アイドルユニット「純情のアフィリア」の10期メンバーにして、ASCII.jp自動車部のゆみちぃ部長こと、寺坂ユミさん。そんな彼女が知多半島出身でSUV好きであることから始まった「トヨタのSUV全部乗る!」企画。
ちょうどいいサイズのSUV
前回「大きなSUVに乗りたい」ということで、配車担当の部員Kは、納車4年待ちといわれるランドクルーザーを用意するも「でかすぎる!」と叱責を受けた次第。そこで今回はトヨタ最小のSUVをご用意することにしました。この両極端作戦により、今回は「小さすぎる!」というご褒美、いやお叱りを受けると思いきや「取り回しよさそうですね」と高評価。ご褒美おあずけで、ちょっと悲しい部員Kです。

気を取り直してライズについてご説明しましょう。ライズは全長3995×全幅1695×全高1620mmという5ナンバーサイズのSUVです。機能子会社であるダイハツが4代目タントで初導入した「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」をトヨタ車として初めて採用した車種で、生産はダイハツが担当。ダイハツからは兄弟車でロッキーが出ていることから、ダイハツのOEM車と思われがちですが、正確に言えば共同開発車になります。誕生したのは2019年11月のこと。ですが2021年11月にハイブリッドモデルが追加され、今回はそのハイブリッド仕様車となります。



まずはエクステリアをチェック。
部長はMINIのように丸いヘッドライトがお好きと聞いている部員K。ここでもご褒美をいただけるかと期待していたら「いいじゃないですか!」と、まさかの展開。「ちょっとプラスチック感が強いのは否めないですけれど、フロントグリルが大きいのがイイですね。ドヤ感があるのが好ましいです」というわけで、ご褒美はおあずけ。部員Kは「今回はいったい、どうなっているんだ?」と困惑気味です。

オシャレは足元から、ということでホイールをチェックするゆみちぃ部長。「光沢シルバーに黒のツートーンはイイですね」とのことで、実はほかの車種でも同じ意見をされております。どうやらこのタイプのホイールがお好みのようです。

アンテナはシャークフィンタイプを採用。

細かな部分のひとつであるドアミラーには、この価格帯のクルマとしては珍しく近接車両の警告表示を搭載。さらに点灯中にウインカーを出すと警告音で知らせてくれるといううれしい機能もついています。ですが、これが都心部の渋滞している街中だと、都心部運転者感覚で車間が空いていても車線変更の度に警告音を発するので「うるさいなぁ」と思わなくもなく。低速時などはもっと近づいた時に音が出るようにすればいいかなと感じました。
ミラーの根本には、近年のトヨタ車ではおなじみのフィンが設けられています。その効果はよくわからないのですが、バンパー裏に貼ったアルミテープでも違いの分かるメーカーですので、必要なのでしょう。「やっぱり細かい部分も撮っておいてよかったでしょ!」と部員S。ゆみちぃ部長からは「ご褒美」がないし、部員Sからは「仕事しろ」と言われるし、今日はいったいどうなっているのでしょう。
小さいエンジンで大きなボディーを加速させる


ではパワーユニットを見てみましょう。ボンネットを開けたゆみちぃ部長は「エンジンちいさっ!」と驚きの声をあげます。このパワーユニットはダイハツ初となるハイブリッド。といっても、そこにはトヨタ由来のモータージェネレーターやバッテリーが使われているので信頼性は織り込み済みです。
一方、トヨタとちょっと違うのは、シリーズハイブリッドということ。つまりエンジンはジェネレーターを回す、いわば発電用として使う、他社でいうところのe-Powerみたいなものと言えば伝わりますでしょうか。その発電用エンジンが、脱炭素だ何だと言われている中において驚きの新開発! 1.2リットルの自然吸気3気筒エンジンは、なんと熱効率40%と世界トップレベルを達成したというから凄いの一言です。
ちなみにスペックを並べてみると、エンジン最高出力82PS(60kW)/5600rpm、エンジン最大トルク105N・m(10.7kgf・m)/3200~5200rpm。ただこれは走りには影響しないので、走行性能として見ると、モーター最高出力:106PS(78kW)/4372~6329rpm、モーター最大トルク:170N・m(17.3kgf・m)/0-4372rpmがライズ・ハイブリッドのスペックとなります。一見非力に思えますが、ライズの車体重量は1070㎏ですので必要にして十分すぎるほど。ちなみにライズのガソリン仕様車には4WD設定がありますが、ハイブリッドはFFのみの設定。




部員たちはパワーユニットに興味津々ですが、ゆみちぃ部長は、パワーユニットよりもラゲッジスペースが気になるお年頃。うしろに回ってチェックしてもらいましょう。
バックドアを開くと369リットルと大きな容積が姿を現します。なんと上位モデルともいえるヤリスクロスよりも荷室が多いのです! 注目すべきポイントはオプション(4万4000円)でAV100Vインレットが用意されていること。「これ、絶対に便利ですよね!」というわけで、ゆみちぃ部長のテンション爆上がりです。一方、部員Sは「これで4万4000円もするの?」と驚きの声をあげますが、いやいやコンセントだけでなくバッテリーの直流を交流に変換するDC-ACコンバーターとかも含まれているのですから、まぁそんなものかなと。最近パワー系ICは入手難だそうですし、この価格で提供できることが脅威です。

「この板は何ですかね?」とコンセントとは反対側の板をおもむろに取り外すゆみちぃ部長。すると出てきたのはパンク修理キット。「こんなところに置いているんだ」と部員一同は感心しきり。


ならばと、次はラゲッジボードを取り外します。今度は三角板などが姿を現しました。



後席のシートを倒すと、さらなる荷室空間が出現。ほぼフルフラットなのですが、よくみると運転席側が上がっている模様。それはすなわち「私が寝っ転がっての写真は撮れませんね」というわけで、普通に足を延ばした状態でパチリ。女の子がうつ伏せで寝っ転がっている写真が撮りたい部員Kは、まったくもって面白くありません。自動車メーカーの皆様、クルマを作る際は「完全フルフラット」にしてください。でないと、女の子が寝っ転がった可愛い写真が撮れません。ということで、「細かいところもちゃんと撮れ」ということで、ラゲッジだけで撮影カット数がなんと10枚! やりすぎですって……。




気を取り直して後席をチェックしてみましょう。「シックな感じですし、天井高も十分ですね。小さいのは仕方ないとしても、閉塞感や圧迫感はそれほどありません」とゆみちぃ部長のチェックは、回を増すごとに的確になってきます。ASCII名物USBチェックも欠かせません。



運転席も確認。「赤い差し色がスポーティーですね。ちょっと角ばった感じがエクステリアと同じ印象を与えますね」ということで、こちらもおおむね好評。注目なのが従来のモデルにあったサイドブレーキのレバーがなくなって、電子サイドブレーキとなったこと。それに伴い、オートブレーキホールド機能が搭載されました。つまり交差点でもフットブレーキを踏み続けなくてよい、ということです。ゆみちぃ部長は、オートブレーキホールドに慣れていないようですが、これ使うとやめられないんですよ。




操作系をチェックしてみましょう。ステアリングホイールは3本スポークでステアリングリモコン付き。左手側がオーディオ、右側がクルーズコントロール系です。クルーズコントロールは全車速追従機能付きで、高速道路もラクラク快適。ステアリング調整はチルト(上下)のみでテレスコピック(前後)機能がないのはちょっと残念なところ。

メーターはLCDとセグメントLEDなどを用いたもの。タコメーターのかわりにつけられたハイブリッド車ではおなじみのパワー計の表示がちょっとユニークです。燃費は街乗りメインの取材時において23.6km/Lを記録。これはかなり優秀といえそうです。

ハンドル右側にはTCSやパーキングセンサーのオンオフボタンを配置。ほかのクルマでは見当たらないものとしては、S-PDLというボタンでしょう。これをオンにするといわゆるワンペダル動作になります。これについては試乗部分でご紹介します。

ペダル類は、ややアクセルが小さく、そして右側に寄せた配置。いわゆる踏み間違え防止の観点から、このような配置になっているのでしょう。ですがブレーキペダルに右足を置き、かかとを接地させたまま足首をひねってアクセルを踏む、というペダルワークをされる方には、ちょっと届かない場合があるかも? ようするに教習所の教えどおりに、アクセルとブレーキはちゃんと踏みかえましょう、ということです。

ドアリモコンまわりで不足する機能や目新しい機能はありません。ハンドルノブの形状からサイドミラー調整が少しやりづらいかな、と思う程度です。そんなに頻繁に触るものではないので目くじらを立てることもないでしょう。




続いて収納です。ここでゆみちぃ部長から「どうしてこんなにドリンクホルダーがあるんですか?」という素朴な疑問が。たしかにいたるところにドリンクホルダーが用意されているという印象。実際はドリンクホルダー兼小物入れなのでしょうけれど「わたしゃ、そんなに水飲めませんよ」とゆみちぃ部長は笑いながら、こっちにコーラ、こっちに水、こっちに紅茶……と妄想したり。そして「助手席の小さなポケットは何ですかね?」と赤い収納に注目。スマホを置くにしてはすぐに転がりそうですし、薄型のボックスティッシュを入れるんですかね? よくわかりません。










インフォテインメントディスプレイがあれば、触らずにはいられないASCII.jp自動車部の定め。徹底的にいじり倒し、徹底的に写真を撮ることになります。まず気づいたのは、これがディスプレイオーディオ、つまりスマホとつなげないとナビとして機能しないということ。スマホと接続すると、Apple CarPlayもしくはAndroid Autoが起動し、ナビだけでなく音楽再生などのエンターテインメントも楽しめます。トヨタのディスプレイオーディオというと、スマートデバイスリンクが頭に浮かぶのですが、こちらは非対応の様子。
「イマドキっぽいじゃないっすか」という部員S。ですが部員Kは「これ……14万7400円もするみたいですよ」とポツリ。そうです、意外とお高いのです。設定画面を開き、車両設定ができるのかと思いきや、そういったものは見当たりませんでした。「だったら社外品を選んだほうが安上がり!」と思ったのですが、このディスプレイオーディオ代の14万7400円には、スマートパノラマパーキングアシスト(駐車支援システム)やパノラミックビュー、そしてステアリングスイッチも含まれています。これをどう考えるか、ですね。

運転席側のUSBもチェック。USBはType-Aのレセプタクルで、隣にはHDMI端子が設けられていました。国産車はHDMI端子を取り付ける車種が多く、逆に輸入車にはないのですが、このHDMIを使ったことがない部員Kは「どういう目的で使うんだろうか?」とふとした疑問がよぎりました。
運転支援「スマートアシスト」は進化し、衝突回避警報機能と衝突回避支援ブレーキが夜間の歩行者にも対応するなど、全19装備を搭載。一方で、最近のクルマに装備されているSOSボタンなどは見送られたようです。
サイズ感も相まって
走行性能もちょうどいい

ライズはアクセルペダルの踏み加減で車速をコントロールする「スマートペダル」の機能もありますが、まずは普通に走行。「結構エンジンの音は聞こえますけれど、かといって加速に不満とかはありません。いい意味で普通ですね」と、ゆみちぃ部長。シリーズハイブリッドだから静か、と思いきや、普通のクルマとそう変わらない印象で、強いて言うなら発進時にアイドリングストップが解除されエンジンが始動して……という音や振動がない程度。積載バッテリーの蓄電容量や制御方法の兼ね合いもありますが、日産のe-Powerに一日の長があります。
静粛性もそれなりですが、ほかのクルマと比べて劣っているということはありません。それはエンジン以外の静粛性の面でも同様で、それなりのロードノイズは聞こえてきます。しかし前モデルに比べたら向上しており、「カイゼン」を感じた次第。お値段を考えたら、この静かさはなかなかの物とも。

「クルマの大きさがちょうどいいんですね。大きいクルマもいいのですが、運転するなら丁度いい大きさというのがあって、ライズはそんなクルマに思えます。SUVだから視界が高いのは言うまでもないのですが、視界が広いんですよ。そこもお気に入りです」。ゆみちぃ部長、だんだん自動車評論家みたいなセリフが出てくるようになってきました。

乗り味は、思っていたよりかは硬質。「乗り心地、悪くはないと思います」という、ゆみちぃ部長の言い方が正しくて、特段イイ! ということもないけれど不満もなく「何と表現したらいいのか言葉が見当たらない」というもの。車体が軽いので、どしっと地に足の着いたという重厚さよりも、軽快さを信条とするハンドリングと乗り味を楽しみましょう、というのでしょうか。

それではスマートペダルをオン。ワンペダルに近い動作になります。「うーん、違いあります?」というゆみちぃ部長。それもそのはず、ワンペダルといっても完全には停止せず、ブレーキを踏む必要があるから。そこで今度はDRIVEというボタンで減速時の回生量を増やす方向に変更して挑戦。「おぉ! クルマ全体が重たくなったような感覚ですね」ということで、今度はちゃんと実感したようです。

【まとめ】飛び抜けたものはないが
サイズと走行性能とコスパよしのSUV
試乗を終えてゆみちぃ部長は「見た目もカッコいいし、内装だってチープじゃない。使い勝手もいいと思います。乗り心地や静かさといった面で、もちろん上には上がありますけれど、お金のことを考えると、この価格でこの内容ってすごいと思います。だって最近の軽自動車って、このクルマと同じ金額のものもありますからね。それに燃費もリッター24km近いうえに、レギュラーガソリン仕様車から、ガソリン代が高い時にはありがたいですね。だからコスパがよいクルマという印象を受けました」と、ライズを気に入られたご様子。
もちろんそれはとてもよいことなのですが、一方で(クルマがよいと、ご褒美はいただけないのか)と部員Kはションボリ。さらに大量に写真を撮らされ、結果、撮影枚数は326枚。そして掲載枚数はなんと55点! ほかの自動車記事でも、ここまで写真を載せませんよ? 本当に載せるんですよね? と思いながら執筆し、さらにションボリしていたのでした。


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寺坂ユミ(てらさかゆみ)プロフィール

1月29日愛知県名古屋市生まれ。趣味は映画鑑賞。志倉千代丸と桃井はるこがプロデュースする学院型ガールズ・ボーカルユニット「純情のアフィリア」に10期生として加入。また「カードファイト!! ヴァンガード」の大規模大会におけるアシスタント「VANGIRLS」としても活躍する。運転免許取得してから上京後は一切運転していないが、最近ペーパードライバーを脱出。こだわりが強く興味を抱くとのめりこむタイプであることから、お気に入りの1台を探す予定。