小物入れとしても実に中途半端なサイズで何に使うのか意味不明な窪み。それがND型ロードスターのコンソールボックスでした。

が、もはや私には信号待ちコーヒータイムのために用意されたミニボトルホルダーにしか見えません! ありがとうマツダ!


 新車を買った情報2022、私は四本淑三です。本日の話題の中心と致しますのは、ミニボトル。前回、120mlサイズのサーモボトルがND型のセンターコンソールボックスにちょうど入るぞ、というご報告をいたしました。人によってはエヴァンゲリオンのエントリープラグに見えるらしいアレです。


 試したところ長さ156mm、直径48mm程度までのボトルならOK。皆さまお好きなものを買って試していただきたいのですが、私が試したところ何でもいいかと言えばそうでもない。


 置く場所がシフトノブやハンドブレーキに近いせいでしょう。信号待ちの間に取り出し、ひと口すすって元に戻す。この限られた時間を充実させるためには、キャップの回転にも、運転操作と同様のレスポンスやカチッとキマる節度感が欲しい。エヴァ的に言えばシンクロ率という事になるのでしょうか。


 幸か不幸か、市場にはすでに無数とも言える製品が存在しております。それらを買いあさっているうち、このシンクロ率に関わる要素をいくつか発見しました。

それをこの間、買い漁った製品の特徴と併せて見てゆきましょう。


元祖ポケットマグ「ポケトル 120」

ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 まず小容量サーモボトル市場を開拓した元祖デザインワークスエンシェントの「ポケトル 120」。今となってはごく普通のポケットマグですが、各社これをベンチマークとして商品企画を進めたはずですから、その原型仕様を確認しておかねばなりません。


 ボトルのサイズは直径45mm×高さ143mm。容量は120ml。購入価格は1280円でありました。


ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 ボトルとキャップの表面はヘアライン加工されたステンレス。飲み口は一枚板のシングル構造で、パッキンは平たいワッシャー型。保温能力は6時間で43℃以上。これくらいの性能と形状が、現在でも小容量サーモボトルのスタンダードです。


 しかしこのボトル、今では持ち出し率も低くなってしまいました。というのもキャップを開け閉めする際に滑りやすいから。キャップとボトル本体のヘアライン加工のおかげで、素手で持つとヌルッと滑る。

開閉に困る程ではありませんが、キャップが閉まっても滑り続けるので、まるで焼けたクラッチが滑っているかのような、どうにも嫌な感じなのであります。


性能第一老舗サーモス「真空断熱ポケットマグ/JOJ-120」

ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 ステンレス製魔法瓶と言えば、やはり老舗サーモス。120ml、150ml、180mlと3サイズ揃えてこの市場に参入しておりまして、私が購入したのは最小の120mlサイズでした。購入価格は1430円。さすがにちょっとお高い。


 サイズは直径45mm×高さ125mmと同容量他社製品に比べ、20mmほど背が低くコンパクトです。NDのコンソールボックスに入れてもかなり短め。サイズとしては長さ145mmの150mlモデルがベストでしょう。コンソールボックスの長さは156mmほどですから、長さ165mmの180mlサイズは入りません。


ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 老舗としてのこだわりは、やはり金属加工と保温性能。飲み口の加工は、丸く折り返して厚みを持たせており、凹凸のない側面と合わせて口当たりが大変よろしい。パッキンは開口部の奥まで刺さる厚いもので、これは漏れにくさと断熱性能のためでしょう。保温性能は6時間51℃以上で、小容量ながらハイスペックです。


ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 ただ、信号待ちで小刻みに開閉する用途としてはちょっと使いにくい。パッキンがしっかり密着するので、キャップの回転が渋く、開け閉めに力がいる。キャップの形状も微妙にテーパーがかかっていて、厚みもないため指がかかりにくく滑りやすい。


 とはいえコンパクトで保温性能も高いので、鞄に入れて持ち歩くランチのコーヒー用ならこれが良いでしょう。私はそうして使っています。


お値段以上? ニトリ「プチトル」

ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 ニトリもこの市場に参入しております。右のボトルがそれで、製品名は「プチトル」。ちなみに左が元祖、デザインワークスエンシェント「ポケトル」。シルバー同士で比べると違いがわかりませんが、ロゴで見分けがつきます。


ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 元祖ポケトルは「おしりのポケットに入るボトル」を示したもの。右のプチトルは「鞄に入るボトル」でしょう。ここまでやってくれるとパクリ・パチモンの域を超えた「フランク三浦」のような何かを感じないではありません。


 プチトルの公称容量は160ml。

試したところ、これはボトルのフチ、ギリギリまで入れた場合で、キャップを締めると溢れてしまいます。溢れずに入るのは150mlくらい。ちなみに保温性能は6時間56℃以上で、サーモスより高性能。これは後で実験して比べてみましょう。


ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 ユニークなのは「氷ストッパー」と呼ばれる内蓋が付いていること。口径が30mm程度なので、入るのは細かいクラッシュアイスですが、それがボトルを傾けてジャラジャラ出るのを防ぐというわけです。


 でもおいら氷なんか入れないもんねー。と、この氷ストッパーを外して使ってはいけません。コーヒーが容赦なく漏れてくる。なぜならキャップのパッキンはこの内蓋に合わせたサイズだから。


ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 しかし、この製品の良さも氷ストッパーがあること。滑らかで厚みのある内蓋のおかげで、口当たりの良さはサーモス並。


 しかも購入価格は599円。本家ポケトルの半額ですから「お、ねだん以上」なのは間違いのないところ。他より余計な部品も付いているわけで、それなりにお金もかかっているはずです。ただ、これも使用頻度は低くなってしまいました。理由は本家ポケトルと同じです。


滑らないトップバリュー「スリムマグボトル」

ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 では世の中には滑らないボトルはないのか? そこで見つけました、イオングループのPB「スリムマグボトル」。容量120mlで、直径46mm×高さ138mm。購入価格は1078円でありました。


ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 なんとキャップに思いっきり滑り止めのゴムが付いています。ボトル本体側もザラザラしたシボ付き塗装で、これもそこそこ滑りにくい。私のように文句をたれるユーザーの声がよほど多かったのか。巨大スーパーのリサーチ力のなせる技という感じがいたします。


 保温能力は6時間53℃以上で、これもサーモス以上。

このスペックが信用に足ると思えるのは、ボトルの奥に刺さるパッキンの構造がサーモスと同じだから。なのにサーモスのようにキャップの渋さを感じないのは滑り止めのおかげ。素晴らしい。


 そして滑り止めによる力の入れやすさを生かして、スクリューキャップのピッチが大きく、他より少ない回転角度で開閉できるのもいいところ。断熱性能と使いやすさを両立した形がこれ。だからしばらく気に入って使っていました。


ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 ところがパッキンが大きく外に飛び出しているおかげか、傾けるとポタポタと滴が垂れてくる。


ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 おまけに飲み口も極端に短い。右がトップバリュー、左が他の一般的な製品。飲み口が短いので、口に当てるとボトル本体のエッジが唇に当たって、なんかヤーな感じに。


 あちらが立てばこちらが立たず。なかなか難しいのであります。


使いやすさ満点の最終兵器DCM「ミニボトル」

ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 そこで探し当てたのがDCMグループのPB「ミニボトル」。もっと気張った商品名でもいいのにと思うくらい、使いやすさは最高の製品です。


 まずキャップとボトル本体がラバーコートされているため、滑りやすさとは無縁。マットな質感で手触りも良好。そのうちハゲるかも知れませんが、ハンドルやシフトノブから持ち替えても違和感ありません。


ロードスター信号待ちのコーヒータイム シンクロ率400%のミニボトルを求めて

 おまけに飲み口はサーモスのような折り返し構造で、口当たりの良さも文句なし。キャップのパッキンは、デザインワークスエンシェントと同じワッシャー式。ゆえにラバーコートと併せて開閉も軽い。完璧です。それでいて価格は877円。お値段以上であります。


 実際、これを80歳過ぎの母親に持たせたところ、いちばん開け閉めが楽だからと言って、1本持っていかれました。


 ただ、惜しむらくはピンクとベージュの2色というカラバリ。皆様におかれましては、ぜひ現物を見た上で判断して欲しいのですが、私にはババシャツやモモヒキのようにしか見えません。ライトウェイトスポーツと呼ばれるクルマの中心に置くものとしては、もう少しタイトでメカニカルな雰囲気も欲しいわけであります。


 そんな贅沢を言いつつ、その後に買ってメインで使っている製品も含め、次回はポケットマグ選びの要点をまとめて参ります。それではまた。

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