川畑選手がドライブするGR86

 ドリフト競技の最高峰「D1グランプリ」の2022年シーズンが4月23~24日に開幕し、今年もASCII.jpが応援する「Team TOYO TIRES Drift」の88号車 川畑選手がGR86のデビューウィンを見事飾りました! さっそく、その開幕戦「FUJI DRIFT」の様子を振り返りましょう。


スープラからGR86へのスイッチは吉と出るか?

 ASCII.jpがTeam TOYO TIRES Driftの66号車 藤野選手と川畑選手を応援する本企画も3年目。


D1の2022シーズン開幕! TOYO TIRESは新車でランキング1位2位独占!
安西茉莉さん
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山本もえぎさん

 そしてTeam TOYO TIRES Drift GALSの安西茉莉さん、山本もえぎさんのコンビも3年目となりました。

過去、Team TOYO TIRES Drift GALSを3期連続で務めた方は1名しかおらず、山本さんも「継続のお話をいただいた時、本当に驚きましたよ!」とのこと。そんなお2人をよく見るとコスチュームが違うではありませんか! 「ポイントはアシンメトリーのスカートなんですよ!」と安西さん。お2人とも、このコスチュームを気に入られているようです。


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Team TOYO TIRES DriftのマシンがGR86にチェンジ! しかも2台とも!

 変わったのはコスチュームだけではありません。Team TOYO TIRES Driftのマシンも変わりました。昨年まで川畑選手はGRスープラ、藤野選手は86だったのですが、今シーズンはお2人ともGR86にチェンジ! 制作は藤野選手のファクトリー「WISTERIA」で、2台同時に作られました。ところで、なぜGR86なのでしょう?


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藤野選手(左)とメカニック

 藤野選手によると「昨年の年末ぐらいからGR86でやろうか、という話が持ち上がって。で、川畑くんも一緒の体制になることから、だったら2台でやろうか、ということになって」とのこと。「それにGR86はFT86と共通する部分や部品が多いんです。昨年1年間86に乗ったおかげで、よかったところとダメなところはわかっていたので、それをフィードバックしてクルマを作りました」。製作にあたって、藤野選手はノーマルのGR86に乗ったところバランスの良さに驚いたのだとか。「そこで、このバランスの良さをそのままかさ上げするようなマシンにしようと思いました」というのがコンセプト。


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エンジンは2JZをベースとしたもの。タービンの大型化により900馬力近くを発生する
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川畑選手のGR86

 そのニューマシンは、日本を代表するド派手系エアロブランド「パンデム ロケットバニー」のボディーキットで迫力十分。エンジンはD1車両では定番の2JZで、これは藤野選手が昨年まで乗っていた86と、ほぼ同じ仕様。ただ、タービンサイズを一回り大型化して900馬力以上を発生しているとのこと。しかしコロナ禍によるロジスティクスの遅れなどから部品が届かないなどのトラブルがあったそうで、製作期間は2~3ヵ月という異例の短さ。シェイクダウンもままならない状態で開幕戦を迎えたのです。


2022年はタイヤのレギュレーションも変更に

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D1を運営するサンプロスの斎田社長

 2022年シーズンでは、タイヤに関するレギュレーションが変更されました。簡単に言えばスペシャルコンパウンドの使用を禁止し、グリップレベルを落とすべく市販タイヤのみで争うというもの。その意図についてD1グランプリを運営するサンプロスの斎田社長に話を聞いたところ、安全面とコスト面から実施を決めたのだそう。


 タイヤのグリップレベルを抑えると、どうしてコスト面と安全性で有益になるのでしょう? それは必要とするエンジン出力の低下が望めるからです。エンジン出力を上げていくと、当然スペシャルなパーツが必要となりコストが上昇します。そして駆動系に負荷がかかりマシントラブルのリスクも増加。これもコスト上昇につながるだけでなく、以前、車内を横断するプロペラシャフトが破損し、あやうく大事故になる事件もありました。


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今年Team TOYO TIRES Driftが使うR888R

 「タイヤのグリップレベルを落とすのではなく、エンジン出力の上限を設ければよい」という考えが浮かびますが、D1グランプリの生い立ちはもともとチューンドカーですから、そこは規制したくありません。よってタイヤのグリップレベルを下げる方向にしたのです。


 では、実際にマシンの出力は下がったのでしょうか? 開幕戦を見る限り、どのチームも昨年と同じ、もしくは上げてきました。複数のチームメカニックに話を聞くと「ブースト圧を下げれば出力は簡単に下げられるけれど、出力を上げるのは難しい。ならば上げられる状態をつくっておく」というもの。そして「今年は富士スピードウェイとオートポリスという2つの高速ステージがある。出力を下げるという選択肢はそもそもない」との声も聞こえました。そして「グリップレベルが下がるということは、空転しやすくなるということ。だからタイヤスモークは増えるのでは?」という声も。ファンとしてはうれしいのではないでしょうか?


6年ぶりの富士大会は好成績で

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川端選手(中央左)と藤野選手(中央右)

 6年ぶりとなる富士スピードウェイでの開催。コースは100Rコーナーから30Rのヘアピンで行なわれました。大会は土曜日に単走決勝と追走のベスト16戦まで、日曜日にベスト8戦から決勝まで、という変則スケジュール。これは日曜日にモーターファンフェスタというイベントを実施するための処置ゆえのこと。

以前D1は土曜日単走、日曜日追走トーナメント決勝というスケジュールでしたので、そのフォーマットに戻ったといえるでしょう。ちなみに次戦は土日ともに単走と追走が行なわれます。


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スロットルトラブルの修理に追われるチームメカニック

 午前中に練習走行が行なわれたのですが、藤野選手のマシンにスロットル関係でトラブルが発生。練習走行がほぼほぼ走れない、まさにぶっつけ本番のような状態になってしまいました。


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川畑選手
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富士山をバックに走る川畑選手

 まずはAグループの川畑選手から。1本目は最後だけちょっと角度が浅くなってしまったものの96.6と高得点。そして2本目は点数を伸ばして97.05点として、グループ2位を獲得。早々に追走トーナメント進出を決めます。


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藤野選手
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藤野選手

 不安を抱える藤野選手はCグループからの出走。1本目はミスをして94.55。ですが2本目に綺麗なラインで97.35を出してトップ。結果、藤野選手がGR86のデビューウィンを飾りました。


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藤野選手

 「単走が走れないのが何よりもマズいので、スタッフに大丈夫? と尋ねたら、大丈夫大丈夫と。そこは信頼ができるスタッフですので、ちゃんと直してくれました」ということで走ったのだとか。「最初に川畑君が走ってくれて、そこでそこそこの点数が出ていて。自分もこれは予選落ちしたらかっこ悪いゾというプレッシャーはありましたね。1本目のミスはゾーン1を外してしまって。これも走れなかったことからなのですが、実はギア比も変えていて。2本目に修正してうまくいきましたね」と笑顔で語りました。川畑選手は総合4位。これも見事な結果です。


グリッドウォークが今回から復活!

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ピットを見るファンたち

 追走トーナメント前に、グリッドウォークがありました。昨年までは新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止していたのですが、今回から復活。選手と一緒に記念撮影をする姿をあちらこちらで見かけました。これはオープンピットでも一緒。

「少しづつ日常が戻ってきたように思いますね。(マスクも取れて)はやく元に戻るようになるといいと思います」とうれしそう。昨年まで川畑選手はどこかピリピリとしたものがあったのですが、今年は雰囲気が違って、「楽しもう」をスローガンにしているとのこと。ファンとの交流を楽しまれている姿が印象的でした。それは藤野選手にも当てはまりそうで、こちらも終始笑顔。


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TOYO TIRESの物販ブース
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ボックスTシャツ(3800円)

 そんな2人を応援するグッズにも新作が用意されていました。まずはボックスTシャツ(3800円)。シンプルながらも小粋なデザインに仕上げられています。


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バックパック(1万2000円)

 そしてバックパック(1万2000円)。まるで自転車便のような大きなバッグで、観戦時に必要な水やタオルなどを一式入れても、まだ入りそうな容量があります。プーマのロゴもカッコいいです!


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ラバーキーホルダー(各800円)

 小さなラバーキーホルダー(800円)も新作。こちらはメーカーロゴをあしらったもので、白文字に青の縁取りと、青文字に白の縁取りの2種類あります。

さり気なくてイイですね。


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PROXES TR1
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PROXES TR1を履いた86
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PROXES TR1のトレッド

 新作グッズ紹介をしたところで、安西さんと山本さんから「コレも新作なんですよ」との声が。何かと思えばタイヤ! 「PROXES TR1です! これは選手が使っているR888Rほどではないですけれど、スポーティーな走りを楽しみたい方に向けた新作です! 非対称パターンがカッコいいですよね!」とのこと。オシャレは足元からです。


川畑選手が2年ぶりの勝利!

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タイヤスモークの変わりに水しぶきが舞うマシン
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川畑選手のエンジンカバーは白

 こうして始まった追走トーナメント。ベスト16戦は順当に勝ち進んだ2人。ですが翌日はなんと雨! コンディションが一転してしまったのです。それでも藤野選手と川畑選手は順当にベスト4へ進出をはたし、決勝をかけた2人のバトルが始まります。まったく同じマシンに見えますが、排気音を聴いている限り、藤野選手のマシンはアンチラグシステムを搭載していますが、川畑選手には搭載されていないようです。


D1の2022シーズン開幕! TOYO TIRESは新車でランキング1位2位独占!
D1の2022シーズン開幕! TOYO TIRESは新車でランキング1位2位独占!

 藤野選手先行・川畑選手後追いの1本目は、後追いの川畑が、距離、タイミング、ラインと、すべてがぴったりの追走。ラインも一緒で、Team TOYO TIRES Driftのデモンストレーションランのよう。藤野選手7.5に対して川畑選手9.5と、川畑選手2ランク獲得。2本目、藤野選手は100Rで少し離されてしまい、川畑選手7に対して藤野選手7.5と0.5ランクの獲得にとどまってしまいました。結果、川畑選手が決勝へ。藤野選手は単走優勝しているため3位が確定しました。


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 決勝は川畑選手と70号車 横井選手(D-MAX)の対戦。川畑選手先行の1本目、逃げる川畑選手に対して横井選手は遅れてしまい、さらに100Rの出口でコースアウト。川畑選手7に対して横井選手6と川畑選手が有利の展開に。そして前後を入れ替えての2本目。川畑選手は少し離れてしまうものの、大きなミスはなく。一方、横井選手はゾーン1不通過。その結果、川畑選手が2年ぶりとなる16勝目を獲得しました。


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 勝った川畑選手は「単走4位はデキ過ぎなくらいで。もっと上が狙えたかもね」と笑顔。「雨が降ってちょっとピーキーかなというのはありましたけれど、基本的にコントロール下にある感じでしたね。タイヤのレギュレーションが変わりましたけれど、タイヤのコントロール性に不安はなかったです。トラクションとかはどうなのかなと、ほかのタイヤメーカーはどうなんだろう? というのはありましたけれど、自分で走らせる分に不安はなかったです」


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 新しいGR86について川畑選手は「誰でも乗れる乗りやすさ、新型車のかっこよさ、というのは気に入っていますね。同時に自分のクルマがZN6の86もお客さん目線で作ってみたんですけれど、それもよくて。86っていいクルマだなと改めて思いましたね」と、86のパッケージは気に入っているようです。そして「全部優勝できるのは理想なんですけれど、それは現実として難しい話ですので、今年は最低でもベスト4には残れるような強い選手に戻って戦いたいなと思います。何より結果だけを求めてピリピリするより、終始笑いの絶えない、楽しみながらシーズンに取り組んでいきたいと思います。今年は楽しむ、というのがスローガンです」


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 こうして見事GR86のデビューウィンをはたした川畑選手と藤野選手。開幕戦終了時点でTeam TOYO TIRES Driftのチームランキングは1位、ドライバーズラインキングは川畑選手1位(26ポイント)、藤野選手2位(22ポイント)と上位独占です!



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訪れたお客様たち

 次戦は2年前、川畑選手がGRスープラに初優勝をプレゼントした奥伊吹で、6月11~12日に開催されます。Team TOYO TIRES Driftの活躍に期待しましょう!


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