ステアリングホイールは運転中、ドライバーが常に触れています。それゆえ自分の好きなステアリングホイールに交換したいと思う人は多いのではないでしょうか? ですが近年のクルマはステアリング(ハンドル)にはステアリングリモコンと呼ばれるボタンが多く、交換するとその機能が使えなくなったりするわけで、いつしかステアリングホイールを交換するのはメジャーなカスタマイズではなくなってしまいました。
ステアリングのドレスアップをもう一度!
ステアリング交換がメジャーでなくなった理由は、機能面の問題だけではありません。車検と保険的に大丈夫なのか、という不安があるから。ご心配な方は交換される際にご確認されることをオススメしつつ、現在は以下が一般的な考えになります。
まず車検について。車検が通る条件は「ホーンマークおよびホーンボタンがついていること」「サークル状(円形・環状・楕円状を含む)のもので、ハンドルを握った状態でメーターなどが隠れずに目視できること」の2点のみ。以前は直径350mm以上という規定があったようですが、現在はハンドル径に関して明確な基準はありません。とはいえ自動車検査員によっては「小径ハンドルはダメです」という場合がありますので、交換する際は自動車検査員がいるショップと相談した方が望ましいでしょう。ちなみにエアバッグ搭載車のステアリングを単純交換した場合、警告灯が点灯しますので車検は通りません。よって交換時にエアバッグキャンセラーなどを取り付けて警告灯を消す必要があります。
続いて任意保険。よく耳にするのが「エアバッグ特約が入っているため、エアバッグなしのステアリングに変更すると特約が外れて保険料が上がる」という話です。ですがエアバック特約は2010年頃からなくなりましたので、ステアリングを交換したから保険を組みなおす必要はありません。
実用的なスイッチをステアリングを付けたい



問題となるのは機能面。単純に交換したらクルーズコントロールなどは使えなくなってしまいます。そこで登場したのが、今回ご紹介するFrogDrive/NENCのステアリングスイッチケース。まずはその形をご覧いただきたいと思います。どこかレーシングカーっぽくてカッコイイと思うのは私だけでしょうか。それもそのハズ、NENCはTEAM NENCとして「全日本ラリー選手権」「アジアパシフィックラリー選手権」などを中心に、様々なラリーに参戦する、いわゆるエントラントなのです。
そのステアリングホイールは以前ASCII.jpでも取材したウェルパインモータースポーツのGRヤリスのステアリングにも採用されています。よくレースで培ったノウハウを市販車に投入という話がありますが、まさにそれ。しかもガチ中のガチ。本物だけがまとうオーラを感じませんか?


誕生の経緯は、参戦車両を製作するにあたりステアリングホイールを交換した際、ステアリングリモコンがないとメーター内の表示切替ができなくなり不便ということから。当初カーボンの板に穴を開けてスイッチ類を取り付けたそうです。



ちなみに、NENCが製造しているステアリングホイールには、エンジンのイグニッションと、サンキューハザードボタンも設けられていました。サンキューハザードがステアリングホイールから手を離さずにできるのはイイですね。なお自動車メーカー(車種)によってFrogDriveで販売する場合と、NENCで販売する場合とで別れているようですっが、どちらかに問い合わせてもOKです。
簡単に違いを説明すると、追加機能や競技志向の強いレーシングモデルがNENC製、追加機能のない置き換えモデルで一般ユーザー向けなのがFrogDrive製です。車種は被るものはありますが、デザインで選択してもらえば基本の機能は同じとのこと。

今回メインで紹介するのは、FrogDriveが販売するS660用のステアリングスイッチケース。
小さいクルマは
ステアリングが脱着できるのもうれしい

オーナー様はMOMOが販売する直径320mmのステアリング「JET 320」が取り付けられていたのですが、この見事なフィット感! 「まず、持ったときのフィーリングがすごくイイんですよね。純正ハンドルとは質感がまるで違うんですよ。それに純正ハンドルの断面は真円なのですが、このハンドルの上側は楕円形状で薄くなっているので、メーターが見やすくなるんですよ」と大満足のご様子。確かに触れてみると実にイイ手触りなうえにメーターも見やすい。それに「カチッ」と手ごたえのあるメカニカルスイッチの感触が堪りません! もちろんボタンの位置関係が変わっていることから戸惑いがありましたし、ステアリングを握った状態だと親指が届かない場所もありました。ですがそれらは慣れです。
「それに小径になりますから、よりクイックなフィーリングになります。これが楽しいんですよ!」とオーナーの弁。楽しいクルマがさらに楽しくなるとは、心が躍らないわけにはいきません。ちなみにMOMOのJET 320の定価は3万6000円(以下すべて税込)。これにステアリングスイッチが6万5780円。そのほか、ステアリングボスが必要でさらに工賃がかかりますので、諸々で15万円ちょっとが定価のお値段。ちなみにステアリングはAmazon.co.jpで2万6130円、ステアリングボスはワークスベル製で5929円で販売しています。持ち込みの取り付けについては、工賃含め最初に各ショップに問い合わせたほうがいいでしょう。

ステアリング交換のもう一つのメリットは「脱着ができるようになる」ということ。これはワークスベルから販売されているラフィックス2というクイックリリースを取り付けることで可能になります。ハンドルが取り外せるメリットは、乗降しやすくなること! 特にS660のようなタイトなコクピットのクルマですと、そのメリットは計りしれません。さらに自宅に帰った時など長時間クルマから離れる際にハンドルを取り外せば、防犯対策にもなります。

さて、ここまではMT仕様の話。S660にはCVT仕様があり、ステアリングの裏にはパドルシフトが付いています。単純に交換した場合は、このパドルシフトが使えなくなってしまうのですが、ワークスベルが販売しているパドルシフト用の製品「パドルシフターNeo」を取り付ければ、パドルシフトも可能になります。ですがS660の場合「手が届かない」のだとか。

そこでFlogDriveは新たにパドルシフト用のステアリングボスを製作。しかもパドルはカーボン製ですから、実にカッコイイし、スポーツカーらしくて最高のひと言! ステアリングからパドルまでの距離は遠めなのですが、手の大きな方なら届くようになります。気になるパドルスイッチの感触は超ショートストロークで、しかもカチッとした極上のフィーリング! これが嫌いな人は絶対にいないと断言できます。
ですが、ステアリングの位置はかなり運転手寄りになってしまうので、体の大きな人は腕を相当曲げることにも。またパドルが大きいため、体格とシート座面の高さによっては、ステアリングを切ろうとするとパドルが足に刺さる可能性も。FlogDriveでは「ステアリングスイッチボックスの裏側に穴をあけてスイッチを付けることもできますし、パドルスイッチに関してはもう少し検討します」とのことなので、気になる方は問合せてみましょう。気になるお値段ですが、パドルまで含めると20万円強の費用がかかるとのことでした。
クルマをドレスアップする楽しさ
この取材時、オーナーさんのS660および開発担当のクルマにFlogDriveのアイテムがついていましたので、せっかくの機会ですからご紹介したいと思います。


まずはS660から。リアバンパーのナンバーの上に設けられたのは、S660用リアダクトフレーム バージョン2(2万1780円)。排熱のためナンバー付近に穴を開けているカスタマイズはよく見かけるのですが、このアイテムの優れた点はマフラーのタイコ上部を冷やすことができるということ。型紙が付属するので、個人でも加工できるとのことです。


次に開発担当のクルマである3代目メガーヌRSに取り付けられているアイテムもご紹介。まずはリップスポイラー(phase2)(6万280円)。こちらはFRP製黒ゲルコート仕上げで、塗装費は別途必要になります。


続いてノーマルと比べて立体的な造形が魅力のリアルーフスポイラー(14万8500円)。これは純正のルーフスポイラーを取り外して取り付けます。こちらは未塗装のほか、ジョンシリウスM、ブランナクレM、グリカシオペM、ノワールエトワールMの4色から選択できます。



もちろん3代目メガーヌRS用のステアリングスイッチケース&ボスセット(6万8500円)が用意されています。こちらは純正ハンドルの4つのボタンの他にRSボタンとハザードボタンも移設されているのは、とてもユーザーフレンドリーであるように感じました。

そして最後にシャークフィンアンテナ。こちらはカーボン製で引き締まった外観になります。FlogDriveでは、ほかにもGRヤリス用などのアイテムが用意されているとのこと。
気になる方はチェックされてはいかがでしょうか。
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