポルシェ「マカン」

なぜマカンを買ったのか!?

 普段アスキーではアイドル系の記事を執筆している筆者。縁あってポルシェのSUV「マカン」を購入することになったのだが、担当編集のスピーディー末岡から「じゃあレビューしてください」と無茶ぶりがきたので、自動車ジャーナリストでもなんでもない、ただの一般人の視点からマカンを買ってわかったことを紹介したい。


 これまでメルセデス・ベンツのA-Classに乗っていた筆者だったが、愛犬用のカートを折りたたんで乗せるとトランクルームのスペースがギリギリになってしまうので、もう少し余裕のある大きめの車に乗り換えたいなと考えていた。

加えて、ちょうど期間3年のリースが終了するタイミングだったということもある。その際、同じメルセデスのGLAやGLCを候補としていたのだが、いつも前を通るたびに気になっていたポルシェセンター調布に「話を聞くだけでも」の気分で寄ってみた。


 そこでまんまと(?)ポルシェの魅力にハマり、今回、マカンを購入することになったのだが、「ポルシェ」という車についていろいろと教えてもらったのが大きなきっかけだった。「ポルシェ」という名前はもちろん、販売中の車種などは知っていたのだが、「実際どんな車なのか?」といった部分はまったくわからなかった。正直、話を聞くまで「普段の街乗りにスポーツカーはいらない」と思っていたのだ。


 では、「ポルシェの魅力とは?」。筆者をポルシェファミリーに引き込んだ、ポルシェセンター調布の担当であるYさんにあらためて話を聞いた。


ポルシェで一番売れてるSUV「マカン」を買ったらすっかりポルシェ沼に
甲州街道沿いにあるポルシェセンター調布のエントランス
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受付にはポルシェのロゴが。ダウンライトの位置を左右対称にピッタリと合わせているのがポルシェクオリティー
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ポルシェの魅力を教えてくれた、ポルシェセンター調布のYさん。展示中のボクスターと一緒に

ポルシェの魅力を教えてくれた
ポルシェセンター調布

 「ポルシェは、運転が楽しい車だと思います。その楽しさを大事に、車を作っている夢のあるブランドですね。原点は911というモデルになるのですが、すべての車種がスポーツカーを前提に作られています。もちろん街乗りしていただけますが、そのままサーキットレースにも出られる状態でお渡ししています。

また、911で使われている“フライライン”というデザインをどの車にも採用しています。オプションでスポーツクロノを設定するとダッシュボードの上にストップウォッチが装着され、ラップタイムがわかりやすいなど、スポーツカーにこだわるポルシェならではの装備も用意されています」と最初にポルシェの成り立ちなどを教えてもらった。


 続いてYさんは「スポーツカーとして走りを楽しむという点はまったく妥協していません。たとえば、最新のモデルでもキーは挿さずともイグニッションキーを回すことでエンジンがかかります。最近の車はボタンを押してエンジンをかけるものが多くなっていますが、車を運転するときのワクワクが、これまでのようにキーを回すことで始まるというわけです。また、走りについてですが、車幅やタイヤ幅が広くて重心が低いので安定しています。車幅が広いと止められる車庫などに制限が多くなってしまうというマイナス面はありますが、走りに影響が出る部分に妥協はしません。SUVであるカイエンやマカンについても、リアは空気が抜けるように平たくなっています。そのぶん、同じサイズのSUVと比較するとトランクルームの積載容量は減ってしまいますが、スポーツカーとしての走りはよりよいものになっています。マカンが発売されたのが2014年なのですが、いまではマカンがポルシェでいちばん人気の車種となっています。マカンの人気を受けてなのか、ほかメーカーさんもSUVクーペというスポーツタイプのSUVを新モデルとして投入してきました」といういうに、いかにポルシェが走りを前提をしているかを語ってくれた。


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ポルシェセンター調布に用意されている試乗車。
最新のEV車「タイカン」も試乗できる

 電気自動車についても「ポルシェは業界を牽引する車メーカーとして、もちろんEV(電気自動車)事業にも力を入れています。2020年にポルシェ初の電気自動車“タイカン”を発売しました。ほかメーカーが既存の車をベースに電気自動車を開発している中、電気自動車としてイチから作ったのがタイカンです。スポーツカーとしての理念を損なうことなく、電気自動車としても走りを楽しめるものになっています。また、電気自動車は充電時間が問題になっていますが、ポルシェでは、各ポルシェセンターにポルシェ ターボチャージャーという急速充電器を用意しています。90Kw、400V配線により、30分弱で80%の充電が可能です。現在のところ、ポルシェオーナーさん専用で使っていただいております。こうした大容量電源にも、タイカンは最初から対応しています。同じ電気自動車でも、ほかメーカーの自動車の場合、ポルシェ ターボチャージャーにつないでも未対応で充電できない、ということもあります。これからはEV用の充電器の普及はもちろんですが、充電器自体の容量アップも必要となってきますが、その際に大容量充電器が使えない……といった心配はありません」という説明を聞いて、まんまとポルシェ沼にハマったのだった。


ポルシェで一番売れてるSUV「マカン」を買ったらすっかりポルシェ沼に
ポルシェオーナーなら誰でも利用できる、大容量電源の「ポルシェ ターボチャージャー」

 筆者はずっとMacユーザーで、スマホはiPhoneを使い続けているのだが、ポルシェのスポーツカーメーカーとしての妥協のない姿勢にアップルと同様のものを感じた。そして、話を聞くうちに、その魅力に実際に触れてみたくなったのだ。


 ポルシェセンター調布は、ショールームでの最新モデルの展示のほか、試乗車も用意されているので、筆者のようにポルシェに興味が湧いた人は訪れてみるといいだろう(もちろん全国のポルシェセンターでも可)。ポルシェのオフィシャルグッズなども販売されているし、「お飲み物」として提供されるココアがとてもおいしくてオススメだ。


ポルシェで一番売れてるSUV「マカン」を買ったらすっかりポルシェ沼に
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ポルシェのオフィシャルグッズも販売されている。こちらは来場者なら誰でも購入可能だ
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商談の際などは、ポルシェのカップに入った飲み物が用意される。筆者はココアがお気に入り

ポルシェセンター調布

〒182-0002
東京都調布市仙川町2-20-1
TEL:03-3307-0911(あらかじめ電話での確認が必須)
FAX:03-3307-0944
E-Mail:info@chofu.porsche.jp
営業時間 : 10:00~18:00
定休日 : 水曜日及び第二火曜日(不定休)


新型ポルシェ「マカン」の
エクステリアとインテリア

 今回、筆者が購入したマカンは、バージョン3と呼ばれる昨年発売の最新モデル。グレードは「T」や「S」や「GTS」があるが、そのどれでもない無印のマカンだ。ポルシェセンター調布で展示車用に発注していたモデルをタイミングよく譲っていただくことができた。筆者は初めて知ったのだが、ポルシェという車はオプションでカスタムすることで自分に合ったものにしていくのだそうだ。ただ、マカンのバージョン3はこれまでオプションで用意されていた機能などが標準で備わっており、それほど追加オプションは必要ないとのこと。今回は、ボディーカラー(バルカノグレー メタリック)やインテリアカラー(レザーパッケージ、ブラック)、タイヤホイール(インチアップ)などの見た目を中心にオプションが追加されている。こうしたオプションが多数用意されているので、世の中に「同じポルシェはない」のだそう。ひとり1台の特別な車というわけだ。


ポルシェで一番売れてるSUV「マカン」を買ったらすっかりポルシェ沼に
今回購入したマカンのオプション一覧。
ポルシェセンター調布の展示用のモデルだったので、見た目などを中心に追加されている。それにしても、オプションだけで118万6000円。普通に中古車が買えそうだ

 さっそくエクステリアを見ていくと、やはりフライラインを基盤としたデザインが特徴的だ。フロントを見ると、ポルシェ好きなら常識なのかもしれないが、ボンネットがヘッドライト部分まですっぽり全体を覆う仕様になっているのには驚いた。リアまわりは、最新モデルのマカンはテールランプが左右一直線になっている。


 ボディーサイズだが、全高1621×全長4726×車幅1922mm、ホイールベース2807mmだ。中でも車幅が1922mmと横に大きい。そのため、機械式の駐車場などは制限を超えてしまって止められないことが多い。筆者も自宅マンションの機械式の駐車場に入れることができず、外の駐車場を借りることになった。また、出かける先では自走式の駐車場があるかなど、車幅に対応したところをあらかじめ見つけておかなくてはいけない。


 また、ポルシェは大きな目のようなヘッドライトもデザイン的な特徴だが、新型マカンはLEDヘッドライトが標準装備されている。カーブの際には曲がる方向を照らす補助ライトが点灯するので、暗い場所での走行でも安心だ。


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サイドから。フロントからリアにかけてのフライラインが美しい。ボディーカラーは黒に近いグレー「バルカノグレー メタリック」
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フロント。中心の丸いセンサーは、アダプティブクルーズコントロール(ACC)と呼ばれる自動運転で使用する
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リア。1922mmの車幅はかなりのサイズ感だ。最新モデルはテールランプが横一直線になっている
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ホイールは標準のものから「20インチMacan Sホイール、ポリッシュ ダークチタン」にインチアップされている
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正面のエンブレムと特徴的なヘッドライト
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ヘッドライト部分まで被さるようなボンネットを開けると、エンジンルームがある
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マカンといえば、うしろ姿が印象的。この特徴的なリアデザインがSUVクーペブームを生み出した

 インテリアを見ていくと、ダッシュボードの中心、ポルシェのアイコンと言われるストップウォッチの位置にアナログ時計が設置されている。そして、ナビなどを表示するモニター、シフトレバーがあり、その左右に各種操作ボタンが備わっている。モニターや操作ボタンはすべてタッチ式だ。ただ、ボタンは触れただけでは機能せず、押し込むと「カチッ」という音と物理的な感触があるのでわかりやすい。


 運転中、すぐに呼び出せるようにハンドル周りにも操作ボタンやダイヤルが装備されている。ナビや車両情報、サウンド(音楽やラジオ)をダイヤルとボタンで操作したり、音声認識機能を呼び出して操作したりといったことが可能。

また、サラウンドビューもすぐに呼び出せるので、狭い場所を走行するときなどに便利だ。


 前述したが、トランクルーム自体は同じサイズ感のSUVと比較すると広くはない。ただ、筆者の場合は愛犬を乗せる折りたたみ式のカートが入ればいいので十分な広さだ。カートのカゴや散歩用のバッグなども一緒に入れることができる。また、フロアの下は小物入れになっていて、ここにあまり使わないものを入れておけるので便利だ。


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センター部分は、ダッシュボードにアナログ時計、モニター、シフトレバー、各種操作ボタンが並ぶ
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インテリアはオプションの「レザーパッケージ、ブラック」。とても高級感がある。ヘッドレスト部分のポルシェのロゴもオプションだ
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ハンドル周りにも操作ボタンが並ぶ。右の「◇」が「サラウンドビュー」を呼び出すボタンだ
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後部座席には専用のエアコン、USB充電ソケットが用意されている。シート中央部を倒せばドリンクホルダーもある
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キーを回してエンジンをかけるというのが「車」としてのこだわり。イグニッションキーをいちいち外すのは面倒なので、ダミーのキーが入っており、それを回してエンジンをかける
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トランクルームには愛犬用のカートやクーラーボックス、洗車道具などが余裕で入る。ただ、ボディーサイズからすると物足りない印象。フロアの下を開くと、そこにも収納スペースがある
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マカンを購入して
良かったこと&悪かったこと

 新型マカンには、以前乗っていたA-Classでよく使っていた機能が備わっているのも購入のポイントだった。これだけは外せない! というのが以下の機能。


■マカン 良いところ その1
シートヒーター

 冬の寒い日には必須の、シートを温めてくれる機能。3段階で調整できる。冬の快適さがこの有無で大きく左右される。


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タッチ式のボタンを押してシートヒーターの設定温度を調整できる

■マカン 良いところ その2
運転支援機能

 マカンにはアダプティブクルーズコントロール(ACC)と呼ばれる、いわゆる安全運転支援機能が備わっている。A-Classでは、特に高速での長い距離を運転する際に重宝していた。前方の車との車間距離や速度調整などに神経を使わなくていいので、とても楽な気持ちで運転に集中できる。ただ、マカンの場合は運転が楽しいということもあり、あまり使わなくなってしまった……。


ポルシェで一番売れてるSUV「マカン」を買ったらすっかりポルシェ沼に
ポルシェで一番売れてるSUV「マカン」を買ったらすっかりポルシェ沼に
アダプティブクルーズコントロール(ACC)は、ハンドル奥にある左下のレバーで呼び出し操作する。最高速度や車間距離なども設定できる

■マカン 良いところ その3
シートメモリー

 シート位置や角度などを記録しておける。異なる人が運転する場合、その人に合わせてシート位置を記録して呼び出せるのだ。A-Classの場合は、運転席と助手席はそれぞれ個別にシートメモリー機能が備わっていたが、マカンの場合は運転席と助手席をセットで記録させる必要があるので、あまり多くのパターンを記録することができないのが残念ポイント。


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運転席側のドアに操作ボタンがある。「鍵」マークでは、車をロックしたときのシート位置を記録しておける

■マカン 良いところ その4
レーン・チェンジ・アシスト

 車両後方から車が近づくと、サイドミラーに警告インジケーターが表示される機能。車線変更の際に死角になっている車などがわかりやすい。


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後方から車が近づくと、サイドミラー手前が黄色に点灯する

 そのほか、マカンのこの機能が便利! と思ったのが以下のもの。


■マカン 良いところ その5
サラウンドビュー

 まるでドローンを飛ばして撮影しているような、上空からの映像をモニターに表示する機能。車庫入れときはもちろん、狭い道の障害物を避けるときなどにとてもわかりやすくて便利。車幅が大きくても、この機能のおかげでA-Classのときよりも安心して走行できる。


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マカンを上空から見ているような視点の「サラウンドビュー」。ハンドルのボタンからも呼び出せるが、駐車の際などはギアをバックに入れると自動的にサラウンドビューに切り替わる

■マカン 良いところ その6
自動開閉トランク

 イグニッションキーのボタンでトランクを開けられるのは、離れた場所から開けておいて荷物を入れるなど意外に便利。最初はいらないなと思っていたが、よく使うようになった。天井が低い場所などのために、トランクが開く高さを設定できるので安心だ。


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イグニッションキーの車のマーク部分を押すと、トランクが開く。イグニッションキーは「フライライン」デザインになっている

■マカン 良いところ その7
Apple CarPlay

 多くの車が対応しているが、A-Classは未対応だった。実際に使ってみると、「マップ」アプリのナビを参考にしたり、Siriを呼び出して音声で操作したりとけっこう使える。音楽の再生も、このCarPlayを使っている。


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iPhoneをUSBケーブルで接続すると使用できる「Apple CarPlay」

■マカン 良いところ その8
シートベルト警告灯

 後部座席のシートベルト使用状況が警告灯でわかる。高速では後部座席のシートベルトの着用が義務となっているが、後部座席に座っている人が忘れてしまって高速に入ってしまうこともある。運転席側でも、着用の有無を確認できるのだ。


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センターメーター右側に表示される「シートベルト警告灯」。後方の3席のどのシートベルトが使われているのかひと目でわかる

SUVといえども走りにこだわる
それがポルシェ流

 こうした機能面以外にも、運転していてよかったなと思うことは多い。ちょっとしたところなのだが、サイドミラー付近のドアフレーム部分の抜けがいいので視界がいいのがひとつ。ここは死角になりやすい場所なので、視界がいいのは安心する。「安心」という面では、とにかくトビラが厚いので守られている感覚が大きい。もちろん事故に遭わないことが一番だが、もし衝突したとしても頑丈なトビラはしっかりと保護してくれそうだ。


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サイドミラー付近は死角になりやすいのだが、マカンは抜けがいいので死角が少ない

 そして、ポルシェの魅力として教えてもらった「運転が楽しい」という部分は、何よりも素晴らしいなと思う。アクセルを踏み込んだぶんだけ加速してくれる。グッと踏み込めばスッと加速するし、アクセルペダルから足を離せばゆっくりと減速する。また、シフトチェンジがものすごくスムーズで驚いた。ガクッという変速ショックがまったくない。とにかく全体的な反応がなめらかで運転しやすいのだ。また、運転を楽しむためのものとして、モードの切り替えも用意されている。走行パフォーマンスを向上させる「スポーツ」モードがあり、ボタンで素早く切り替えられる。筆者は基本的には通常のモードで運転しているが、高速を走る際などは「スポーツ」モードにすると追い越しの際の加速がスムーズで走りやすくなる。


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マカンは運転のモードをボタンで素早く切り替えられる

 SUVということもあり、運転席の位置が高くて視界がいい、速度を出してカーブを曲がっても安定していてブレないなど、ほかにも運転しやすい点はとても多い。運転がしやすいから運転が楽しいのかもしれない。また、ポルシェのようなスポーツカーはエンジン音が大きいというイメージだったのだが、まったく逆。外の音もきちんと遮音されているので、運転中でも室内がとても静かなのだ。うちの愛犬はマカンにしてから専用のベッドの上ですぐに寝るようになった。走りが安定していてカーブを曲がっても揺れないし、室内が静かなので快適な環境なのだろう。


ボディーサイズが大きいゆえの不便もある

 もちろん、これは……と思う部分もある。一番はやはりボディーサイズ。機械式駐車場が使えないのは、特に都内に出かけた際など止められる場所が限定されてしまうので厳しい。加えて、あまり小回りがきかないので、狭い駐車場で止めるのはひと苦労だ。「サラウンドビュー」があるとはいえ、何度も切り返すのは骨が折れる。試乗車はとてもハンドルが重くて「これがスポーツカーか、大変だ……」と思っていたが、購入したマカンにはオプションで「パワーステアリング プラス」が付いているのでそこまで重くはない。これは本当によかったと思っている。


 最先端の機能がほとんど使えないのもマイナス。音声アシスト(ボイスコントロール)機能はあまり言葉を理解してくれない。同様の機能に関しては、A-Classのほうが高性能だった。使っていくうちに認識性能などもアップして使いやすくなるかもしれないので、根気よく利用してみようと思う。


 PCM(ポルシェ・コミュニケーション・マネージメントシステム)でできることが少ないのもマイナス。スマホアプリ「My Porsche」と連動するのだが、マカンの場合は走行距離や車両情報などもいまのところは表示できない。活用できることは、アプリで調べた目的地情報を標準のナビに読み込めること。ナビから探すと目的地の入力がしにくかったりするので、スマホで目的地を探せるのは便利。また、PCMはマカンのWi-Fiとスマホをつなげて利用するのだが、急につながらなくなるという問題も発生した。これはiPhoneをiOS 15にバージョンアップした場合、「プライベートWi-Fiアドレス」をオンにしているとつながらないというトラブルのようだ。機能として未完成な部分が多く、こうしたトラブルが今後も発生するかもしれないという心配もある。


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PCMと連動するアプリ「My Porsche」。使える機能があまりない
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「My Porsche」の「マップ」でお気に入りに登録した場所は、PCMの「マイ目的地」からナビに呼び出せる
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 不満というわけではないが、燃費が悪いというのは伝えておいたほうがいいだろう。これまでの平均ではリッター約8km。A-Classがリッター14kmとなかなかの燃費で、ディーゼルだったので、マカンになってかなりガソリン代が高くなった印象。昨今の原油の高騰やハイオク専用なのも影響しているのだが、ガソリン代が倍以上になった感じがする。ただ、これはスポーツカーに乗っているのだから仕方がないのだと割り切っている。


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iOS 15の場合は、マカンのWi-Fiの設定で「プライベートWi-Fiアドレス」をオフにしないとPCMに接続できない
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車両情報の平均燃費はリッター約8kmとなっている

【まとめ】乗ってみてわかるポルシェのスゴさ
PCやモバイルで言うところのアップルのような存在

 いくつか改善してほしい点はあるのだが、得られる「運転する楽しさ」は何ものにも代え難い。「車」としての素晴らしさは、実際に運転してみればわかる。ポルシェに憧れる人が多いのも頷ける。まだまだ先の話になるだろうが、次の車もやっぱりポルシェがいいと思ってしまう。たとえば、半ドアの状態でカギを閉めるなど、車両に少し問題があるときは「プッ」とクラクションが鳴る。問題を車が知らせてくれるのだ。最初は「何?」とびっくりしたが、こうしたちょっとした機能がとても可愛らしく思えてくる。


 冒頭でポルシェはアップルのようだと書いたが、Macの持つ可愛さというか機械への愛着のようなものをマカンにも感じる。使っていて楽しく、ワクワクする「もの」なのだ。こうした気持ちにさせてくれる「もの」には、なかなか出会うことがない。ポルシェは車を超えて、ひとりのパートナーとしてずっと一緒に生きていきたいと思える「モノ」だろう。


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